動物のいない動物園は、再生できるのか!?
韓国の「ウェブトゥーン」で連載されたウェブマンガを、ソン・ジェゴン監督が映画化。ひたすらコミカルに振り切った脚本と、“動物の演技”が楽しめる映画「シークレット・ジョブ」を紹介します。
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映画「シークレット・ジョブ」
公式サイト
http://klockworx-asia.com/zoo/
DVD
Amazonプライム配信
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有名法律事務所で見習い弁護士として働くテスに、廃業寸前の動物園「ドンサンパーク」の経営を3か月で立て直すという案件が舞い込む。客はおろか、動物すらほとんど残っていない動物園を救うため、新園長に赴任したテスは、スタッフたちが動物に扮装するという奇想天外な打開策を打ち出し……。
ソン・ジェゴン監督の前作「2階の悪党」は、ハン・ソッキュとキム・ヘス主演のコメディでした。キム・ヘスのイライラする空気感が最高に笑える映画です。
「シークレット・ジョブ」はというと、こちらの映画ほどのビッグネームは出演していません(失礼)。園長になった弁護士はアン・ジェホン、「ヴィンチェンツォ」のチョン・ヨビンも“スタッフのひとり”くらいの扱いです。
でも、脚本がホントにうまいんです。
秘密に対して、必死にマジメに取り組むほど、笑いって生まれるんですよね。
「動物園なのに動物がいない」という状況を打破するため、ホンモノそっくりな着ぐるみを用意し、スタッフ総動員で演技をするんです。当然、みんなヘトヘトに。
(画像は映画.comより)
韓国映画やドラマには、庶民 vs. 財閥企業の構図がよく描かれます。「シークレット・ジョブ」もやはり、裏側に財閥の思惑が働いていることが判明するのですが。
踏みつけられ、痛めつけられ、すべてを失い、絶望した庶民の反撃にカタルシスを持ってくる脚本が多い中、この映画はちょっと違いました。
大企業を手玉にとって、うまく乗せ、自分たちの思いを通してしまうんです。ちなみに、うまく乗せられてしまう財閥の親玉役は「ミナリ」のハン・イェリが演じています。
デモや、抗議、暴力だけが抵抗の手段じゃない。
知恵とアイディアで、財閥をくすぐり動かしていくのは、すがすがしい気持ちよさがありました。原題の「해치지않아」も、日本語にすると「傷つけない」という意味なので、ピッタリだなーと思います。
邦題が「シークレット・ジョブ」なのは、やっぱ「エクストリーム・ジョブ」にあやかろうとしたのかな。笑
笑って、戦って、仕事する。明日への活力となりそうな映画です。
映画「シークレット・ジョブ」117分(2020年)
監督:ソン・ジェゴン
脚本:ソン・ジェゴン、イ・ヨンジェ、キム・デウ
出演:アン・ジェホン、カン・ソラ、パク・ヨンギュ、キム・ソンオ、チョン・ヨビン、ハン・イェリ
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