韓国でも児童虐待は年々増加していて、社会問題化しています。大部分が家庭で起きることから、他人が入り込むのはなかなか難しいことが多いですよね。
そこで韓国では、「駆け込み寺」の役割を果たすコンビニも登場しているそう。
映画やドラマでも、よく登場する問題です。
親から虐待され、なんとか生き延びた少女が、大人になって自分と同じような少女に出会う。映画「虐待の証明」は、ハン・ジミンが湧き上がる怒りと無力感を、見事に演じています。
茶髪にくわえタバコ、眉間にシワを寄せて、「なんじゃゴラァ~!」ばりににらみつける姿は、これまでの清純派イメージを一新させました。
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映画「虐待の証明」
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母親から虐待を受け施設で育ったペク・サンア。ある日、刑事のジャンソプから、母が孤独死したことを知らされる。荒んだ生活を続けていた時、サンアは夜の街の片隅で震えている少女ジウンと出会う。お腹を空かせたジウンの身体は痣だらけで、誰かに虐待を受けているのは明らかだった。そんなジウンの姿に過去の自分を重ね合わせたサンアは、彼女に手を差し伸べようとするが……。
キム・デスン監督×イ・ビョンホン主演の映画「バンジージャンプする」で映画の仕事に携わるようになったイ・ジウォン監督は、「虐待の証明」が長編デビュー作になります。
映画の最初に「実話を基にしています」と出るんですが、実際にこのような「事件」があったわけではないそう。
イ・ジウォン監督が、隣の家の子どもを見かけた。
その一点だけで、これだけの物語を書き上げたらしくて、よほど印象に残ったのだなと思われます。
(画像は映画.comより)
ペク・サンアを演じたハン・ジミンは、第38回韓国映画評論家協会賞や第39回青龍映画賞で、デビュー以来初めてとなる主演女優賞を受賞。茶髪にくわえタバコ、すさんだ雰囲気を全身から発していて、文字通りの転機となった映画でした。
(画像は映画.comより)
ただ、これまでのイメージとあまりに違うため、スポンサーが降りてしまう事態にも陥ったと、トーク番組で語っています。
なんといってもクライマックスが印象的でした。
ジウンを追い詰める人物をサンアが追おうとした時、ジウンが付いていこうとするんです。でも、サンアは「来るな」と叫びます。
ギリギリ、日の当たる場所にいるジウン。
一方のサンアは、高架の下にいるので真っ暗な日陰に立っているんです。
母の愛を知らず、前科者にされ、誰も信じられずに、日陰の人生を歩んできたサンア。自分のようになるなと言わんばかりの、見事な構図で対峙する、ふたりの姿。
「一所懸命に生きても、常に裏切るのが人生ってもの」
痛みの連鎖を断ち切ろうとする必死さに、震えが止まらなくなりました。
この世界は、人にやさしい社会だろうか。セカンドチャンスを活かせるシステムはあるだろうか。いまもまだ、そんな疑問がグルグルと駆け巡っています。
映画「虐待の証明」98分(2018年)
監督:イ・ジウォン
脚本:イ・ジウォン
出演:ハン・ジミン、キム・シア、イ・ヒジュン、ペク・スジャン、チャン・ヨンナム、クォン・ソヒョン、キム・ソンヨン、イ・ジョンウン
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