身長178cm、体重100kg、元ボディビルダーという体格を生かした演技で、武闘派のイメージが強い俳優マ・ドンソク。近年は、役柄の幅も広がっていますが、今年日本で公開された映画はほとんどが“腕力系”。
すべてをなぎ倒す勢いが楽しいのですけれど。
武力だけでなく、優男な部分を融合させた役柄もできるようになったんだなと感じた映画が「守護教師」でした。
☆☆☆☆☆
映画「守護教師」
DVD
(画像リンクです)Amazonプライム配信
(画像リンクです)☆☆☆☆☆
ボクシングの元チャンピオンだったギチョルは、暴力沙汰でコーチの職を失ってしまいます。妹の紹介で得た仕事は、なんと女子高の体育教師! 必死に学校になじもうとするも、失敗ばかり。そこで不登校の同級生を探すユジンを手伝うことにしますが、警察も他の教師もまともにとり合おうとしない様子に、不信感を抱きます。そんな中、ユジンが何者かに襲われてしまい……。
正義感が強く、その分、世渡り下手。体育教師と同時に学費の未納分を取り立てる仕事も請け負っています。こんなの家に来ちゃったら怖いよ……。
(画像はKMDbより)
姓のマと、ラブリーを組み合わせ、“マブリー”の愛称で親しまれているマ・ドンソクは、彼自身がひとつのジャンルと呼べるくらい“大運動会”な映画が続いています。
「守護教師」は先日ご紹介した「無双の鉄拳」よりも犯罪・スリラー要素の強い映画ですが、それでもやっぱりすべてを解決してくれるのは、マブリーの腕力。木製の扉なんて、なんの役にも立たずに吹っ飛ぶんですから。それなのに女子高生にはやり込められる、かわいい姿が拝めます。
ユーモアの差し込み方が、ホントにうまいんですよ。
ちなみに、女子高生を演じるのは「アジョシ」の名子役キム・セロンです。大きくなっちゃって!!!という感じなのですが、マブリーと並ぶと遠近感が分からなくなっちゃう。笑
それにしても、これだけ“大運動会”系映画が量産されると、マブリーが消費されて終わってしまうのではないかと不安でした。
が、先に書いたように、優男な部分を融合させたり、脳みそまで筋肉でできてんじゃないのかと感じる男が社会性を身につけて成長したりと、複雑な人間味を出す演技の深みは増しているように感じます。
特にこの映画で描かれているのは、韓国の伝統的な「父権主義」です。あっさりと犯人が分かったと思ったら、事件は二転三転。閉鎖的なムラ社会の掟と格差が捜査の邪魔をしているのです。
そこに切り込むマ・ドンソクは、世渡り下手で曲がったことが大嫌いなので、空気を読んで忖度するなんてできない人物。
「よそ者」こそ、壁を崩すことができる。
町にただよう閉塞感が人々を翻弄するあたりは、映画「クルーシブル」に近いサスペンス性がありました。原題は「町内の人々」なので、これまた邦題がちょっと残念案件かな。“マブリー”人気にのっからなくても、サスペンス押しで十分に楽しめたのに。
ま、「守護教師」と「無双の鉄拳」を上映していたキネカ大森にはマブリーコーナーもありましたけどね。笑
映画「守護教師」100分(2018年)
監督:イム・ジンスン
脚本:イム・ジンスン
出演:マ・ドンソク、キム・セロン、イ・サンヨプ、チン・ソンギュ
コメント
コメントを投稿