韓国の映画を観ていると、「日本人役は、日本人の役者に!!」と思うことがあります。まぁ、せっかく日本人をキャスティングしているのに、棒読みすぎてほとんど聞き取れないということもありましたが。
なかなか「共同制作」は難しそうですが、2002年にはウォンビンと深田恭子主演の恋愛ドラマ「friends」が両国で放送されています。
このドラマは現代劇でしたが、日本統治時代の韓国を舞台にした映画だと、当然、日本人も日本語を話す韓国人も登場することになります。この辺りのキャスティングは難しそう……。
そう感じてしまった映画がチェ・ドンフン監督の「暗殺」でした。「猟奇的な彼女」で一世を風靡したチョン・ジヒョン、「神と共に」シリーズのイ・ジョンジェ、ハ・ジョンウ主演の歴史サスペンス映画です。
☆☆☆☆☆
映画「暗殺」
DVD
☆☆☆☆☆
独立運動に身を投じた青年ヨム・ソクチンは、要人の暗殺に失敗。かくまってもらった夫人と双子の姉妹と共に、満州へ逃れます。そして1933年、韓国臨時政府は、日本政府の要人と親日派を暗殺するため、独立軍最高のスナイパーを含むメンバーを京城(ソウル)へと送ることに。 暗殺団を招集したのは、かつての熱血青年ヨム隊長。しかし彼は、日本政府の密偵でもありました。ヨム隊長に疑いの目を向ける臨時政府のメンバー、「ハワイ・ピストル」と呼ばれる殺し屋、そして暗殺団が上海から京城へと集まり……。
まずもって、脚本が複雑すぎるので歴史を知らないとついていけないかもしれません。簡単に人物関係をまとめてみました。
<人物関係>
・独立運動軍
狙撃手 アン・オギュン:チョン・ジヒョン
速射砲 チュ・サンオク:チョ・ジヌン
爆弾職人 ファン・ドクサム:チェ・ドクムン
運動家 キム・ウォンボン:チョ・スンウ
アネモネカフェ マダム:キム・ヘスク
・韓国臨時政府
隊長 ヨム・ソクチン:イ・ジョンジェ
・暗殺請負人
ハワイ・ピストル:ハ・ジョンウ
爺や:オ・ダルス
・実業家
カン・イングク:イ・ギョンヨン
主要な登場人物だけでも十分多いですね。笑
ですが、「10人の泥棒たち」など、娯楽性映画を作り続けてきたチェ・ドンフン監督なので、ちょっとした遊び心も隠れています。出演者のギャグやトリビアを探る“まとめ映画”として観るのがいいかも。
たとえば、ハ・ジョンウとチョン・ジヒョンが初めて出会う上海の「ミラボーホテル」。物語でも重要なキーワードになっていますが、これはハ・ジョンウ主演の「哀しき獣」にも登場する名前です。
「哀しき獣」
https://note.com/33_33/n/n7ef8556bbb90
また、この「ミラボーホテル」で検問を受けたとき、ふたりは夫婦のフリをします。「ベルリンファイル」で、実際に夫婦を演じているんですよね。
ハ・ジョンウとチョ・ジヌンが殴り合いをするシーンは、まさに“大きいもの対決”といった感じで、「ゴジラvsキングギドラ」を思い出しました。
悪役がはっきりしているのでどんでん返しなどはないのですが、百発百中の凄腕スナイパーのチョン・ジヒョンが、過去の悲しみを乗り越えて命令を遂行できるのか、緊張感のあるドラマが続きます。
わたしが韓国映画を観るようになったのは、韓国語と翻訳字幕の勉強のためでした。で、この映画の場合、特別出演しているチョ・スンウだけ、暗殺を指示する「ターゲット」という発音が違っていたんですよね。
日本語でたとえると「ベネチア映画祭」と綴るか、「ヴェネツィア映画祭」と書くかの違いかな。
現代の韓国語規則に従うと、発音は「ターゲッ」となり、イ・ジョンジェやチョン・ジヒョンはそう発音しています。でも、チョ・スンウだけは「ターゲットゥ」と発音。
シナリオでは現代風の「ターゲッ」と表記されていたそうで、これはチョ・スンウのアドリブらしいです。1930年代という時代背景を考えて、英語式の発音を通したのだとか。
冷静で穏やかで上品な運動家が似合っていたチョ・スンウ。今日公開される映画「風水師 王の運命を決めた男」では、天才風水師を演じています。
歴史を踏まえた役作りを経て、チョ・スンウがどんな風水師を演じているのか楽しみ! こちらの映画は「街角のクリエイティブ」でコラムを書く予定です。11月半ばには公開できるかな。がんばりまーす!
映画「暗殺」139分(2015年)
監督:チェ・ドンフン
脚本:チェ・ドンフン、イ・ギチョル
出演:チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、チョ・スンウ、キム・ヘスク、オ・ダルス
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