韓国映画の特徴のひとつが、「解決しない」ことだと思います。2時間近くもドラマチックでスペクタクルな展開をしたにも関わらず、ラストで「それって問題が解決してないんじゃ!?」ということがよく起きる。
たとえば、韓国のゾンビ映画人気を招いた作品「新感染 ファイナル・エクスプレス」。ソウルとプサンを結ぶ高速鉄道で突如、謎のウイルスが発生。乗客が次々と感染していく恐怖とパニックを描いたサバイバルアクション映画です。
ですが、この映画(なるべくネタバレしないで書こうとしてますが苦しい)、「解決しない」で終わるんですよね。盛大に敵を倒してハッピーエンドとなるハリウッド映画を見慣れた人には、なんだか物足りないと感じるのかもしれません。
韓国映画ばかり観ているわたしは逆に、なんでもかんでも倒して、排除して、抹殺して、ハイ終わり!というパターンに物足りなさを感じるようになってしまいました。
先日観た「がんばれ!チョルス」も、やっぱり「解決しない」映画です。でも、主人公の女の子が抱えている病気について心に残るんですよね。あの子の今後について、病気について、気になってしまう。そんな映画です。
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映画「がんばれ!チョルス」
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筋肉ムキムキだけど、頭の中は幼いというチョルス。ある日、難病を抱えて闘病生活を送る少女セッピョルと出会います。実は父娘だと知らされ、驚くふたり。その後、セッピョルは、地方の病院に転院した仲間に誕生日プレゼントを渡そうと病院から脱走。偶然居合わせたチョルスも同行することになりますが……。
幼い父としっかりものの娘という凸凹父娘といえば、「7番房の奇跡」を思い出します。父のヨングは知的障害を抱えつつ、子育てしていました。
ところがチョルスとセッピョルは、初対面で親子であることを知らされます。チョルスを演じたチャ・スンウォンは身長188cm。高校時代からモデルをしていたという俳優です。そりゃーこんなでっかいお父さんが突然現れたらびっくりだわ。しかも、娘よりもお菓子に興味津々だし。
(画像は映画.comより)
チョルスがこうなった原因、セッピョルが父と離れて暮らしていた理由が徐々に明らかになっていきます。
観客動員数約700万人の大ヒットを記録した映画「LUCK-KEY ラッキー」のイ・ゲビョク監督が、脚本にも参加。「LUCK-KEY ラッキー」はコメディだったからコミカルに終わったけれど……。
「がんばれ!チョルス」のセッピョルは白血病なのです。近親者の骨髄提供がなければ助からない状態。セッピョルのいる集中治療室から走り出たチョルスは、とある部屋の前で立ち尽くしています。字幕が出ていなかったのですが、そこは「採血室」でした。
「俺の血をあげてくれー!」
と叫ぶチョルス。ふたりの冒険と、セッピョルの運命やいかに!?
ムリヤリ解決させないで、余韻を残す。ちょっとホロリとしちゃう映画です。
映画情報「がんばれ!チョルス」111分(2019年)
監督:イ・ゲビョク
脚本:キム・ヒジン、チャン・ユンミ、イ・ゲビョク
出演:チャ・スンウォン、オム・チェヨン、パク・ヘジュン、キム・ヘオク、チョン・ヘビン
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