世界中で爆発的人気! アメリカのNetflixで韓国ドラマとして初の1位獲得!と、連日にぎにぎしい話題が伝えられているドラマ「イカゲーム」。
456人のオトナが謎のサバイバルゲームに放り込まれる、というストーリーです。ゲームは「だるまさんがころんだ」や「綱引き」といった、子どもの遊び。勝者は456億ウォンをひとり占めにできます。
人生詰んじゃった状態のオトナたちが、訳も分からず戦うことになるのですが、子どもの遊びと違うところがひとつあります。
ゲームに負けた人は、あっさり銃殺されるのです!!!
あまりにもシュールで、同時に、あまりにも人間的で、一気見必至のドラマです。幸いなことに全6話なので、あっという間に完走できますよ。
☆☆☆☆☆
ドラマ「イカゲーム」
Netflixで配信
https://www.netflix.com/title/81040344
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借金を抱え、競馬で全財産をなくしてしまったギフンの元に、謎のゲームへの招待状が届く。無人島に集められた、年齢・職業もバラバラな456人の参加者は、賞金456億ウォンを賭けたゲームに参加することになり……。
ドラマの演出と脚本を担当したファン・ドンヒョク監督は、「トガニ 幼き瞳の告発」や「怪しい彼女」など、どちらかというと悪の中に残った、わずかなハートウォーミングな部分をすくい上げる映画を撮ってきました。
なのに、「イカゲーム」はというと、ドン底感満載。
振り幅が大きいなと思ったら、「毎日、同じことを繰り返す生活を送りたくなくて映画監督になった」とインタビューで語っていました。
cine21(インタビュー記事は韓国語です)
http://www.cine21.com/news//view/?mag_id=98611
ドラマの設定を構想したのは、2008年だそう。漫画カフェで日本の『カイジ』や『バトル・ロワイヤル』を読んでいて、韓国の状況に当てはめることを思いついたのだとか。映画の「CUBE」や「ソウ」の影響も感じました。
ゲーム自体は子どもの遊びなので、とてもシンプルです。
だけど訳が分からない参加者にとっては、体力のある者や知恵のある者とチームになった方が得なんではないかと思えてしまう。
実際、チーム対抗戦もあるのですが、それがまた残酷な設定です……。
シンプルな子どもの遊びだからこそ、ストーリーに集中できる。世界中でこのドラマが人気になっている理由もこの辺りにありそうです。こうしたローカルなネタを、グローバルな視点で描くのは、「パラサイト 半地下の家族」と同じといえるかも。
なにより、主人公のギフンを演じたイ・ジョンジェが最高によかった。
インタビューでは「年をとると悪役や気が強そうな役ばかりオファーがくる」と語っていましたが、今回は“弱い男”の役です。
白髪交じりのボサボサ頭で、全体にお肉がユルッとしてますよね。
(画像はNetflixより)
「ハウスメイド」では、筋肉美を誇る利己的な男を演じていたのに。
(画像はIMDbより)
リストラされ、サラ金に追われ、年老いた母にお金をせびるような日々。人間的な弱さがドバドバとにじみ出ているギフンですが、ゲームの中では弱者を見捨てることができないんです。
ファン監督は、ギフンというキャラクターについて「彼が落伍者になってしまったのは、能力が足りないというより、ずる賢くないからだといえる」と語っていました。
病を抱えた老人、北朝鮮から逃げてきた女性、出稼ぎに来た外国人ら、さまざまな立場の人間たちが戦うゲーム。もちろん、戦う人がいれば、観戦する人もいる。ドラマが映し出すのは、いくところまでいってしまった格差です。
究極の選択を迫る、子どものお遊び。
それをイ・ジョンジェはじめ、パク・ヘスやオ・ヨンスらが本気で挑む。特別出演のコン・ユや、イ・ビョンホンの出方にも「はぁぁっ!!!」となりました。
このドラマの描く世界はコワイ。でも、これが現実の世界なのかもしれない。
ドラマ「イカゲーム」 Netflix 全6回(2021年)
監督:ファン・ドンヒョク
脚本:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、パク・ヘス、オ・ヨンス、ホ・ソンテ、ウィ・ハジュン、キム・ジュリョン、チョン・ホヨン、トリバティ・アヌファム、コン・ユ、イ・ビョンホン
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