マンガ家のエッセイを読むと、「ビジュアルで世界を見ている人の目には、こう映っているのか!」と感じることがよくあります。顔のシワや、ふとした仕草など、すべてが絵を描くときのネタになるんだなーという感じで。
同じように、作詞家のエッセイには、やはり言葉への強い意識が感じられます。
音の響きはもちろん、手触り感や、なんだかよく分からないけどかっこいいと感じる感情まで、「なにが、どこが」を解き明かした本が『言葉にできない想いは本当にあるのか』です。
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『言葉にできない想いは本当にあるのか』
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著者のいしわたり淳治さんは、元SUPERCARのギタリストで作詞家で音楽プロデューサー。Superfly「愛をこめて花束を」などを手がけられたそう。
人間は日々、言葉を使ってコミュニケーションをとっているわけですが、あまりにも便利に使いすぎていて、むしろ“雑”と感じてしまうこともあります。
私たちが言葉を使って表現しているのはいつだって「感情の近似値」にすぎない。その意味で、言葉は常に大なり小なり誤差を孕んでいるものではないかと思うのである。
「言葉にできない想いは本当にあるのか」という自身の問いに対して、こう語るいしわたりさん。歌詞や広告、バラエティ番組の発言など、毎日目にする・耳にする言葉を観察した一冊です。
「自分を持っている人」ではなく、「自分を背負っている人」というのが格好いいのではないかと思う。
という言葉のとおり、イメージから立ち上る言葉のイメージが強い。“生き物”としての言葉が楽しめますよ。
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