テレビの食レポを見るとき、どこに注目していますか?
うちのダンナ氏は古い世代のせいか、お箸の持ち方が気になるそうです。食いしん坊のわたしはもちろん、どんな味なのか、です。
「ふわトロ~」や「ヤバいー」といった、味に関する言葉は広がっているように思いますが、はたして本当に「その味」を表現できているのだろうか。
そんな疑問から、味を表現する言葉を分析した本が『おいしい味の表現術』です。
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『おいしい味の表現術』
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こうして毎日ブログを書いていると、自分にとって使いやすい表現が出てきます。これをわたしは「逃げの言葉」と呼んでいて、一度書いた後に、「他の言葉で表現するとどうなる?」を考えることにしています。
もともと、この「1000日チャレンジ」を始めた時に決めていたのは、
・すごい
・おもしろい
・かわいい
という、とても使いやすいけど、何も言っていないに等しい言葉を使わないことでした。
決めたはいいですけどね。
大変やし!!!
同じレベルで語るのもあれですが、食レポをされる方も大変だろうなーと思います。
日本語には、基本五味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)があり、ほかに五感を使った共感覚表現があります。「こんがりキツネ色に揚がったクリームコロッケ」の「こんがりキツネ色」が視覚を使った表現ですね。
こうした味にまつわる言葉を、ひとつひとつ分析した本なんです。
著者の「味ことば研究ラボラトリー」とは、「味にまつわる言葉を研究し、情報交換をしている言語研究者集団」とのことで、認知言語学やレトリックの専門家がおられます。
わたしの大好きなおやつ「ポッキー」という商品名に含まれる、「ポキッ」というオノマトペが、聴覚と触覚を刺激しているだなんて。
「おいしい」を表す言葉の数々にも規則性や傾向があって、どの要素を、どの順番で並べると「おいしい」が高まるのかなど、ヨダレが出そうな話がいっぱいでした。
言葉の森は奥深いけど、味の世界は歩いていて楽しい道ですね。
類書に、ソムリエの田崎真也さんが書かれた『言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力』があります。こちらは、「おいしい」をどれだけ違う言葉で表現するかに焦点を当てた内容。「逃げの言葉」を使わないようにしようと決めたのも、この本がきっかけでした。
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