知の巨人 vs. 知の巨人による、読書の格闘技決戦!
書評をアーカイブするWebサイト「ALL REVIEWS」。会員限定コンテンツを書籍化した『この1冊、ここまで読むか! 超深掘り読書のススメ』を読んで、「読書は格闘技」ってホントにそのとおりなんだなと圧倒されました。
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『この1冊、ここまで読むか! 超深掘り読書のススメ』
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聞き手である鹿島茂さんは、フランス文学者で評論家、そして「ALL REVIEWS」の主宰者でもあります。
「ALL REVIEWS」はわたしも時々読んでいますが、「本が好き」から「本の評論を書く」へのジャンプの高さにちょっと戦くことが多い。教養の厚みが違うんです。
読み応えのある書評がたくさんありますよ。
「ALL REVIEWS」にも寄稿されている書評家の豊崎由美さんは、著書『ニッポンの書評』の中で、書評家が果たしうる役目は「作者と読者の橋渡し的存在」だと語っておられます。
わたし自身、新聞などの書評欄を見て、次に買う本を決めることもあります。「橋渡し」はとてもありがたい存在なんですよね。
そんな書評をデジタル化してアーカイブすることで、「消費財化」した本を「耐久消費財」に戻したい。これが、鹿島さんが「ALL REVIEWS」を起ち上げた理由でした。
対談書評として企画されたイベントのゲストは、楠木建さんや成毛眞さん、出口治明さん、内田樹さん、磯田道史さん、高橋源一郎さんという、そうそうたるみなさんです。
『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』から読み取る、企業としての本当の強さ。
孔子はマナースクールの塾長という視点から語られる『論語』。
などなど、話の奥行きと横幅が広すぎて溺れそう……。なんですが、熱くて深い議論に、思わず引き込まれていきます。
「読書は格闘技」と語ったのは、瀧本哲史さんです。言葉どおりの本も遺されました。
歴史や科学の知識は、本を通してアメーバーのように広がっていくものといえます。ひとつひとつ触手を“自分で”伸ばしていくのが、一番楽しいところでしょう。同時に苦しいところでもあるけれど。テーマに関連する書籍も紹介されているので、アメーバー型読書の起点になってくれるかも。
『この1冊、ここまで読むか!』はノンフィクション部門の対談が収録されていましたが、豊崎由美さんが聞き手となるフィクション部門もあるそう。こちらも読みたくなりました。
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