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ドラマ「悪霊狩猟団:カウンターズ」#672

 


韓国版「アベンジャーズ」ともいえるアクションSF「悪霊狩猟団:カウンターズ」。

原作は人気WEBマンガです。昼間は行列のできる店「姉貴麺屋」の従業員、夜は悪霊と戦う“カウンター”という4人の活躍を描いた物語に、ワックワク~しました。


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「悪霊狩猟団:カウンターズ」Netflixで配信中
https://www.netflix.com/title/81323551

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舞台はチュンジン市という都市開発に力を入れている町です。権力を笠に着て悪の限りを尽くしているおっさんたちに、“カウンター”たちが立ち向かっていきます。

主人公は高校生のソ・ムン。幼いころに両親を事故で亡くし、おじいちゃんと、痴呆症のおばあちゃんと暮らしている少年。事故の原因は自分のワガママだったと、後悔を抱えながら生きてきました。でも、警察官だった両親の死と、同じく“カウンター”のカ・モタクの事件につながりが発覚。史上最強の悪霊チ・チョンシンを追うことになります。

ソ・ムンを演じたチョ・ビョンギュの初々しさと、悪霊チ・チョンシン役のイ・ホンネのおぞましさの対比が、最高に震える展開です。

驚いたのは、クールな姐御ト・ハナを演じるキム・セジュンでした。

Mnetのオーディション番組「PRODUCE 101」に出演し、「I.O.I」のメンバーとしてデビュー。その後、ガールズグループ「gugudan」のメンバーとなり、ソロデビューもしている、バリバリ(?)のK-POPアイドルなんですよ。

なのにドラマでは、とてもシャープでヘビーなアクションをこなしています。演技の経験もそう多くはないようですが、これからが楽しみになりました。

「Sweet Home -俺と世界の絶望-」のイ・シヨンや、キム・セジュンら、アクションもできる俳優がいるって、韓国演劇界の層の厚さを感じます。


そしてまた、“カウンター”の4人組がよくできているんですよね。少年、お姉さん、おじさん、おばさんという、ダイバーシティに配慮したかのような組み合わせ。そこに、大企業の会長である大金持ちのおっちゃんが財政支援をしてくれるという構造です。

そのわりにユニフォームが赤いジャージで、車もおんボロやん……と思っていたら。最後にはおっちゃんが本領発揮してくれます。そのシーンはちょっと「オーシャンズ」かな。


注目すべきはカメラワークです。

悪霊との対決シーンで、大暴れするソ・ムンの視点で撮影されているんです。まるでシューティングゲームのような迫力がありました。これはハ・ジョンウ主演の映画「PMC:ザ・バンカー」でも使われていた撮影方法で、「うぉおおおぉぉぉ!!」となること請け合いです。

韓国では、人を呼ぶときに姓は呼ばず、名前だけを呼びます。ソン・ガンホなら「ガンホ」、ハ・ジョンウなら「ジョンウ」です(実際に発音するときは子音が追加されます)。で、なにかかしこまった場面で呼ぶときや、オイコラ感を出すときは「姓・名」をセットで呼ぶことが多いのです。

なのに、ソ・ムンはドラマの中でずーっと「ソ・ムン」と呼ばれていました。序盤はそれが不思議でならなかったのですが、その理由が、終盤で明らかになります。つまり、名前に意味があったのですけれど、韓国語を知らない人には、ちょっと説明不足だったんじゃないかなーという気もしております。

その点、グローバル展開を前提にせず、ホントに“韓国国内向け”に制作されたドラマだったのではないかと思われます。

そして、最大の好感ポイント!

最近のドラマではほんとーーーーに珍しく、PPLと呼ばれる間接広告がほぼないんです。 「キム秘書はいったい、なぜ?」や「ヴィンチェンツォ」などは、ストーリーを邪魔するほどに「映り込み」があったので、「悪霊狩猟団」の制作にはとても好感が持てました。なんだか申し訳ないですけどね……。


「ヴィンチェンツォ」Netflixで配信中


「キム秘書はいったい、なぜ?」Netflixで配信中


タイトルが「少年探偵団」ぽいですが、がっちり分かりやすい勧善懲悪ストーリー。そのため、自分の欲望と、どうやって付き合っていくかを突きつけられます。権力者の息子の悪ガキ振りや、どこまでも暴走する大企業病にゲンナリしてしまう中、自分の幼さを乗り越えようと奮闘するソ・ムンに、思わず涙してしまうことも。

一気見必至のアドベンチャー感があるドラマですが、ひとつ注意ポイントがあります。全16話なんですが。

15話で卒業するのがおすすめです!

これは本当に韓国ドラマあるあるで、ここだけがミソ……。こういう部分も含めて、愛さずにはいられないのです。

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