万事に大雑把で、計画性なんてナッシングで無鉄砲なわたしですが。
唐渡千紗さんのぶっ飛んだチャレンジには驚きました!!!
唐渡さんのエッセイ『ルワンダでタイ料理屋をひらく』は、タイトルどおり、ルワンダでタイ料理屋「ASIAN KITCHEN」を開業した際の、奮闘記です。
「段取り」とか、「気遣い」といった概念がない国の人々をマネジメントするわけなんですが、やらかすことが斜め上すぎて何度も笑ってしまいました。
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『ルワンダでタイ料理屋をひらく』
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ルワンダは、アフリカ大陸の中央部に位置する内陸の国です。四国を一回り大きくしたくらいの国土で、丘が多いのだそう。
わたしが知っていることなんて、1994年のルワンダ虐殺を題材にした映画「ホテル・ルワンダ」くらいでした。
この映画はホテルの支配人が、民族の垣根を越えて避難者を受け入れるヒーロー物語なのですけど、映画のことを聞いたレストランスタッフのひとりは、
「あんなの嘘っぱちだから」
とバッサリ。
元ストリート・チルドレンだった人、シングルマザー、家族を失った人などなど、唐渡さんのレストランで働くスタッフたちも、虐殺を生き延びたものの、心に傷を負った人たちでした。
そんな歴史があるせいか、そもそもちゃんとした教育を受けていない人もいて、大学を出ても職がないくらい「仕事」が少ない国。英語ができる人ならナニー(子どものお守り)やレストランでの仕事に就くことができるようです。
旅行で訪れたルワンダに魅せられ、移住を決めた唐渡さん。友人に「タイ料理屋とかいいんじゃない?」と言われ、タイ料理屋さんをひらくことにします。
でも、レストラン経営なんてしたこともない、ただの会社員で、タイ料理なんて作ったこともない。
なのに、「Let's go~!」ばりに、5歳の息子さんと向かってしまうんです。
こんな大胆な行動力を持ち合わせていない、わたしって小心者だな……と思わせられることしきりです。
ルワンダでは、工事のお金をだまし取られたり、外国人料金をふっかけられたり。約束の時間は守られず、言うこともコロコロ変わる。
なんといっても、休日が、前日に大統領からラジオで知らされるようなところなんです!!
ちょっとうらやましい……。
日本の“きっちり”した文化で生活していると、ある意味、「当たり前」の基準が爆上がりしているんだなと気が付きました。
タイ料理のレストランで働くスタッフたちは、どなたもすごく「マイペース」。
ライスがなくなったけど、「炊かなきゃ!」とは誰も思わない。
オーダーが入ってるのに、自分たちのまかないから作り始める。
お客さんにインテリア小物を褒められたら、売ってしまう。
電子レンジが汚れたから、分解して水洗いしちゃう。
もう、やることが予想の斜め上をいきすぎてて、唐渡さんは激おこプンプンなんですけれど、読んでいるこちらは笑いが止まりません。
こうした、自分が知っているものとは違う文化に触れると、自分のことがよく理解できるように思います。許容できる自分の枠組みがハッキリしていき、耐性をはかることができる。
日本は正確性とていねいさが命なので、人への評価は「減点式」になりがちだけど、ルワンダは逆。常になにかが「ない」状態なので、うまくいけばラッキーという「加点式」なんですよね。
ケニアの言葉で「ノープロブレム」を「ハクナマタタ」というそう。韓国語でいう「ケンチャナヨ」みたいなニュアンスのようで、人と人が助け合い、笑い合い、慰め合う姿に、とても励まされました。
なんとも不思議な明るさとパワーに満ちたエッセイです。
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