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映画「#生きている」#649


謎のウイルスにより、人びとがゾンビ化して町はパニックに。デジタルネイティブのゲームオタクが、都会のど真ん中でロビンソン・クルーソー状態に!

キャンプマニアの女性と力を合わせ、手元の道具で脱出を試みるというサバイバルです。

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「#生きている」Netflixで配信中
https://www.netflix.com/title/81240831

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ゲームオタクのジュヌを演じるユ・アインの壊れっぷりがみどころ。

「デジタルネイティブ世代」という設定ですが、情報を得ようとするも、Wi-Fiは使えない状態。お手製のアンテナを作るにはイヤホンジャックが必要と知り、部屋の中を漁りますが、なんとぜーんぶ「ワイヤレス」なんですよ……。ボーゼン……。あるあるな気がします。

(画像はKMDbより)

危機的状況に陥ったとき、「強いヒーロー」なら冷静に道具を集めて戦略を練るかもしれません。でも、一般ピーポーにそんなのムリですよね。ジュヌもやっぱり現実逃避に走ります。それがとてもリアルで。

一方、向かいのマンションに住むパク・シネ演じるユビンは、キャンプ好きという女性。サバイバル力の強さに惚れちゃいました。

(画像はKMDbより)

この映画でデビューしたチョ・イルヒョン監督。原作はマット・ネイラーの「#Alone」で、韓国映画用にふたりで書き直したのだそう。

町はゾンビであふれているけれど、自分の家の中は唯一の「安全圏」。救助を待つ間のサバイバル劇は、都会のど真ん中でのロビンソン・クルーソー。まずは「餓え」と闘わなければならないとは皮肉です。

隣に誰が住んでいるかも分からない都会のマンションで、協力し合うことになるふたり。ちょうど現在のコロナ禍を予測したかのような展開になっていきます。

韓国の「ゾンビ物」は、ゾンビがとにかく激しいのが特徴。今回も「ンシャオォォォワァァォォ」と押し寄せてきますが、ちょっと頭悪い感じです。ドラマでも、映画でも、これだけ「ゾンビ物」が増えたのは、ストーリーとして「当たり筋」だったことはもちろん、CG技術の向上もあるのだと思われます。

外出自粛要請が解除されたころに観たので、「キャンプグッズ使えるな……」と強く印象に残りました。

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