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『ロスト ハウス』#956


少女マンガ界で「24年組」と称されるマンガ家さんがいます。

萩尾望都さんや竹宮惠子さんら、昭和24年頃に生まれ、1970年代から活動されている方々です。

わたしの家ではマンガを買ってもらえなかったので、夏休みに従姉の家に行くのを楽しみしていました。

なぜって、従姉はマンガが好きだったから。

萩尾望都さんのマンガや、『エースをねらえ!』なんかを、布団の中で従姉と一緒に読んだんですよね。

この頃、たぶん大島弓子さんのマンガも読んだように思いますが、あんまり記憶に残っていない……。

久しぶりに『ロスト ハウス』を読み返してみると、日常の中にある違和感を描いた作品が多い。だから小学生には難しかったのかもしれません。

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『ロスト ハウス』

(画像リンクです)

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表題作の「ロスト ハウス」のほか、6編の短編と、あとがきマンガが収められています。

あとがきには「猫が増えてきたし、引っ越します」という話があり、「吉祥寺駅徒歩5分、2DK」のマンションから、「一坪ほどのささやかな庭がついた小さな一軒家」へお引っ越しをされています。

引っ越しを検討しているとき、一度は契約しようとしたけど、そこから頭痛に悩まされてキャンセル。振り出しに戻ったところで、希望通りの家に出会った話は、『グーグーだって猫である』でも紹介されていました。

(画像リンクです)

昨日、2022年2月22日は「猫の日」だったと、ブログを公開してから気が付きました。今年の「猫の日」は、『グーグーだって猫である』を紹介しようと思っていたのに……。

950日も書いていて、相変わらずの計画性のなさ。

そんなフラフラしたわたしでも、生きていていいんじゃないかと思える温もりが、「ロスト ハウス」にはあるんです。なんかムリヤリ感ありますが、本当です。

突然、「北海道の話聞きたくないですか?」と、エリをナンパした仁。うっかりエリを怒らせてしまい、「一か月間、部屋の鍵をかけずに、出入り自由にできたら許す」という約束をしてしまいます。

おかげで泥棒に入られたりするんですが、エリには「散らかった部屋でボーッと過ごす」ことに特別な意味があったのです……というお話。

毎日の連続が、息苦しくなったり、色のないものに思えたりすることがあります。そんな時に読み返すのに、ぴったりなのが大島作品。手の中にある、小さな自由を大事にしようと思えます。


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