“マブリー”の愛称で親しまれている俳優のマ・ドンソク。出世作といえば、2016年に公開された「新感染 ファイナル・エクスプレス」です。
ソウルからプサンに向かう特急電車で発生したゾンビによる大パニックから身重の妻を守る夫を熱演し、大ブレイクしました。
三白眼・コワモテ・マッチョという、恐怖の三拍子を備えた外見を活かし、ドラマや映画での活躍が続いています。
彼の魅力は、不愛想でぶっきらぼうで武闘派な印象なのに、弱き者にはとことん優しい姿を見せてくれるところだと思います。だから姓のマ+ラブリーをミックスして、“マブリー”なんて呼ばれちゃうんですね。
警察と地元ヤクザ、中国マフィアが繰り広げる三つ巴の仁義なき戦いを描いた映画「犯罪都市」では、頼れる先輩を演じていました。
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公式サイト
http://www.finefilms.co.jp/outlaws/
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舞台はソウル南部のチャイナタウン。勢力を二分し、対立する毒蛇組とイス組ですが、マ・ソクトには頭が上がりません。人柄と腕っ節の強さで商店街の人々にも親しまれている刑事です。 そこへ中国の犯罪集団「黒竜組」が進出。パワーバランスが崩れ、ヤクザ同士の抗争が始まります。マ・ソクト率いる警察の強力班は一掃を試みますが、若手刑事が大けがを負う事態に。この争いを止めることはできるのか……。
包丁を振り回してわめくヤクザを一撃で黙らせ、取り調べに応じない容疑者を一撃でその気にさせ、相撲取りのような見張り役を一撃で気絶させる。なのに、商店街の屋台で働く少年には支援を欠かさない。
そんな“コワモテマッチョだけど根は優しい”=マ・ドンソク像を確固たるものにした映画といえるかなと思います。
この映画は実際に韓国・ソウルの九老区で起きたマフィアの抗争をベースにしているそうです。地図で見ると、明洞やカロスキルのある江南といくらも離れていないのが分かりますよね。この辺りは現在、デジタル産業団地になっているそう。
中国北東部から韓国に移住してきた朝鮮族は、平和に事業を営む者たちがいる一方で、腕力に頼る者たちも出てきてしまいます。その時代を描いているので、セリフには入国管理法に関する嫌味もあります。
映画の中で商店街が映るシーンには
「同胞のみなさん! 自らイメージアップしましょう!」
の文字も。皮肉ですね。笑
映画でマ・ドンソクが演じるマ・ソクト刑事はもちろん、「黒龍組」を演じたユン・ゲサンとチン・ソンギュがめちゃくちゃ怖いんです。論理とか、人情とか、そんなぬるい言葉が吹っ飛ぶ非情さです。
(画像はKMDbより)
「犯罪都市」で第54回百想芸術大賞で新人監督賞を受賞したカン・ユソン監督は、20年近くもの不遇の期間を耐え、友人であるマ・ドンソクと映画の草案から練り上げたそう。
本来なら主役のマ・ドンソクの見せ場となりそうなシーンを振り分け、悪役や後輩刑事のシーンを増やしたのだそうです。その甲斐あってか、この映画でチン・ソンギュは第38回青龍映画賞の助演男優賞を受賞しています。
(画像は映画.comより)
自分を支えてくれた友人への恩を忘れず、監督デビューと興行収入歴代3位という大ヒットをお返しする熱すぎる友情。それが“マブリー”なのです。
映画情報「犯罪都市」121分(2017年)
監督:カン・ユンソン
脚本:カン・ユンソン
出演:マ・ドンソク、ユン・ゲサン、チョ・ジェユン、チン・ソンギュ、パク・ジファン
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