“音”のサブリミナル効果って、あるんだ!?
脳科学の本を読んでいると、「知りたくなかった!」と思うような、身もふたもない話がけっこう出てきます。
そんな中、おもしろかったのが黒川伊保子さんの『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』でした。タイトル自体、ユニークな“音”を発してますね。ゴジラやガンダムなど、怪獣に濁音が多い理由をはじめ、濁音に迫力を感じ、清音に爽やかさを感じる理由を解き明かしています。
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『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』
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文章を書くときに、「漢字とひらがなのバランスを考えて、ビジュアルを整えましょう」みたいな話はよくありますよね。
「言葉」と書くか、「ことば」と書くか、「コトバ」と書くかで、ちょっと印象が変わることもあるし。
こうしたビジュアル性についてのセオリーはたくさんあるけれど、音のイメージだけをあぶり出すことはできないだろうか。
それが黒川さんの出発点だったそう。
キャラクターやブランドの名前などは、「音」としても記憶されます。特に、声に出して発音するときの感覚=息と喉、口腔、鼻腔、舌、歯、唇の感覚は、イメージにも影響を与えているのでは……という研究なのです。
たとえば、H音とF音の違いについて。
日本語だとどちらも「は行」の音。発音するときも似ているように感じますが、H音の方が喉の奥をしっかり開けないと発音できないですよね。
はーーーーー
ふーーーーー
と、発音しながら比べてもらうと分かるかもしれません。
そうしたところから、F音の言葉には「ふんわりと霧散していく非現実感」のイメージが生まれる
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ファンタジー、ファン、ファンタスティック
といった言葉を、そのまま日本語の「おとぎ話」「愛好家」「感動的」に置き換えてしまうと、だいぶ違う世界な感じがしませんか? ここはやっぱり「F音」の方がいいと感じるところがあるんですよね。
わたしは校正の仕事をしているため、原稿を読むときは言葉の「意味」や「文字」に注目しています。でも、このブログのように自分が何かを書くときは、音読をして「音」にも意識を向けています。
見た目のバランスはもちろんのこと、頭の中に響く「音」としても心地いいものであってほしいなと思うからです。
長く続くブランドの名前を「音の感性」で読み解くと、戦略とかセンスだけではなかったのではないかと思えてきます。
先行する研究がないそうで、まだまだ感覚的な議論ではあるけれど、一読の価値あり。仕事でネーミングやタイトルをつける仕事をされている方には、特におすすめです。
意味より前にある、ことばの力。音読しながら読むと、さらに深く味わえますよ。
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