近年の韓国映画は豊作ぞろいです。 第93回米アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされた「ミナリ」では、破天荒なおばあちゃんを演じたユン・ヨジョンが助演女優賞を受賞しました。昨年は、もちろん「パラサイト 半地下の家族」一色でしたよね。 “無意識の悪意”が階級を分断する 映画「パラサイト 半地下の家族」 #171 ドラマの方も、「愛の不時着」や「梨泰院クラス」など、多くのドラマが話題になっていました。韓国の物語がこれほど評価を受けている背景には、どんな変化があるのか。 『韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020』は、韓国作品におけるフェミニズムや格差社会について、西森路代さんとハン・トンヒョンさんが“おしゃべり”している本です。 ☆☆☆☆☆ 『韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020』 https://amzn.to/3uUHr3t ☆☆☆☆☆ “対談”というより“おしゃべり”という言葉がぴったりではあるのですが、けっして「韓流ドラマラブな女性のウキャウキャしたパジャマトーク」ではないので、それを期待して読むとだいぶ違います……。 4月29日に本屋B&Bで行われたイベントで、ゲストとして登場した町山広美さんは、「お互いの個人的事情に興味のない感じがおもしろかった」と語っていました。 まさに!な距離感なんです。そして、どちらかというとドライな視線で、数々の映画やドラマが解説されています。 とても共感したのは、韓国ドラマが「わかりにくさを求め始めているのでは」という指摘です。内省的な、わかりにくい世界が増えている韓国ドラマに対して、日本のドラマは「わかりやすさ」を求めすぎているのではないか、という意見も。 わたしは日本のドラマをほぼ観ていないので知らなかったのですが、そうだったのかという気持ちと、やっぱりという納得感がありました。 演技ではなくセリフですべてを語ったり、内面をわざわざセリフにしてしまったり。こういう演出は、なにも考えずにストーリーを追えるのかもしれませんが、検索によるつまみ読みみたいで……。 本には、対談以外にも、おふたりが発表された映画に関する記事も収録されています。 本を制作される方に、心からお願いしたいことがひとつ。 Qサイズの小さなピンクの文字は、めちゃくちゃ読みにくいです……。