新型コロナウイルスの流行によって、仕事の仕方が変わった、という方は多いのではないでしょうか。
リモートワークになった。リアルでの商談がなくなった。仕事後の飲み会がなくなった。などなど。
リアルでの距離感はもちろん、交互に話さないといけないオンラインミーティングなど、他者とのコミュニケーションの取り方にも、大きな影響を受けましたよね。
こうした、いかに他者と関わるのかという問題を正面からとらえた本が『「利他」とは何か』です。
伊藤亜紗さん、中島岳志さん、若松英輔さんら、東京工業大学にある「未来の人類研究センター」の方々による考察が紹介されています。
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『「利他」とは何か』
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そもそも「利他」とは仏教の言葉だそうです。そして「利」という言葉は、肯定的な意味合いを指すことが多いのだそう。
とはいえ、「他人を利する」ことは、自然な心の動きなのか?
そこに合理性は必要なのか?
見返りを求める気持ちは、あってはいけないものなのか?
といった、考えれば考えるほど、「うーん……」となってしまいそうな問いが並んでいます。
なかでも伊藤亜紗さんは、「利他」に対する不信感から研究を始めたそうで、障がい者との交流や、資本主義経済の中で「利他」がどのように現われるのかという事例は、とても興味深かったです。
哲学的な問いを、「わらしべ長者」の物語で読み解いたり、柳宗悦の美学からみてみたり、自分の中にも、さまざまな疑問が湧き上がってきます。
こういう正解のない問いを、武器としての思考にすることが、現代のリベラルアーツなのかもしれませんね。
著者のみなさんが所属されている東京工業大学のリベラルアーツ研究教育院は、「理工系専門知識」という縦糸と、「リベラルアーツ研究教育院」が提供する「教養」という横糸で未来を拓く人材を育成することがモットーだそう。
その中で動き出したのが、「利他プロジェクト」。
https://www.fhrc.ila.titech.ac.jp/
これはウォッチしていきたい!
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