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『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』#1000


「なんで、わざわざ嫌われないといけないの?」

おすすめの本を聞かれたので、『嫌われる勇気』を挙げたわたしに、友人がそう尋ねました。

本から大きな刺激を受け、勇気をもらったと思っていたけれど、当時のわたしは友人の質問にうまく答えることができませんでした。

考えてみたら当然じゃないですかね。

小さいころから、「お友だちとは仲良くしなさい」「人に迷惑をかけないようにしなさい」「最高の食べ物は豆大福」と言われて育ってきたのですから。

2019年7月14日に「1000日チャレンジ」を始めたとき、友人とのこの会話を思い出しました。

今日まで1000日間、ひたすら書き続けてきたのは、友人への回答を考えてみたいと思ったからです。

そして、1000日目を迎えたいま、心から思います。

1000日では足りなかった!!!

それでも、いまの自分で表せることを言葉にしてみようと思います。よろしければお付き合いください。

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『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』

(画像リンクです)

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『嫌われる勇気』は、哲学者の岸見一郎さんの本『アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために』を、古賀史健さんが手に取ったことによって生まれたそう。

「すべての悩みは、対人関係の悩みである」という、シンプルなのに“そちら側”に踏み込むのが難しい思想の決定版を目指して企画されました。

ここ数年、哲学に注目が集まっているらしく、「哲学する」本が相次いで出版されています。


2022年4月の「100分de名著」が、カントの『永遠平和のために』と、ハイデガーの『存在と時間』と知ってビックリしましたよ。

これ、100分で語れる方がすごくない!?


古来より、哲学がテーマにしてきたのは、善とは何か、愛とは何か、自己とは何か、といった、よりよく生きるための源でした。

上のブログでも書いたように、わたしは大学時代に哲学を学びましたが、善より愛よりあんこをください!と叫びたくなるほど、分からないことに向き合うのは、ホントーーーにつらかったです。

そのつらさと、いまの生きづらさ。

どちらから解放されたいか?と聞かれれば、やはり「生きづらさ」を手放したい。

(画像リンクです)

ありとあらゆる「生きづらさ」を抱えた青年が、哲人の家を訪ねるところから『嫌われる勇気』は始まります。

嫉妬と疑いと憤りと哀しみでパンパンにふくれ上がった青年。哲人との対話を通して、青年は自分を見つめ直し、再び扉を開ける。今度は「自分の人生」を歩くために。

簡単にいうと、『嫌われる勇気』は、これだけの話です。ソクラテスが町の人々と話すのを好んだように、哲人も青年との対話を楽しみ、ふたりの語らいの中で、アドラー心理学の内容が明らかになっていきます。

怒りのデスロードをぶっ飛ばしていた青年が得たものは、「嫌われる勇気」であり、自分の人生を生きるための「処方箋」でもありました。


哲人に怒りをぶちまける青年に、自分を重ね合わせた人も多いのではないでしょうか。

わたしもやはり、青年の姿に自分をみたのですが、それは彼の職業が「司書」だということを知ったときでした。

多くの書籍に囲まれ、その内容に沿って整理・分類する専門職である、司書。そんな仕事をしているにも関わらず、彼は生きる知恵を身につけることができなかったのか……。

もちろん、すべての書籍に目を通すわけではないけれど、いまの悩みに効く本が、どのあたりにあるか、彼が知らないはずがありません。

このことは、哲人が「使用の心理学」と呼ぶ、アドラーの思想を表しているように感じます。

青年の姿は、多くの本に囲まれているにも関わらず、知性として育てられないわたし自身でした。

“アドラーの語っていることは平明なもので理解することは困難ではありません。”

岸見さんがこう語るように、『嫌われる勇気』には、他の哲学書にあるような理解に苦しむ難解な言葉は出てきません。

それでも「わざわざ嫌われようとするなんて……」と、拒絶反応を示す気持ちもよく分かります。

学生時代、わたしが研究していたデンマークの哲学者・キルケゴールは、自己についてこう語っています。

“自分自身を理解するということが、他のすべての理解のための絶対条件である。”
『哲学的断片への結びとしての非学問的あとがき』

実存哲学者として知られるキルケゴールは、もし現代に生きていたら、間違いなくひねくれ者のめんどくさいオッサンと呼ばれていたでしょう。

彼が考え続けたのは、「いま、ここに、ひとりであること」。

「ひとりだからこそ、自分自身を理解することができ、自分を理解していないと、他者とつながることはできない」と考えたキルケゴールは、一方で、「自分を最高のものになしうるのは自分自身だけだ」とも語っています。

簡単に言うと、納豆みたいにベトーッとくっついて、糸引いてちゃダメよ、ってことです。


「自分を変えられるのは、自分だけ」と、哲人も何度も強調していましたよね。こうした点から、アドラーは実存主義の思想を引き継ぐ哲学者でもあるのだと感じていました。

「自分を変えられるのは、自分だけ。最高の自分をつくれるのは、自分だけ」ではありますが、その方法としては、これまで、表面的で手っ取り早いハウツーばかりが重視されてきたように思います。

『7つの習慣』のコヴィー博士の言葉を借りれば、こうした考え方は「個性主義」であり、高い人格を求めたキルケゴールの姿勢とは対極にあるといえます。


行き過ぎた「個性主義」は、ついに相手を押さえつけ、コントロールする術まで考え出しました。押さえつけられた側は、空気を読み、忖度し、誰かの評価を気にして自分を見失い、「生きづらさ」を抱えるように。

こうした流れを断ち切る、理想的な人間関係に必要なのは、「間(ま)」だと思います。アドラーを理解するためにも、この「間」という考え方は有効かもしれません。

たとえば、哲人はこんなふうに説明しています。

“本を読むとき、顔を本に近づけすぎるとなにも見えなくなりますね?”

古賀さん、天才やな……。


インターネットとスマホの普及によって失われたもの。そしてソーシャルディスタンスによってさらに感覚を狂わせられたもの。

それは、「間」です。

合気道の稽古でも、「間」を意識せよといわれます。武道ですから、相手の「間」に踏み込んでしまえば、攻撃されてしまうんですもん。当然ですよね。

だからといって、距離をおけばいいのかというと、そうでもない。武道と間合いについて考えるとき、いつも思い出すのはこの動画です。

(5歳のテコンドーファイターによる競技)


相手のおへそと自分のおへそが糸で結ばれていて、伸びたり縮んだりしているようなイメージで稽古しなさい。

これが合気道でいわれる「間」です。

日常生活でも、こうした「間」を意識できれば、相手を尊重しつつ、自分も守れる立ち位置が分かってくると、ある師範は仰っていました。

もし「あなたのためを思って」と、自分の人生に介入されたら、「No」と言えるかどうか。

相手の意に反して、つまり、相手に嫌われてでも自分を守ること。

「嫌われる勇気」とは、「わざわざ嫌われることをする」のではなく、「嫌われることから逃げない」勇気のことです。難しいのは、その決心を不断に持ち続けることかもしれません。

「嫌われる勇気」をもつことで、人生はシンプルに好転していくと哲人はいいます。

タイトルはおどろおどろしいかもしれないけれど、アドラーの哲学が問いかけてくるのは、たったひとつのことです。

幸せになる勇気はあるか、と。

(画像リンクです)

本が発刊されたのが2013年の12月なので、もう9年近く経っているんですね。

もしいま「生きづらさ」を抱えているのなら。

この機会に、もう一度読んでみてはどうでしょうか。きっと、いまの自分を励ましてくれる言葉、心を強くしてくれる言葉が見つかりますよ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2019年7月14日にスタートした「1000日チャレンジ」は、今日で1000日となりました。

本当に来るんですね、1000日って!?

カンパ~イ!!!


「1000日チャレンジ」を提案されたさとなおさんは、魚介類の完全除去に成功されたそうです。よかった……。ただ、いまもなお闘いは継続中だそうなので、明るい兆しが見えることをお祈りしています。貴重な機会をありがとうございました!


では、結果報告を。

わたしがチャレンジしていたのは、ふたつです。

① キツイこと:本か映画を1000本紹介する

② できそうなこと:毎日一万歩歩く

ところが「できそうなこと」だったはずの毎日一万歩が、ステイホームのおかげで無残な結果に……。計算方法はよく分かりませんが、1日の平均は「9281歩」らしいです。ダンナ氏が計算しました。

切り上げて「一万歩」ってことで、どうでしょう!?


こんな状況だったので、ブログの更新は意地でも続けようと思っておりました。

フラフラ、ヨロヨロしながらの1000日だったけど、毎日やる以上、実は毎日いろんなところにチャレンジを入れていました。ずっと意識していたのは、「すごい、ヤバい、かわいい」という言葉は使わない、ですね。

でも昨日まで、「もうムリ、明日はムリ、絶対ムリ」と1000回以上叫んでいたよ……。それでも毎日励ましてくださる方々、細々と続けているブログを見に来てくださる方々のおかげで、こうして続けることができました。

心から感謝しています。ありがとうございました!

そして、『嫌われる勇気』の著者のおひとりでもある古賀さん。イベントでサインをおねだりして、ついでにありがたいアドバイスまでいただき、心の支えになりました。本当にありがとうございました!


このブログを読んでくださった方の1000日は、どんなものだったでしょうか?

3年前は、1000日後はバラ色やー!と、とても期待していたのに。まさか世界がこんなことになっているとはね……。

「1000日チャレンジ」をとおして、自分にどんな変化が起こせたのかは、ちゃんと寝てからゆっくり考えてみたい。

とりあえず、

・思いつきで何か始めない

・計画性という言葉を辞書に加える

これは心に刻みます。


いま、たしかに感じているのは、今日という日は、ひとつの“通過点”だということ。

わたしの前には次の1000日があって、「いま、ここ」に、「ひとりで」立ち、次の一歩を踏み出そうとしています。

だから。

もしもご縁がありましたなら、いつの日かまたお目にかかりましょう。


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