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『伴走者』#774


見逃した!!!

昨日8月24日は、東京パラリンピックの開会式が行われていた“そう”です。知らなかった……。最近は忙しくて、テレビもネットも見ていなかったから? オリンピックほど話題になっていないから?

14時頃、ミーティングをしていた時に、オフィスにいるメンバーが窓の外を見て、

「ブルーインパルスが飛んでる!!!」

と声を上げていました。開会式があるからだったのかと、今さら気が付きました。

でも、これって話題になってました?

小中校生を対象にした「学校連携観戦プログラム」はニュースになっているのに、なんだか扱いが逆じゃないのかしらという気がしてしまいます。「安全・安心」な大会にすると丸川大臣は語っていますが、なにを、どうやって「安全・安心」にするのかを知りたいのですよね。

一方で、橋本会長は、子どもたちが直接会場でパラリンピックの競技を観戦することが「教育に値する大きなもの」と説明。それが理由に値するのかどうか……。

地元である東京が開催地な分、オリンピックとの温度差を、これまで以上に感じています。

わたし自身、これまでパラリンピックの競技をほとんど見たことがなかったので、実はオリンピックより楽しみにしていました。こんな状況じゃなければ、会場まで観戦に行ったと思います。

見たかったのは、車いすテニスとブラインドサッカー。そして、マラソンでした。

テニスとサッカーは、以前テレビで特集を見たことがあったから。マラソンは、浅生鴨さんの小説『伴走者』を読んだからです。

☆☆☆☆☆

『伴走者』

☆☆☆☆☆

本には、夏の「マラソン編」と冬の「スキー編」の2編が収められています。

「速いが勝てない」と言われ続けた淡島は、視覚障害者ランナーの内田の伴走者として走ることに。この、内田という選手が、めっちゃ性格が悪いんです……。

ランナーと伴走者は、“キズナ”とも呼ばれる伴走ロープを持って、ピッタリくっついて走ります。条件によっては、伴走者もメダルをもらえるそう。


なのに、性格の合わない、いや、むしろ憎たらしいしかないようなヤツの横で走れるものなのだろうか。一緒に走りながら、周囲のすべてを教え、戦略を考え、励まし、しかも自分もトップスピードで走り続ける仕事です。

でも、内田と一緒に走るうちに淡島は、「ランナー」としての自分に足りなかったものを見つけてしまうんですよね。

自分の絶望を乗り越えて、誰かのために走る。勝利を目指す。

ああ、読みながら、思わず熱くなってしまいました。

それは、「教育に値する大きなもの」に触れたから、とはちょっと違う気がする。そうじゃなくて、アスリートとして、人間として、限界に挑戦する姿に対してだったのだと思います。


男子マラソン・女子マラソン共に、決勝は9月5日(日)です。

メモしとこ。


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