このお話、好きだーー!!!
瀧羽麻子さんの『ありえないほどうるさいオルゴール店』を読み終えて、思わず叫びました。北の小さな町にあるオルゴール店を舞台にした、7編の連作短編集です。
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『ありえないほどうるさいオルゴール店』
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2007年『うさぎパン』でデビューされた瀧羽麻子さん。いまは兼業作家として活動されているそう。
わたしは『ありえないほどうるさいオルゴール店』で初めて出会った方なんですが、書き込みすぎない余白から生まれる余韻が、たまらなく好きでした。
「あなたの心に流れている音楽が聞こえるんです」というオルゴール店の店主。耳の聞こえない少年、解散の危機にあるバンドメンバー、コンクールで入賞できなかった少女たちの「心の中の音楽」をオルゴールにしてくれるんです。
オーダーは、別の曲なのに、ですよ。
超能力!?
と思いながら読んでいて、徐々に秘密が明かされるような、大事なところは「想像にお任せします」と放っておかれるような、その塩梅がとてもよかった。
タイトルには、「ありえないほどうるさい」とありますが、オルゴール店に音楽は流れていません。お客さんがネジを巻いたり、手回ししたりすることで流れるくらいです。
だけど、店主にとっては、世界って本当に「ありえないほどうるさい」のです。
目が見える、耳が聞こえるわたしにとっても、「ありえないほどうるさい」ものは存在するかもしれない。
たとえば、インターネット。
たとえば、噂話。
自分にとって心地よいものだけを、選んで受け取れればどれだけいいか。
わたしの母は右耳が聞こえないため、右側から話しかけると気付いてもらえません。家族にとっては当然なのだけど、知らない人にとっては「え!?」となりますよね。いろいろ誤解されることもあったようですが、補聴器を付けるのをずっと嫌がっていました。
理由は、聞こえすぎるから。
周囲の雑音も、しっかり聞きたい話し声も、同じパワーで伝わるらしいのです。その話を聞いて、人間の耳って小さいのに、すごい能力を持っているのだなと感じたものでした。
人の心に寄り添いたいなら、「ありえないほどうるさい」ものを遮断する術が必要なのでしょうね。
続編の『もどかしいほど静かなオルゴール店』や、他の作品も読んでみたい。あぁ、こういう出会いって本当に幸せです。
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