韓国の南端に浮かぶ済州島は、「韓国のハワイ」とも呼ばれるビーチリゾートで、ハネムーンの人気旅行先でもあります。ドラマのロケにもよく使われていて、海は青いし、空は澄んでいるし、ロケーションは最高なんですよね。風がちょっと強いけど。
「楽園の夜」は、そんな“パラダイス”を舞台にした強烈バイオレンス劇です。
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映画「楽園の夜」Netflixで配信中
https://www.netflix.com/title/81342504
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監督は「新しき世界」「The Witch/魔女」のパク・フンジョン。この人のアクションをひと言でいうと「容赦ない」です。
北野武監督の「ソナチネ」に捧げられたオマージュというか、ほぼそのもの。家族を殺されたヤクザの組員が、逃亡先の“パラダイス”で追い詰められていく、という展開です。
ただ、そこに韓国式ノワールの手法を乗っけるから、ホントに「容赦ない」。口下手でぶっきらぼうなヤクザを演じたオム・テグの低音しゃがれ声がめちゃくちゃいいです。
驚いたのは、済州島で出会う女性を演じたチョン・ヨビンでした。
ドラマ「ヴィンチェンツォ」でみせている傾いた演技とは違い、孤独と絶望と復讐心をたぎらせているんです。クールビューティー系なので、こういう演技の方が絶対合うと思います。
追われる男と、復讐を期す女。ふたりは恋人になるわけでもなく、同志というほどでもない。微妙な距離感を保っているところがよかったのですけれど。ひとつ、とても気になったことがありました。
このつかみ方は違う!!!
映画全体にずっしり重いのですが、実は韓国映画らしいユーモアも挟み込まれていました。
ふたつの組織の仲裁に入ったパク課長に、マ理事が「サンスが何言ってんだか」という場面があります(字幕は「課長らしくないな」)。
これはパク課長役のイ・ムンシクが出演した映画「公共の敵」での役名なのだそう。マ理事役のチャ・スンウォンによるギャグらしいのですが、韓国映画ってよくこういうのがあるので、字幕の制作が大変だろうなー。
絶好のロケーションを舞台にした“パラダイス”のはずなのに、観光地は登場せず、済州島らしいものといえば「焼酎ハンラサン」と「オルレ焼酎」くらい。スカッと晴れた空もなければ、海もあまり出てきません。
それでも。
追い詰められたふたりと昏い海がとても似合う映画でした。
○ パク・フンジョン監督の過去作
「新しき世界」(監督・脚本)
「The Witch/魔女」(監督・脚本)
「生き残るための3つの取引」(脚本)
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