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『黄金の羅針盤』#945


来週の金曜日2月18日の「金曜ロードショー」で、ティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」が放送されるそうです。

ジョニー・デップとのゴールデン・コンビは、今作でも健在。あのキッチュな世界観がたまらない映画ですよね。


昨年の「ブックサンタ」で、原作となったロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』を選ぶくらい好きなお話です。


でも、正直ちょっと子ども向けなお話といえるかも。大人も楽しめるファンタジー作品なら、だんぜん『黄金の羅針盤』シリーズがおすすめです。

現実の世界と地続きのパラレルワールド、魂が形となった守護精霊(ダイモン)など、ファンタジーならではの世界観はありつつ、ストーリーは科学と宗教による抑圧を描いた骨太なもの。

2007年に、イギリス児童文学書のための「カーネギー・オブ・カーネギー」を受賞した小説です。

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『黄金の羅針盤』

(画像リンクです)

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両親を事故で亡くし、オックスフォード大学寮に暮らすライラと、ダイモンの「パンタライモン(パン)」が主人公。全3巻で、第1巻の『黄金の羅針盤』は、拉致された友人と北極探検家のおじを救うべく、北極へと旅をするお話です。

2007年には、クリス・ワイツ監督によって映画化されました。ダニエル・クレイグのイケメンっぷり、ニコール・キッドマンの輝くような美しさが際立ってましたよね。

現在、Amazonプライムで配信されているようです。

(画像リンクです)

ライラの活発ぶりも夢中にさせてくれた要因でしたが、やっぱり「ダイモン」という存在がおもしろかったです。

ダイモンは大人になると形(動物)が決まってしまいます。コールター夫人の場合は猿、アスリエル卿はヒョウと、人物のキャラクターによって決まるんです。でも、子どもの頃は変幻自在。ライラのダイモンも、イタチの時が多いですが、鳥になって飛んだりもしています。

この、子どもの「自由さ」をとても感じられる物語です。

ダイモンとは一定以上離れることができない。他人のダイモンに触れてはいけない。そんなルールから、自分のアイデンティティを大事にすることは、人格形成に必要なのだというメッセージのようにも思えます。

第2巻は『神秘の短剣』、そして最終巻の『琥珀の望遠鏡』へと続きます。

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映画の方は「オトナの事情」で第1巻しか製作されなかったようで、ちょっと残念。

シリーズを通して読むと、どうにもオーロラが見たくてたまらなくなります。オーロラの向こうの世界。ひょっとしたら、行けるかもしれないから。


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