スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(翻訳)が付いた投稿を表示しています

『書いて覚えるハングル名言』#898

「ハングルってパズルみたいだよね」 韓国語を勉強していると言うと、よくそんな風に言われます。 ハングルは朝鮮第4代国王の世宗大王が「人工的に」つくった表音文字で、1443年に公布されました。官僚たちの反対を振り切って制作に邁進する様子は、情熱大陸風にドラマ化されています。 ハン・ソッキュ版世宗大王のドラマ「根の深い木」 ハングル創製をめぐるミステリー ドラマ「根の深い木」 #424   そして、ソン・ガンホ版世宗大王の映画「王の願い ハングルの始まり」 映画「王の願い ハングルの始まり」#723   音と文字を一致させているので、分かってしまえば意味が分からなくても「読む」ことができる。そこが表音文字のおもしろいところ。 ただ、ローマ字や漢字のように見慣れたものではないため、一から文字を覚えるのは簡単なことではないんですよね。 でも、たった24文字だから!!! そんな励ましを送りながら、会社でも有志を集めて「韓国語教室」を開催していました。 李泰文さんの『書いて覚えるハングル名言』は、韓国の著名人の言葉や文学作品、詩などから名言を集めた本です。なんと書き取り練習も付いているという、ありがたさ。 ☆☆☆☆☆ 『書いて覚えるハングル名言』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 日本の本屋さんで「詩」のコーナーはちょびっとしかありませんが、韓国の書店は違います。ドドーンとかなりのスペースを占めていて、日常的に詩の言葉を引用する人もいるくらいです。 編著者の李泰文さん自身、詩人としても活動しておられるそう。 滋味に満ちた言葉を味わいながら、パズルのような文字の組み合わせを楽しむ。なんと音声のダウンロードもできます。 もうすぐ長いお休みがやってきます。来年はひとつ、新しいことを始めてみませんか? 韓国語学習はいいぞー。ドラマを観まくる言い訳ができます!

『ネイティブ表現が身につく!クイズで学ぶ韓国語』#897

こんな本が20年前にあったらよかったのに!! 『ネイティブ表現が身につく!クイズで学ぶ韓国語』の著者・金玄謹(キム・ヒョングン)先生は、東京で「ミリネ韓国語教室」を運営されている方です。 「ミリネ韓国語教室」 https://www.mirinae.jp/index.html 以前は日暮里にあったように思いますが、いつの間にか新宿御苑の前にお引っ越しされてた……。 10年くらい前、しばらく「ミリネ韓国語教室」に通って、金玄謹先生の講義を受けていたのです。たまに授業料を払い忘れていると、先生が冗談で「ミリ(先に)ネ(払って)!」と仰る、楽しい教室でした。 先生の本が出たことを知り、さっそく購入。あぁ、なつかしいと思わず読みふけりました。 ☆☆☆☆☆ 『ネイティブ表現が身につく!クイズで学ぶ韓国語』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 韓国語は日本語と文法が似ているため、日本語スピーカーは「日本語で考えて、単語をあてはめて韓国語にする」形で覚えます。初心者のころは、これで文章が出来上がるので、とてもラクなんですよね。 でも、実は「自然な」韓国語ではないこともある。 特に単語の使い分けが分からなくて困りました。「ミリネ韓国語教室」の上級クラスでは、大量の作文が宿題にでます。その中から、日本語スピーカーが間違えやすいポイントを先生が解説してくれる、という内容でした。 『クイズで学ぶ韓国語』は、 授業の中で多かった間違いをクイズ形式でツイート ↓ 正解率によって間違いやすいポイントを精査 という過程を経てつくられた本です。だから、「あぁ、そこです……!!!」という感動がある。かゆいところに手が届くんです。 本自体は初心者から上級者までが対象とありますが、どちらかというと、中級以上の方が読むのにちょうどいいかもしれません。 わたしが本格的に勉強を始めた20年前は、中級以上の学習本がほとんどなかったんですよね。あの時、こういう本があればなーと思わずにいられない。 韓国語と日本語は、似ているとはいえ、違うところもいっぱいあります。そんな違いを押さえることで、逆に日本語の感度も高くなっていくからです。 金先生は、語学上達の秘訣をこう語っておられます。 “直訳や単語の置き換えだけでは正確な意図やニュアンスを区別するのが難しく、場合によっては違う意味になってしまうことも。より自然な韓国語を使

『韓国人はアンニョンハセヨとは言わない!?』#896

K-POPや韓国ドラマの流行で、またもや韓国語学習熱は高まっているのかな……と思いきや。友人が申し込んだ初心者クラスは、定員割れで開講しなくなったそうです。 いまどきは、教室に「通う」人が減っているのでしょうか。 YouTubeや書籍など、外国語を学ぶ手段は飛躍的に増えました。ホント、むかしのことを考えたらウソみたいに幸せな環境だと思います……。 韓国語は日本語と文法が似ているため、英語や中国語よりもとっつきやすい言語だといわれています。 ただ、悩ましいのが単語の「使い分け」。 日本語の通りに考えていると、ちょっと違和感のある表現になってしまったり、失礼になってしまったり。 その辺りは背景となっている文化を知ることが大切なのだと思います。 そんな韓国語の学習者におすすめなのが、鄭玄実(ちょん・ひょんしる)さんの『韓国人はアンニョンハセヨとは言わない!?』です。 ☆☆☆☆☆ 『韓国人はアンニョンハセヨとは言わない!?』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 韓国ドラマ好きの先輩は、韓国語は分からないけど「オッパ(お兄さん)」や、「ヨボセヨ(もしもし)」といった単語はよく知っていました。 たしかに韓国語の学習本には、 こんにちは=アンニョンハセヨ と載っています。そして、これは時間に関係なく使えます。「おはよう」も、「こんばんは」も、全部「アンニョンハセヨ」。 だけど、朝会った人に、「アンニョンハセヨ」とは言わないんです……。 なんやそれ!?ですよね。 「アンニョンハセヨ」は、漢字で書くと、「安寧ですか」となります。つまりニュアンスとしては「お元気ですよね」に近い。一昨日会って、昨日会って、今日も会った人に「お元気ですよね」と問いかけるのは、ちょっとヘン。 「いや、毎日会ってるやん!!」というわけです。 じゃあ、代わりになんと言うかというと、最近のドラマでは「チョウン アッチム~」と言っていることが多いです。これは「いい朝ですね=good morning」という意味。10年ほど前のドラマでは、姑に「よくお休みになれましたか?」とあいさつしていました。 本には、特に家族には使わないとありましたが、ビジネスシーンでもあまり見なくなった気がします。他にも、社員の呼称などに社会の変化を感じています。 そこからもう一歩進んで、言葉のニュアンスを支える文化と変化を知ることのできる一冊です

『言の葉の森——日本の恋の歌』#894

日本古来の詩である「和歌」を韓国語に翻訳し、歌にまつわるエッセイを再び日本語に翻訳する。 なんだかややこしい、ふたつの言葉の行ったり来たりが、こんなに美しい世界になるなんて。 韓国で日本語翻訳家として活動されているチョン・スユンさんのエッセイ『言の葉の森——日本の恋の歌』は、限りなく素直な透明感にあふれた一冊でした。 ☆☆☆☆☆ 『言の葉の森——日本の恋の歌』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 韓国留学中に、友人たちと韓国語の詩を読んでみようと挑戦したことがありました。でも、あまりに難しくて挫折しました。 「詩」の中で扱われる言葉は、意味の広さと深さ、音の響きやつらなりが、教科書に載っている文章とはぜんぜん違うんですもん。 「難しさを味わえただけでも、よかったよね」 みたいな感じで会は終わりました……。 当たり前ですが、「詩」よりも「和歌」の方が文字数が少ないわけです。「五七五七七」という決まりごともある。 それを外国語に訳すのは、想像するだけでも絶句するような難しさだと思います。おまけにチョン・スユンさんの韓国語訳は、できるかぎり「五七五七七」に近づけてあるんです。 下の画像がそれ。韓国語は分かち書きをするので、一見そう見えないかもしれませんが、単語としては和歌の型になっています。すごいしかない。 (画像はAmazonより) 取り上げられているのは、『古今和歌集』や『拾遺和歌集』などの和歌です。 もちろん、外国語になることで、さらに情景がクリアになったり、情感がハッキリしたりするんだなーと感じるところも。 それにしても、「翻訳家」という職業についておられる方の、言葉の豊かさよ……。 おだやかでやさしい言葉の森を歩いたような、すがすがしさがあふれていますよ。

『韓国文学ガイドブック』と『韓国文学を旅する60章』#757

K-POP、韓流ドラマに韓国映画と、拡大を続けるK-コンテンツ。邦訳されるK文学も増え続けています。 韓国文学が海外に積極的に紹介されるようになったのは、「韓国文学翻訳院」の支援が大きいのだそう。 1990年代の後半から、K文学は世界的に広まるようになり、翻訳される言語も倍増。『アーモンド』などを出した出版社「チャンビ」の場合、翻訳の契約件数は10年前と比べ6倍も増えているそうです。 世界で翻訳が急増 K-POPの次は「K文学」だ:朝日新聞GLOBE+   「韓国文学」コーナーのある本屋さんも増えてきましたが、こうなると「どれから読むのがいいのかしら……」という悩みもできてしまいますよね。 黒あんずさんが監修された『韓国文学ガイドブック』には、作家別のおすすめ作品がまとめられているので、おすすめです。 ☆☆☆☆☆ 『韓国文学ガイドブック』 https://amzn.to/3jwQvHn ☆☆☆☆☆ 韓国がおかれている文化的な背景を知るためのコラムや、文学賞の紹介もあり、本を選ぶ時のガイドになってくれます。 これまでわたしは、「ジャケ買い」することが多かったんですよね。日本版用に装丁を変えることもあれば、韓国版をそのまま使うこともあるようなのですが。 韓国では、装丁のデザイン性の高さが若い読者を呼び込む理由にもなっているそうです。最近のベストセラーは、パステルカラーが多いのだとか。 『アーモンド』や『娘について』etc.、おすすめの韓国文学作品5冊。【韓国カルチャー最前線 vol.3】   初期のブームがフェミニズム本だったせいか、そのイメージが強いですが、K文学には「痛みを分かち合う」作品が多いなという印象があります。特に「クィア」の扱いは、ドラマよりも洗練されているように思います。 そして、もう一冊。 波田野節子さん・斎藤真理子・きむふなさんが編集された『韓国文学を旅する60章』は、文学を巡る豪華エッセイ集もおすすめ。 ☆☆☆☆☆ 『韓国文学を旅する60章』 https://amzn.to/3yvk42t ☆☆☆☆☆ こちらはパンソリや演劇といった古典から、近代文学、民主化以降の文学まで、幅広く紹介されています。ゆっくり、じっくり読みふけってしまう本です。 この2冊は、たとえるなら、集英社文庫をのぞいてみるか、岩波文庫からはじめるか、という感じでしょうか。いつか全

『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』#755

ミステリー小説好きにとって、翻訳家の田口俊樹さんは神さまのような存在なのではないでしょうか。 ローレンス・ブロックの「マット・スカダー」シリーズ、レイモンド・チャンドラーやアガサ・クリスティーといった大御所の作品も、田口さんの訳が出ています。 200冊近い訳書を刊行された大御所ですが、駆け出しの頃の訳を見ると、トホホ……となることもあるのだとか。 そんな、40年に及ぶ翻訳生活を振り返った本が『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』です。 ☆☆☆☆☆ 『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』 https://amzn.to/3xptA5P ☆☆☆☆☆ 小学生の頃、アガサ・クリスティにのめりこんでミステリーにハマったという田口さん。大学を卒業後、英語の先生になります。 さすが~! 英語教師になるくらい語学に堪能だから、翻訳とかできるんですよね!? なーんて思ってしまいますが、実際はその逆。生徒に質問されても答えられないもどかしさから、英語力を身につけようと翻訳をやってみた。そしたら仕事になってしまった、というミラクルな経歴をお持ちです。 通訳や翻訳など、企業に就職して仕事を得るタイプではない業種って、人の縁でデビューが決まったというパターンが多いようです。 日本のトップ通訳者である田中慶子さんも、「人生無計画」な生活から通訳デビューをされています。 失敗上等!人生無計画でもなんとかなるよ『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』#49   韓国語翻訳家のたなともこさんは、友人から送ってもらったホン・ソンスさんの著書『ヘイトをとめるレッスン』を読んで、翻訳出版したいと決めたのだとか。ホントに動いて実現させちゃう行動力がすごいな。 『ヘイトをとめるレッスン』#741   『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』の著者・宮崎伸治さんも、出版社に持ち込み企画をしていたそう。ただ、デビュー作は「名前が出ない」予定で進んでいました(ある大物文筆家が翻訳家としてクレジットされる予定だった)。 『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』#754   デビューの形はいろいろあれど、自分の名前で本が出せるのはうれしいことですよね。でも、過去の翻訳を見直すことほど、つらい作業はないと思います。『日々翻訳ざんげ』に綴られているのは、勘違いや誤訳へのざんげと、新人だった

『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』#754

「字幕翻訳の仕事をしているんですよー」と言うと、 「英語が得意なんですね!!!」 と返されて、とまどうことがありました。世の中、「翻訳=英語」と考える人が、こんなにいるなんてね。英語以外にも“外国語”ってあるんですよ……。 翻訳家は、どこかの企業で募集があって、応募して、就職してというパターンがほぼありません。ほとんどは、「知り合いのつて」で仕事を始め、少しずつ実績を作って広げていくのだそう。 20年ほど前、業界の隅っこでチマチマと、それらしき仕事に従事していたわたしにとって、「出版翻訳家」は憧れの職業でした。 宮崎伸治さんの『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』を読むまでは。 まさかこれほどまでに「買いたたかれる職業」だったとは思わなかったぜ……。 ☆☆☆☆☆ 『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』 https://amzn.to/2VlgN7s ☆☆☆☆☆ ベストセラー『7つの習慣 最優先事項』を翻訳し、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込む状況だったという宮崎さん。現在は、警備の仕事をされています。 年収1000万円を超える、超売れっ子翻訳家に何があったのか。 綴られているのは、出版界の「天国」と「地獄」です。 ・印税がカットされる ・発行部数がカットされる ・約束がコロコロ変わる ・翻訳完成後に出版時期がずれる ・翻訳完成後に出版予定が立たない などなどのトラブルや、翻訳家を“下”にみる編集者との付き合い、最後には訴訟ざたも。 フリーランスなので、仕事=翻訳だけしていればいいわけじゃないのは、そうなのでしょうけれども。あまりにも雑事に時間と精神を蝕まれ、宮崎さんは自ら“廃業”を決めてしまうのです。 わたしが経験した中でも、舞台関係と出版関係は、事前にギャランティが開示されないことが多くありました。なんとなく聞けないし、こちとらペーペーだし、言われるままにやるしかない。 そして。 実はわたしにも、100万円を超える未払い金があります。マジ、払ってほしいとは今でも思うけど、ゴチャゴチャと逃げ回る人に付き合って時間を消費する方が面倒くさい。そこで、いっさいの関係を絶つことを選びました。 数か月もの時間を投資して、自分の技術の限りを尽くして翻訳したものに対して、後出しじゃんけんでギャランティをいじるのは、どう考えてもアカンパターンなのでは。 それほど出版業界

尻込みしないで飛び込もう『スクリーンの向こう側』 #79

映画字幕の第一人者である戸田奈津子さんは、「映画は好きだけれど、映画を見てあれこれ評論する客観性がわたしにはない」と語っています。 映画会社でアルバイトの翻訳・通訳をしていたときに「地獄の黙示録」のロケに参加。コッポラ監督の推薦で日本語字幕をつけることになったそう。 トム・クルーズが来日するときは、必ず彼女を指名することは有名ですよね。 そんなハリウッドスタートの素顔や、字幕制作時の裏話を綴った『スクリーンの向こう側』をご紹介します。 ☆☆☆☆☆ 『スクリーンの向こう側』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 「恋におちて」のロバート・デ・ニーロ、「プリティ・ウーマン」の成功とリチャード・ギアの悪癖など、読んでいて楽しい話がいっぱいです。「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアム監督や、「シザーハンズ」のティム・バートン監督の話は、とてもかわいらしくておすすめ。あらたな目でもう一度、映画が観たくなってしまいます。 “わたしはどうしてもドラマの一端を担うセリフづくりに興味があり、性格的にも社交性を要求されない「一匹狼」の翻訳に向いているという自己分析があったのだ。” こうした自分の向き不向きを冷静に見極めた結果、「映画は好きだけど、映画ライターや評論家の仕事はできない」と割り切ったのだそうです。 英語力がなかったというコンプレックスをバネに字幕の修行を続けて、降って湧いたようなチャンスにもひるまなかった戸田さん。 わたしも以前、韓国語字幕をつける仕事をいただいたときに、全然能力は足りないものの、彼女のことを思い出してチャレンジしたことがあります。いや、できないレベルが全然違ったんだけど。笑 映像字幕は基本的に、1秒4文字が原則です。横書きの字幕なら、1行に表示できるのは13~14字。「文字数」が絶対なので、かなり工夫しないと入らないことが多いんですよね。 おかげで日本語を、裏から表から、ひっくり返したり肯定したり否定したり、あらゆる形で考えられるようになったかなと思います。 「できない」とひるまず、やってみることで得るものは大きい。 時に「なっちゃん語」と揶揄されながらも、第一線を走ってきた戸田さんの軽やかな言葉にクスリとしてしまう一冊。飛び込む勇気が感じられるエッセイです。

失敗上等!人生無計画でもなんとかなるよ『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』#49

将来どんな風になりたいか。キャリア設計は。そのために必要なスキルは。 人生近道を求めすぎなんじゃないだろうかと感じるくらい、現代では「夢から逆算して人生を設計」することが求められているようです。 でも。 「人生無計画」と呼べそうな半生を歩んだ方もいるんですよね。今日の「#1000日チャレンジ」の書評は、『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』をご紹介します。 ☆☆☆☆☆ 『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』 https://amzn.to/3yEFA4Z ☆☆☆☆☆ 著者の田中さんは、高校時代に不登校となり、役者を目指して上京。でも。 「やっぱ、これじゃなかったわ~」 と自宅へ舞い戻ります。あれこれあった後、一念発起してアメリカに留学。超低レベルの大学に進学するも。 「やっぱ、これじゃなかったわ~」 と転校。とにかく計画性のなさと、忍耐力のなさが特徴といえそうな方です。それでも、英語のおもしろさ、というより、コミュニケーションのおもしろさに目覚めてから、メキメキと力をつけていきます。 とはいえ、フリーランス通訳者となってからも失敗ばかり。大汗かいてやり終えた通訳なのに、信頼され、リピートを獲得。今ではダライ・ラマからご指名を受けるほどになったそうです。 思えば、わたしも10代のころはなんも考えてなかった気がします。いっぱい失敗して、絶望して、逃げながら今に至ります。笑 だから、「失敗しても、やり直しはできるよ」という田中さんのメッセージはとても力強く響きました。この本は、単純なサクセスストーリーではありません。 生きづらさを抱えて逃げるしかなかった著者が、自分の居場所をみつけるために右往左往する話です。がむしゃらに努力したから今があるという話ではなく、あたふた、オロオロ、じたばたするわけです。 こういう本こそ、将来の目標が見つけられないという人に読んでほしい。 好きを仕事に。 と言われても、そんなにカンタンに「好き」が見つからない人もいるでしょう。「天職」が見つからなくてもいいし、「違った!」と思ったら逃げてもいい。 息苦しいと感じる場所から逃げることは、「失敗」じゃないんですよ。