「イ・ヨンエ」という名前を聞いて、思い浮かぶ作品は年代によって違うかもしれないですね。
アラカンの方ならたぶんドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」。2004年にNHK-BS2で放送されたのですが、NHKが初めて放送した韓国時代劇が「チャングム」なんだそうです。うちの父もこれでハマりました。
アラフォー・アラフィフなら映画「JSA」ですかね。美しすぎる将校姿は、いまでも目に焼き付いています。
「春の日は過ぎゆく」などでもみせてくれた、はかなく美しすぎる姿は、「親切なクムジャさん」で見事に打ち破られました。
そして、新たな一面をみせてくれた映画が「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」。「イ・ヨンエ」という俳優の中に隠された仮面。いったいどれくらいあるのだろうと感じた映画でした。
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映画「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」
DVD
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ジョンヨンとミョングク夫婦は、6年前に行方不明となった息子のユンスを探し続けている。寄せられた情報を元に現場に向かう途中、夫ミョングクは事故で亡くなってしまう。憔悴する妻ジョンヨンだが、あらたに情報が寄せられ、漁村へと向かうことにするが……。
イ・ヨンエ14年ぶりのスクリーン復帰!と宣伝にありましたが、ブランクを感じさせない存在感と凄みがありました。まさかの立ち回りまであって、ガラスの扉につっこむイ・ヨンエにびっくりするシーンも。
「子どもの行方が分からなくなる」という事態は、「亡くす」よりも残酷な面があるのかもしれません。アンジェリーナ・ジョリー主演、クリント・イーストウッド監督の映画「チェンジリング」でも、母は息子の無事を決して疑わなかった。それが狂気へ至る道だとしても。
https://note.com/33_33/n/n924c6cf712e0
「チェンジリング」では最初、警察に届けるんですよね。「みつかった」という連絡も警察を通して受け取ることになります。この期間、5か月です。
「ブリング・ミー・ホーム」では6年もの間、夫婦で全国を探して回っています。民間の支援団体の手を借り、広く一般の人からも情報を集める。そのため、ガセネタに振り回されてしまうことも。
愉快犯、お金目当ての接近、いわれのないバッシング。それだけでも疲弊しそうなところに、児童虐待の凄惨な現場を目撃して、ホントーーーに胸がつまりました。
寄せられた情報を頼りにジョンヨンがたどり着いたのは、漁港近くの釣り店でした。この店とズブズブの関係である地元の警察署長を演じたのが、ユ・ジェミョン。「梨泰院クラス」で長家会長を演じた俳優です。ドラマ「秘密の森」でもいい演技をみせてくれていました。彼をみていると、「アリンコを踏むにも全力でいく象」を思い浮かべてしまいます……。
(画像はKMDbより)
釣り店の店主家族はじめ、村人はみな、ことごとくジョンヨンを妨害します。理由は、「めんどうなことになりそうだから」。そのために、どんどんと話がこじれていくのですが。
「チェンジリング」で母が戻ってきた息子の“外見”を見て、「別人」と見破ったように、「ブリング・ミー・ホーム」でも“外見”は、映画のカギになっていきます。
真実が明らかになったとき。……呆然としました。
映画の公開に合わせて行われた『婦人公論』のインタビューで、イ・ヨンエはこんな風に語っています。
もっともっと「イ・ヨンエ」の新たな顔がみたくなる映画です。そして、子を持つ親へ、あたたかい関心が高まるといいなと感じました。
人の心を殺すのは、「無関心」なのだから。
映画「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」108分(2019年)
監督:キム・スンウ
脚本:キム・スンウ
出演:イ・ヨンエ、ユ・ジェミョン、イ・ウォングン、パク・ヘジュン
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