俳優にとって「未知なる姿」をみせるのは、これほど難しいことなのか。
K-POPの世界では「カムバック=新曲・新アルバムを発表すること」のたびに、新しい姿をみせることが求められます。でも俳優の場合、これまで築いてきたイメージを壊すことはとてもリスキーなのですよね。
清純で、誠実で、勤勉で、マジメな役柄を演じてきたイ・ヨンエさんが、「調査官ク・ギョンイ」では、コメディとアクションに挑戦。
SBSドラマ「師任堂、色の日記」以来、約4年ぶりのカムバック作品での姿はというと。
ボサボサ髪に、首の伸びたTシャツ、ジャンクフードをボリボリしながら、お酒が手放せないゲーム廃人です。
元刑事で、推理の腕は一級品なのだけど、夫を亡くしてから引きこもり生活をしていた、という設定。
この、ギャップ。
正直にいって、最初はなかなか受け入れがたいものがありましたが、第3話くらいからようやくコメディ色が強くなり、なんとか完走しました……。
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ドラマ「調査官ク・ギョンイ」
https://www.netflix.com/title/81486374
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夫の死後、部屋に引きこもってゲームばかりしていた元刑事のク・ギョンイ。警察時代の後輩ナ・ジェヒから保険調査を依頼され、ゲーム仲間のサンタを相棒にして調査を開始する。不審な死亡事故を調べているうちに、夫の教え子が連続殺人鬼ケイではないかと疑うようになり……。
ドラマのオープニングが、ギョンイとケイのアニメーションだったので、てっきりウェブトゥーンが原作なのだと思っていました。けど、どうやら違ったようです。
このドラマの脚本を担当したソン・チョイは、ルーキーたちが集まる共同作家チームのひとりなのだそう。
「独特」すぎたのか、オンライン制作発表会に参加したイ・ヨンエさん自身、「台本を何度読んでも理解できなかった」と語っていました。
高校生時代から変わらず、軽いノリで「だって悪い人なんでしょ?」と、人を抹殺してきたケイ。あまりにも悪びれないので、なんの共感もわかないまま……。そこがつらかった一因かも。演じたキム・ヘジュンさんは、はつらつとしてました。
「キングダム」の王妃を演じていたと知って、びっくりでした。
なんだか辛口になってしまったけれど、発見もたくさんありました。
まずは「賢い医師生活」でクールな恋人を演じていたクァク・ソニョンさん。このドラマではギョンイら落ちこぼれを集めた調査チームのチーム長ナ・ジェヒを演じています。
シングルマザーであり、年老いた父を支える娘でもあるジェヒ。信頼と野望の間で揺れる姿が印象的でした。
どこまでもギョンイに尽くす「サンタ」を演じたペク・ソンチョルくん。鋭利な分析力を持つ調査チームメンバーをコミカルに演じたチョ・ヒョンチョルくん。
まだまだ出演作は少ないけれど、これからのドラマ界を引っ張っていく俳優たちだなーと感じます。
はからずも、イメージチェンジの難しさを感じさせることになったドラマではありますが、こちらもテーマはやはり「許し」でした。
夫を疑ったこと。
愛する人を信じ切ることができなかったことが、ずっとギョンイを苦しめてきました。その痛みに、どうやって向き合っていくのかが、お楽しみのひとつです。
ドラマ「調査官ク・ギョンイ」JTBC 全12話(2021年)
監督:イ・ジョンフム
脚本:ソン・チョイ
出演:イ・ヨンエ、キム・ヘジュン、キム・ヘスク、クァク・ソニョン、ペク・ソンチョル、チョ・ヒョンチョル
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