むかし、占いの「はしご」をしたことがあります。全然違う場所で、全然違う占い師さんの前で、タロットカードを引いたのですが、ほぼ同じカードが出て、ビックリ!!!
でも、そのカードをどうよんで、どう伝えるか。占い師さんによってこんなに違うのかと、悩みそっちのけで気になってしまったのでした。
未来が見えるわけでもなく、霊感があるわけでもない占い師のルイーズ吉田。元営業の仕事で鍛えた話術を活かし、人々の心を軽くしていく、という小説が瀬尾まいこさんの『強運の持ち主』です。
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『強運の持ち主』
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会社を辞めたルイーズが、占い師になるのは、たった2日間の研修の後です。ずいぶん即席な感じがしますが、本で勉強したりもしたのだそう。
でも、なんだか難しい計算をして運気をよみ、その結果を正直に伝えるよりも、大切なことがあることに気付きます。
相談者の背中を押してあげること。
悩み、迷い、決められない状態の人にとって、一番うれしいのが「きっかけ」なのかもしれません。
お調子者感のあるルイーズですが、ちょっと露悪的な描写をされている箇所も。
ルイーズの恋人である通彦は、もともと占いに来た女性の「恋人」だったんです。ふたりの相性を調べるうちに、通彦がとんでもない「強運の持ち主」であることに気付く。そして「手に入れて」しまうんです。
いまは一緒に暮らし、通彦がつくる珍妙なご飯を食べるおだやかな生活を送っています。
けど。
きみの強運はいつ発揮されるのや!?
そんな思いを抱えるルイーズ。なんともふんわりやさしい気持ちにしてくれます。実はルイーズ自身が「強運の持ち主」なのかも。
冒頭で書いた占いの「はしご」をした日。これ以上ないくらいドン底の状況だったのに、さらに底があったのか!という事件があって、もう何も考えたくない状態でした。引くも地獄、進むも地獄。だったらどっちを選んでも同じじゃん。
占い師さんに話すことで、少し気持ちと頭の整理をして、そして。2度の占いで自分の選んだカードがほぼ同じということは、ホントにいまがどん詰まりの曲がり角なんだと、なんだか納得できました。
占い師の話術って、ホントにすごいですよね。話を聞くスキル、励ますスキル、見習いたい。
投げやりな気持ちになっていた、あの時のわたし。ルイーズならなんて言うだろう?
「あなたは光の星を持っているから、明るい色のロゴがついているこちらの方がいいかも」なんて言うかもなーと、思い出し笑いをしていました。
つらい日々が、ちゃんと過去になっていた。カラリとした明るさと前向きさに救われる一冊です。
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