こうして毎日ブログを書いていて、一度はやってみたかったことがありました。
読んでない本について書いてみたい!!
たとえば清水義範さんは『主な登場人物』で、チャンドラーの『さらば愛しき女よ』の登場人物だけでストーリーを想像する……という短編を残しておられます。
こういう「芸」のあるものを書いてみたかったなー。もちろんピエール・バイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』を読んだから、狙っていたんです。
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『読んでいない本について堂々と語る方法』
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ピエール・バイヤールは精神分析家の大学教授です。大学の講義の中で名作本について触れることもあれば、自身が書く論文に引用することもある。メディアにコメントを求められることだってあります。
こうした「文化人」枠の人たちは、はたして本当に本をすべて読んでいるのでしょうか?
バイヤールの答えは、「non」!
『読んでいない本について堂々と語る方法』の中でとりあげる本については、
<未>ぜんぜん読んだことのない本
<流>ざっと読んだことがある本
<聞>人から聞いたことがある本
<忘>読んだことはあるが忘れてしまった本
の4分類で記号が付けてあるんです。つまり、どの本もうろ覚え状態。バイヤールは他の文化人も大して変わらず、「読んだふり」してるんですぜ……と指摘しています。
では、なぜこうした人たちは、正々堂々と語れるのか。
ひとつには、文学や歴史の大きな地図の中で、その作品の立ち位置が分かっているからだ、とのこと。
さすが教授。読んでない本について語るためには、その本のページ数の100倍は教養が必要なのだと教えてくれました……。
いまではもう割り切ってマイペースで書くようになったけれど、「#1000日チャレンジ」を始めた当初は、いったいどうすれば「書評」や「映画評」と呼ばれるものになるのだろうと、試行錯誤して、書評の本も読みました。
ある方は、書評するために最低でも3回は読むと仰るし、ある方は、目次をパラッとめくって、よさげなページだけ読むと仰っています。
どっちもムリや……というわけで、我が道をいくことになったわけです。教養なんてすぐにつくものでもないし。フン。
どれだけ読書が好きな人でも、世界には「読んでない本」の方が多いといえます。その荒野の広さを感じるのが、わたしは好きだったりするのですよね。
『読んでいない本について堂々と語る方法』は、タイトルからはハウツー本に見えますが、実は文学の歴史を紐解く名作ガイドブックでもあります。
その本を読まずに何を書くか……という話を読みながら、めっちゃその本が読みたくなってしまう。
バイヤールは「パラドックスの名手」と呼ばれているそう。なるほど、さすが!な世界でした。
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