「ルールは、頭のいい奴に都合のいいように作られてるってことだっ!」
マンガ『ドラゴン桜』で、弁護士の桜木建二が檄を飛ばす時のセリフです。世の中が気に入らないなら、自分でルールを作る側に回るしかない。
そう思ったのかどうかは知らないけれど、ドラマ「ロースクール」でルールを作る側の人・行使する側の人たちは、ホントーーーに、自分の都合のいいように法を解釈していました。
その姿、アッパレと言いたくなるほど。
憑依型俳優キム・ミョンミン主演のドラマで、若手俳優たちがのびのびと演技している、というか、しごかれています。現在、Netflixで配信中です。
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ドラマ「ロースクール」Netflixで配信中
https://www.netflix.com/title/81413647
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韓国一の名門・韓国大学のロースクールで、教授が殺害されるという事件が発生。検事出身で、現在は刑法教授のヤン・ジョンフンが逮捕されてしまう。「ヤンクラテス」とあだ名されるほどのスパルタで知られるジョンフンは、自身の事件をも教材にしようとするが……。
2004年から放送されていたJ・J・エイブラムス監督のドラマ「LOST」って、ご存じでしょうか。無人島に不時着した乗客の、過去や秘密が徐々に明らかになっていく、というストーリーで、日本でも大人気になりましたよね。
当時のキャストがインタビューで、「来週の脚本を受け取った時、“オレ、まだ生きてるかなー”って、まず確認してたよ。笑」なんてことを語っていました。
ドラマ「ロースクール」でいうと、「来週は、わたしが“犯人”だー」なんて言っていたんじゃないかと思うくらい、殺人事件の容疑者が次々に変わっていくんです。
そして回を追うごとに、学生と教授、学生同士の関係、過去、秘密が明らかになっていきます。
犯人は、いったい誰なのか。なんのために殺したのか。
推理ドラマをベースに、突きつけられるのは、法律における「正義」です。
落第スレスレの落ちこぼれ学生もいれば、優秀なんだけどコミュニケーションに問題のある学生もいる。ピカイチの頭脳を持っているけど、倫理観がなかったり、必死さのあまり一線を越えてしまったり。
司法試験に挑戦する学生たちの、厳しい現実。こんな苦労をして「法律の専門家」になった後、どんな道をいくのでしょう。
現役のプロである検事、政治家、弁護士、大学教授たちの姿が、学生たちにも大きな影響を与えていきます。
キム・ボム、リュ・ヘヨン、ヒョヌら、若手俳優たちが悩める学生を熱演。「パラサイト 半地下の家族」で、“印象的”な家政婦を演じたイ・ジョンウンが、民法の教授を演じています。
でも、わたし的にはやっぱり“ヤンクラテス”を、静かに、熱く、シビアに演じたキム・ミョンミンを推したい。
ドラマ「ベートーベン・ウィルス」でみせた“オレ様指揮者”に、輪をかけて我が道を行く教授役です。
徹底した役作りで知られるキム・ミョンミンは、1996年にSBSの第6期公開採用タレントに選ばれてデビュー。2004年にドラマ「不滅の李舜臣」の李将軍役で一躍スターとなります。
役作りのために20kgもの減量をしたり、人との関わりを絶つことで絶望を演じたり。ロバート・デ・ニーロみたいな俳優なんです。
今回のドラマでは、難しい法律用語をベラベラと速射砲のように連射。相手を追い詰めていくシーンが多かったのですが、インタビューで「セリフをしっかりと覚えるのに、普通のドラマの10倍の時間がかかった」と語っています。
政治家のスキャンダルが続き、検察改革が叫ばれる韓国で、自分でルールを作る側への怒りを表現した、骨太のドラマです。正義を具現化しようとする「大人のかっこよさ」を、若者目線で感じられますよ。
ドラマ情報「ロースクール」JTBC 全16話(2021年)
演出:キム・ソクユン
脚本:ソ・イン
出演:キム・ミョンミン、キム・ボム、リュ・ヘヨン、イ・ジョンウン、イ・デビッド、イ・スギョン、ヒョヌ
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