やってくれるぜ、リドリー・スコット監督!
映画「ハウス・オブ・グッチ」を観て、思わずそう言いたくなりました。
高級ブランド「GUCCI」の創業者一族を描いた物語。キャストはレディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レトという豪華さです。
まだ劇場で上映しているところも多いので、大きなスクリーンでぜひ。
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映画「ハウス・オブ・グッチ」
公式サイト:https://house-of-gucci.jp/
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序盤は、パトリツィア・レッジャーニと、グッチ創業者の孫であるマウリツィオ・グッチのロマンスがメインに進みます。
パトリツィアはお父さんの運送業を手伝っているワーキングウーマンで、決して貧しい家庭の女性ではありません。
でも、巨大な金ぴかの肖像画=<アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像>を見て、「……ピカソ?」と言ってしまうところから、教養がないことがバレてしまう。
正解は、クリムトです。
ガッチガチにボディラインを強調したファッションから、全身「GUCCI」でまとめ、ゴージャスな女性へと変身していくパトリツィア。
(画像は映画.comより)
そのマウリツィオを演じる、アダム・ドライバー。やっぱりオドオドしていて、育ちの良さと、女性経験のなさがダダ漏れの青年です。
従兄のパオロ・グッチを演じるジャレッド・レトの芸達者ぶりも見逃せない。そして、実の父に結婚を反対され、一族の中で孤立したふたりを支援したのが、伯父のアルド・グッチ。アル・パチーノの「オラオラおっさん」感が最高によかった。なんてったって、「GUCCI」を「家族割引」で売ってくれるんですよ。
(画像は映画.comより)
かわいがってきたふたりに裏切られたことを知り、涙を見せるアル・パチーノ。「パパー!!」と叫びたくなってしまった。
実際、原作はあるものの、“王国の継承”という点で「ゴッドファーザー」を思わせる筋書きでもあるんですよね。
人生とは操り、操られるものであり、相手に「ノー」とは言わせず、欲しいものを手に入れる。
そして、受け継がれる「血」。
残念ながら、3代目にはデザインセンスも、経営センスもなかったようで、王国が崩壊していくのです。
そのきっかけとなったのがパトリツィアの存在、とされています。成金が伝統に憧れるように、「グッチ」の名前に吸い寄せられ、実際に手にした権力に酔ってしまったのかもしれないけれど。
ラストシーンの台詞は、愛故なのか、プライド故なのか。
彼女は本当に、マウリツィオを愛していたのだろうなと思いたい。
本物のパトリツィア・レッジャーニは、2016年に釈放され、約24億円の未払い年金を受け取ったそうです。
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