なんじゃこりゃ!?と感じるくらいベタなコメディって、心から愛しいのです。バカをやってくれるほど、愛がつのる。
いまや“世界の”ソン・ガンホが、若かりし頃に主演した映画「反則王」が、まさにこれ。「昼はダメダメ銀行マン、夜は覆面プロレスラー」という役柄で、プロレス技をきめる!んだけど、教えてくれる先輩は、コブラツイストも分かんないという……。
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映画「反則王」
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遅刻常習犯でノルマの達成もできず、いつも上司に叱られてばかりの銀行員イム・デホ。上司のヘッド・ロックを破りたいと考えたデホは、プロレス館への入門を決意するが……。
キム・ジウン監督は、前作の「クワイエット・ファミリー」が、韓国で大ヒットを記録。うだつの上がらない長男を演じていたソン・ガンホは、「反則王」で初めて映画主演を果たしました。
そして「反則王」がまた大ヒットしたもんだから、倒れるくらい飲み明かしたのだとか。この映画が大きな転機になったと語っています。
こんなんなんですけどね。日本で公開された2001年当時、わたしが使っていたガラケーの待ち受け画面はこれでした……。
(画像はKMDbより)
韓国映画界で初めて、高速カメラが使われた映画でもあります。エンドロールには「ピアノ線特殊技術」という項目があるので、前年に公開された「マトリックス」みたいな撮影だったのではないかなと思われます。
リングに張られたロープの上から、ソン・ガンホが飛ぶんです。キレーーーに一回転して、着地!
「栄光の架橋」が脳内再生される!!
みたいなシーンもありつつ、基本はドタバタコメディなので、めちゃくちゃベタなネタが展開されていきます。ソン・ガンホ得意の“コソコソ歩き”も、この映画ですでに披露されていたんだなーと、なつかしく観ました。
わたし的2020年最高の一本である「エクストリーム・ジョブ」も、小ネタが満載の映画でした。
これに比べると、「反則王」はB級感漂う映画ではありますが、映像のつなぎ方がとても上手だなと思います。
映画の冒頭から、デホは上司に暴力を振るわれます。洗面台にポトリと落ちたのは、名札。ちゃんと主人公の名前が分かるようになってるんですね。
テコンドーの道場に、ひとりだけ仮面を付けている子がいたと思ったら、飛んできた新聞紙が仮面のように張り付いてしまったりして、「覆面レスラー誕生」を予告するかのよう。
こういう、次のシーンへとキレイにバトンが渡されていく映画の文法みたいなところが、ホントちゃんとしてるんです。B級だけど。
映画には、ノルマが達成できない、勤務態度が悪いと、なにかにつけヘッドロックをかけてデホをいたぶる上司が登場します。
(画像はKMDbより)
パワハラでしかないんですが、デホはなんとか上司を見返そうと、プロレスを教わりにいきます。そして、努力する楽しさを知っていく。
映画が公開された2000年頃には、韓国のプロレスブームは下火になっていたそうですが、ソン・ガンホの姿を見て再び人気になったのだそう。
平凡な会社員にとって、ちょっと夢のあるカタルシスがある映画です。
最後の試合で審判を務めていたのは、「ベテラン」の武術監督チョン・ドゥホン、チンピラ役にシン・ハギュンがいたりして、ちょこっと出演している俳優だけでも「うぉぉぉー」となっちゃった。
映画「反則王」112分(2000年)
監督:キム・ジウン
脚本:キム・ジウン
出演:ソン・ガンホ、チャン・ジニョン、パク・サンミョン、チャン・ウンイン、キム・スロ、シン・ハギュン
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