資産10億米ドル以上(約1000億円)の人は、世界中に2189人しかいない。
世界の総人口は、「世界人口白書2021」によると、78億7500万人。上位0.00003%の人だけが「ビリオネア」と呼ばれているんですね。
そんな富裕層の数パーセントが好んで暮らしているのが、ニューヨークの超高級住宅地アッパー・イーストサイドだそう。「SEX and the CITY」でキャリーが住んでいる街という設定でした(実際のアパートメントがあるのはウエストビレッジ)。
アッパー・イーストサイドでは、男たちは高学歴で高収入。女たちは最先端のファッションを身にまとい、バーキンを持って歩く……。
子育てのためにそんな街へ引っ越したウェンズデー・マーティンさんが見た、街の姿とは。そしてそこで暮らす“女たち”のリアルとは。
『パークアヴェニューの妻たち』は、マーティンさんの専門であるフィールドワークの知見を生かして観察したエッセイです。
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『パークアヴェニューの妻たち』
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舞台は、パークアヴェニューというサバンナ。過酷な弱肉強食社会、下克上が当たり前のサバイバルの街です。「ウシャーーーッ」という感じで攻撃をしかけてくる女性たちの習性を、ゴリラや猿などの類人猿と比べながら分析しています。
引っ越し当初はママ友もなく、無視されたり、意地悪されたり。毎日がドキドキの大冒険そのもの。
歩道を歩くにしても「カースト」があるようで、一番上の階級となるにはバーキンを手に入れるしかない!!!と奮闘する姿には、ちょっと笑ってしまいました。
街に脅えていたはずが、知らず知らずのうちに、自分も染まっていくのか……。
女性たちが自分の美を守るためにするストイックな行動も驚きでした。人としての温もりを感じさせない“ご近所さん”たちですが、マーティンさんの身に起きた不幸に対しては、親身に寄り添う姿をみせてくれます。
林真理子さんのエッセイに、東京生まれの人はパジャマでコンビニに行けるけど、地方出身者はおめかししてからじゃないとムリ!という話が出てきます。
都会に暮らしてきたといっても、本人にとってはそこが“地元”。「オシャレの街・東京」というイメージの強い地方出身者とは差が生まれてしまうわけです。
わたしは地方出身の東京住まいですが、下町の外れに住んでいるせいか、パジャマでコンビニ行けちゃいます……。そんなだらしなさだから、パークアヴェニューで生活なんて、緊張してムリだなーと読みながら何度も笑ってしまいました。
大好きな韓国の俳優チョン・ヘインは、ニューヨークを満喫していましたけど。
知られざる上流階級の生態。
人に弱みを見せられない生活は、女性たちの執念によって出来上がっているともいえます。でもそれは、あまりにももろくて壊れやすいのでした。
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