「魚は頭から腐る」という、ロシアのことわざがあります。ホントに魚がそうなのかは分かりませんが、意味するところは、「組織はトップから駄目になっていく」ということ。
もうコイツらダメやん。いっそのこと、一からやり直したい!
いま、そんな声があちこちから聞こえてくるような気がしますが、ここでお話しするのは14世紀の出来事。
高官の堕落ぶりに絶望した青年が出会ったのは、世紀の策士・鄭道伝(チョン・ドジョン)でした。理想の国家を目指して立ち上がった、6人の英雄。彼らが、朝鮮王朝建国のために奮闘する姿を描いたドラマが「六龍が飛ぶ」です。
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ドラマ「六龍が飛ぶ」
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ドラマ「根の深い木」の前日譚で、映画「世宗大王 星を追う者たち」につながっていく物語なんです。
ここでちょっと、朝鮮半島の王朝の歴史を振り返ってみます。
まず、918年に王建(太祖)が建国した高麗という王朝国家がありました。半島を統一し、鴨緑江まで勢力を広げていたほどの強国で、英語の「KOREA」のもとになっている国です。1392年に高麗を倒し、朝鮮王朝を築いたのが李成桂でした。
その李成桂をはじめ、6人の「龍」を集めた中心人物が、五男の李芳遠。後の第3代国王で、第4代国王となった「世宗大王」のお父さんです。
ドラマでは李芳遠をユ・アインが演じているのですが、彼の“やんちゃ”な感じが李芳遠の横暴さにつながっていて、とてもかっこよかったです。
李芳遠が心酔する策士・鄭道伝はキム・ミョンミンが演じています。「韓国のロバート・デ・ニーロ」といわれるほど、ストイックな役作りをする俳優で、これまた大好きな役者なんです。
鄭道伝の甥っ子が「根の深い木」の鄭基準で、ふたつのドラマは深くつながっています。
衝撃なのは、鄭道伝の用心棒であるイ・バンジです。
朝鮮建国後、他のメンバーが功臣として取り立てられる中、イ・バンジはある事件に絶望して在野することにします。
「六龍が飛ぶ」でイ・バンジを演じたのはピョン・ヨハン。甘い系のイケメンです。
(画像はSBSより)
それが、「根の深い木」では。
(画像はSBSより)
うーん。30年近い月日が流れているとはいえ、浪人生活の厳しさを思わせますね……。
冗談はさておき、脚本:キム・ヨンヒョンとパク・サンヨン、演出:チャン・テユ組の傑作ドラマだと思います。
このドラマを観ると、韓国ドラマに通底している「なぜ、これほどまでに父の支配から逃れようとするのか」が分かる気がします。でも、その流れの原点は「龍の涙」というドラマにあるらしいんですけどね。
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ドラマ「龍の涙」
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ユ・アインは「六龍が飛ぶ」で、第52回百想芸術大賞のテレビ部門最優秀演技賞を受賞しています。2015年はドラマはもちろん、映画の「ベテラン」「王の運命 -歴史を変えた八日間-」も大ヒットし、飛躍の年になっていました。
昨日9月8日からは、Netflixで「#生きている」の配信もスタート。“やんちゃ”感と絶望を演じさせたら、右に出る者はいないと思います。
「根の深い木」の前日譚で、映画「世宗大王 星を追う者たち」につながっていく物語です。
「魚は頭から腐る」らしいけれど、一からやり直すのも並大抵のことではありません。「六龍が飛ぶ」では、李芳遠と鄭道伝が信念をかけて共闘し、ぶつかり合っていました。ユ・アインとキム・ミョンミンの好演が光るドラマです。
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