絶対的に、自分の味方をしてくれる人はいますか?
「ばあちゃんは、あんたの味方だから。好きなことをやんなさい」
映画「君が描く光」では、12年ぶりに孫娘と再会したおばあちゃんが、そう言ってくれます。だから孫娘ははりきって、何でもやればいいのに。孫娘にはある秘密が隠されていました。
絶望の中でふたりが見つけた光とは?
済州島の海女おばあちゃんケチュンを演じるのは、「ミナリ」でアカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョン。孫娘ヘジは、「トッケビ」のキム・ゴウンです。
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映画「君が描く光」
DVD
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済州島のベテラン海女ケチュンは、孫娘のヘジと幸せな生活を送っていたが、ある日ヘジがいなくなってしまう。八方手を尽くしたが彼女は見つからない。12年の年月が経過したとき、突然ヘジが帰ってくる。何があったのか言おうとしないヘジと、ケチュンは再び一緒に暮らしはじめるのだが……。
海女という、自分の身体ひとつで自然と向き合う仕事で、生計を立ててきたケチュンおばあちゃん。頭の中は孫娘のヘジのことだけです。
ずーーーーーっと胸を痛めてきて、ようやく会えた孫娘なので、村の人が「なんか怪しい」と言っても、耳を貸さない。ヘジが絵を描くのが好きなのだと分かり、全力で支援します。
ヘジを導く美術教師は、「詩人の恋」のヤン・イクチュンが演じています。
(画像はnamuwikiより)
都会の中で荒んだ生活をしていたヘジ。周囲の人は、“若い女”である自分を利用しようとするばかりで、まともな信頼関係に基づくコミュニケーションを知らないままなんです。
でも。
おばあちゃんは12年ぶりに現われたヘジを、なめるようにかわいがるので、ヘジはちょっと、とまどってしまうんですよね。この辺り、ユン・ヨジョンの“傍若無人”なかわいがり方が「ミナリ」を彷彿させます。
むかしといまをつなぐキーワードとして、飼っていた豚の話が出てくるんですが、実際に済州島では、排泄物をエサとして食べさせていたそう。韓国の水原(スウォン)にあるトイレ博物館にも模型が展示されていました。
都会の子が、こんな「親環境的」なトイレ生活になじめるはずもなく、ヘジが「チッ」という態度なのは、そのせいなのだと思っていました。「おばあちゃんの家」にもそんなシーンがありましたし。
でも、その裏にはヘジが味わってきた壮絶な体験があって、それが明らかになった時、激しく動揺しました。
闇を見過ぎたヘジは、光を見る方法が分かりません。心を開けるのは、たぶんケチュンばあちゃんだけ。
ヘジの絵は、もったいつけるようになかなか画面に出てこないんですが、それもそのはず。最後に大写しにされる絵が、愛にあふれていて、思わず涙しました。
第29回東京国際映画祭アジアの未来部門に選出された映画とのこと。この時は映画館に行けなかったけど、Amazonプライムでようやく観ることができました。
絶対的に、自分の味方をしてくれる人がいれば、どんなことも乗り越えられるかも。
光を見失いそうな時に、ぜひ!
映画「君が描く光」117分(2016年)
監督:チャン
脚本:ヤン・ソヒョン、チャン、ホ・アルム
出演:ユン・ヨジョン、キム・ゴウン、チェ・ミノ、キム・ヒウォン、シン・ウンジョン、ヤン・イクチュン
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