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でぶりんの観察日記 #2:がんばる猪木とカニ歩き


朝、目を覚ましたら、枕元に、でぶりんことダンナ氏が立っていました。

両手を顔の横に広げて、小さくバンザイの姿勢。満面の笑みを浮かべて、カニ歩きしながら行ったり来たり……。

しばらくボ〜ッと眺めていましたが、ようやく何をしているのか気が付きました。

インベーダーゲームだ!!!

手を出して、「バン!バン!バン!」と撃てみたら、「フニャニャニャ〜」と倒れてくれました。

ま、こんな感じで平和な我が家です……。


でぶりんが突然インベーダーゲームごっこを始めたのは、テレビで見た「脳疲労」のニュースのせいだったのかも。


2年前にでぶりんが早期リタイアして家にいるようになったとき、バーンアウトを心配していました。

結果的に、テニスに行ったり、大学のセミナーに行ったりして機嫌よく過ごしていて、杞憂に終わったのですけれど。

今度はわたしが会社員を辞めたので、不安になったのかな!?

ここのところ仕事が立て込んでいて、無口だったからかも!?

でぶりんはあまり口数が多い方ではないので、今回のように何かわたしを笑わせるものを探してくる。これがでぶりんのコミュニケーションの形です。


もう10年以上前のことになります。

仕事先でパワハラを受けて、精神的にボロボロになっていた時期がありました。このとき、でぶりんが「猪木」のマグネットをくれました。

首からタオルを下げ、「ファイヤー」のポーズをする猪木。



足元のマグネットをとると、グッタリしちゃう。



再びマグネットを付けると、「ファイヤー」とばかりにムクッと起き上がる!



「がんばる猪木ー!」

「グッタリ猪木ー!」

「がんばる猪木ー!」

と、何度もマグネットを付けたり外したりして遊んでいました。一日に、100回以上はやってましたね。いま思うと、壊れていたんでしょうかね……。


こんな話を思い出したのは、友人から「これって、パワハラといえるのかな」という相談を受けたからです。

厚生労働省のサイトによると、「職場のパワーハラスメント」の定義は、

①優越的な関係を背景とした言動であって、

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの3つの要素を全て満たすもの

だそう。

ハラスメントは、生きる力を奪います。自己肯定感の低い人なら、なおさらです。

なによりつらいのが、攻撃が再生産されることだと思います。

数年前、あるコミュニティの中で暴言を吐かれたので、去ることを決めたのですけれど。お仲間のひとりから連絡をもらいました。

「あの人、会社で上司にいじめられているらしくて、不安定なんですよ。許してあげてください」

冗談じゃない。

いじめられてつらい思いをしていることは、本当に気の毒だと思います。でも、だからといって人を攻撃していい理由にはならないのです。

故意にせよ、意図的にせよ、誰かを傷つけると、その人の周囲に傷が広がってしまう。これほどつらいことはない。

……って、棚の上にあがったようなことを書いていますが、わたしもきっと、これまでの言動の中で誰かを傷つけたり、怒らせたりしていたと思います。

人間って未完成な生き物だから。

自分を律することを目標にしました。攻撃を再生産したくなかったから。弱いほうに向かうパワーの連鎖を断ち切りたかったから。

自分のことで夢中になっていたら、こんなことは絶対に起きないでしょうし、自分の痛みから目を上げて周囲を見ることができれば、自分を取り巻くつながりに気付けるかもしれない。

自分の人生を生きなきゃね、と、でぶりんのカニ歩きを見ながら思ったのでした。


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