外出自粛期間は、動画配信サービスが伸びたそうです。わたし自身、通勤時間がなくなった分、本を読んだり、ドラマを観たりする時間が増えたので、そうしたニュースの結果に実感がありました。
こちらでは動画配信サービスの「Paravi」の利用時間が3か月で3倍になったと報じています。
Netflixも状況は同じで、アジア・太平洋地域の加入者が360万人増加したそう。
わたしはNetflixに加入しているので、いきおい、Netflixで映画やドラマを観る時間が増えました。話題になっていた「愛の不時着」や「梨泰院クラス」を完走して、「韓流ドラマのセオリー」の変化を感じています。
ちなみに「梨泰院」は「イーテウォン」と読みます。ソウル駅に近い街の名前。「梨泰院クラス」とは、主人公の青年が起ち上げた居酒屋グループの会社名です。
今週の「#1000日チャレンジ」では、韓流ドラマの過去作と現在放送中のものを比較してみようかと思って、まず「愛の不時着」と「私の名前はキム・サムスン」の共通点とヒロインの変化について書いてみました。
もう一本、「梨泰院クラス」の比較対象として挙げたいのが「製パン王キム・タック」というドラマです。瞬間最高視聴率 58.1%を記録したドラマで、日本では2010年に初めて放送されました。
主演俳優たちの演技については「(何も聞かないで……)」状態でしたが、あまりの一所懸命さと脚本の勢いで、うっかり夢中になってしまった。
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ドラマ「製パン王キム・タック」
DVD
(画像リンクです)☆☆☆☆☆
コソン食品の会長ク・イルチュンと妻インスクに次女が誕生。しかし、後継者となる息子を期待していた一族は失望する。コソン家の使用人のミスンがイルチュンの子供タックを出産する一方で、妻のインスクは秘書とこっそり関係を持ち、念願の男児マジュンを出産。ところがインスクによって母ミスンが拉致されたため、タックは家を出奔してしまう。12年後、タックとマジュンは、パルボンベーカリーで出会い……。
異母兄弟とされているタックとマジュン。
タックー母ミスン:愛人とその息子だけれど、ミスンは父の初恋の人
マジュンー母インスク:正妻とその息子だけれど、実は父親が違う
なんだかねじれた設定ですね。ドラマの方もこの複雑さを活かした展開です。
「梨泰院クラス」や「製パン王キム・タック」のような復讐劇に共通するポイントは、
・親の敵が商売の敵でもある
・立身出世を目指す中の困難を描く
・出生の秘密がある
といったところでしょうか。
「製パン王キム・タック」では、不良少年だけど、純真で元気はつらつな正直者タックが、パン職人として成長する様子を描いています。でも、彼の第一目標は、行方不明になった母を探すことなんですよね。後半に、ほぼ「母を追いかける」だけの回もあります。これは視聴者から非難ごうごうだったのだとか。
脚本を担当したカン・ウンギョンがパン好きだったため、パンを素材にしたドラマを書こうと決めたそう。「2010年KBS演技大賞」や「2010年コリアドラマアワード」で作家賞を受賞していますが、取材のためにパンを作る工程を見過ぎたため、パンが食べられなくなってしまったのだとか。気の毒。
タックを演じたユン・シユンはオーディション当時、演技は下手だけど、気持ちの強さが感じられる青年だったそうです。それで主役の座を射止めたわけですが。
実は少年時代を演じたオ・ジェムくんの方がかわいかったんです!
(画像はwowkoreaより)
現在は公演芸術学科に通う大学生だそうで、Instagramを見てひっくり返るくらいびっくりしました。
あまりの衝撃で、ドラマの内容に入れないままムダに長くなっていく……。
えー、「製パン王キム・タック」で繰り返し示されるテーマは、「正直者が勝つ」です。わたしたちの生活では、人間的に生きるよりも前に、気持ちをくじかれてしまうことがたくさんあります。
お金によって。
学歴によって。
出自によって。
これらを何一つ持たないタックという青年は、あきらめるという言葉を知りません。彼のおかげで、周囲の人たちも人生をポジティブに変えていく。
そんなドラマです。そして、これはそのまま「梨泰院クラス」の主人公パク・セロイにも当てはまるのです。
ただし、成長の描き方はだいぶ違いました。「ドラゴンボール」タイプと「ワンピース」タイプといえるほどの変化に、時代を感じました。
明日はそんな視点から「梨泰院クラス」について書きたいと思います。
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ドラマ「製パン王キム・タック」
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ドラマ情報「製パン王キム・タック」KBS 全30話(2010年)
演出:イ・ジョンソプ
脚本:カン・ウンギョン
出演:ユン・シユン、チュウォン、ユジン、イ・ヨンア、チョン・グァンリョル
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