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90年代トレンド満載!一番輝いていた時代の明と暗 映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」 #403


「あなたが一番輝いていた時はいつですか?」

子どもの頃に思い描いていた未来はあったけれど、ノストラダムスの大予言は現実にならなかったし、2001年になっても宇宙の旅は現実にならなかったし、2003年4月7日になってもアトムは誕生しなかった。少なくとも、夏はここまで地獄のように暑くはなかった。

“未来”ってもっとキラキラしてたんじゃなかったっけ?

現在の自分を思うと、無邪気にそう思っていた自分がうらやましくなります。

「一番輝いていたのは高校時代!」という主人公が、20年以上という歳月を経て親友と再会する映画を観ました。

明るく無邪気で、そして残酷だった仲良し女子高校生グループの、いまと過去を描いた映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は、90年代のトレンドを詰め込んだストーリーです。「一番輝いていた時」がキラキラしてまぶしいくらい。

☆☆☆☆☆

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」

(画像リンクです)

☆☆☆☆☆

<あらすじ>
専業主婦の奈美は、母の見舞いに行った病院で、かつての親友・芹香と再会する。久しぶりの出会いを喜ぶものの、芹香は末期がんに冒されていた。「死ぬ前にもう一度だけみんなに会いたい」という芹香の願いを叶えるため、かつての仲間たちを探すことにするが……。

韓国でスマッシュヒットとなった映画「サニー 永遠の仲間たち」の、日本版リメイクです。


監督と脚本は大根仁。「モテキ」や「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」同様、ポップカルチャー満載。

しかも時代は90年代半ば。

小室サウンド全盛期のコギャルブーム真っ盛りー!

サブタイトルにも使われている小沢健二「強い気持ち・強い愛 Metropolitan Love Affair」をはじめ、安室奈美恵「SWEET 19 BLUES」、TRF「survival dAnce 〜no no cry more〜」、JUDY AND MARY「そばかす」、PUFFY「これが私の生きる道」など、懐かしのサウンドもいっぱいです。

現代のオトナ時代と女子高生時代を行ったり来たりして進むストーリー。出演している俳優がとにかく豪華です。

主人公の奈美を演じるのは、現代編が篠原涼子、JK編は広瀬すず。とりあえず、一定の年齢以上の人にとっては、篠原涼子の制服姿がかなりツボだと思います。東京パフォーマンスドール時代を彷彿させるダンスもあり。

(画像はAmazonより)

でも。

なにより。

一番は。

広瀬すずちゃんがカワイイ!!!

(画像は映画.comより)


日本版は韓国版の設定をほぼ引き継いでいるのですが、大きく違っているのが時代設定です。

韓国版では1986年が舞台。一方の日本版は1990年代後半。広瀬すず演じる奈美の家族は、阪神・淡路大震災によって経済的に厳しくなり、東京に引っ越してきたという設定です。

転校初日、ギトギトのコギャルたちの世界にやってきた奈美は、あまりの別世界ぶりに驚愕してしまう。

質の悪そうなグループにからかわれているところを助けてくれたのが、板谷由夏と山本舞香が演じる芹香。彼女と仲良くなり、「サニー」を結成。ダンスコンテストに出場することになります。淡い恋なんかもあったりするのですけど。

でも。

とにかく。

広瀬すずちゃんがカワイイ!!!

(画像は映画.comより)

思わせぶりな先輩・三浦春馬さんもステキでした。

映画をひと言でいうと、「JK版 Stand by Me」なんですよね。仲良しグループとのキラキラした時間が、ある事件によって一変。つらい過去が明らかになっていく。

韓国版と日本版のシンクロ率はかなり高くて、90%を超えていると思います(mame調べ)。


でも、いくつか決定的に違うところがあって、それが映画の印象を変えてしまったなという気がします。

ひとつは、先ほど書いた時代設定。

もうひとつは、ラストシーンです。

葬儀会場に集まったかつての仲間たちは、そこで早世した友人の遺書について知ることになります。この「遺書の内容」が賛否を分けることになるのですが、日本版のエンディングだと、わたしも「否」になってしまうんですよね……。

この変更が、映画の印象を大きく変えたと感じます。

次のリーダーに指名された奈美は「ホントにあたしでいいのかな?」なんて言っています。韓国版では「就任おめでとー!」なんですけどね。この辺りはいかにも日本的ですね。

そして韓国版ではあらかじめビデオテープが友人たちに送られ、「練習してくるように」と言われているんですけど。日本版では遺言の内容を受け取る条件としていきなり「踊れ」と言われるんです。

そんなこと急に言われて小沢健二の曲に合わせて踊れるなんて、渡辺直美くらいなんでは。

ま、そこは「映画だから」と思って乗り越えたとして。

遅れて到着した友がわざと左の髪をかき上げるんですよね。ネタバレしちゃうから詳しく書けないけど、この説明的なしぐさ! 韓国版ではこんなのない。セリフもない。ただ美しく立って微笑むだけ。あぁ、この違い。

それでも。

やっぱり。

広瀬すずちゃんがカワイイ!!!

(画像は映画.comより)

だから全部許せちゃうという映画です。


映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」 119分(2018年)

監督:大根仁

脚本:大根仁

出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生、三浦春馬、リリー・フランキー、板谷由夏

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