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映画「雨とあなたの物語」#906

韓国で人気のある日本の映画監督のひとりが、岩井俊二監督。 1999年に公開された「Love Letter」は、140万人を動員し、昨年末に5度目のリバイバル上映が行われました。 日本映画『Love Letter』、韓国で5度目のリバイバル上映…韓国に響いた“初恋映画”3作品|スポーツソウル日本版   初恋物語が大好きという印象のある、韓国の映画ファンたち。「Love Letter」の影響もビシバシ感じる初恋物語の映画が、カン・ハヌルとチョン・ウヒの「雨とあなたの物語」でした。 ☆☆☆☆☆ 映画「雨とあなたの物語」 オフィシャルサイト https://synca.jp/ametoanata ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 2003年の韓国。ソウルで浪人生活を送るヨンホは、小学校時代の友人を思い出し、手紙を出すことに。釜山で暮らすソヒは、自分の夢を見つけられないまま、母と一緒に古い本屋を営んでいた。病気の姉ソヨンに届いたヨンホからの手紙を受け取ったソヒは、「質問しない、会いたいと言わない、会いに来ない」という条件のもと、姉に代わって返事を書くようになる。やがてヨンホは「12月31日に雨が降ったら会おう」という可能性の低い提案をするが……。 ドラマ 「椿の花咲く頃」 で、21世紀版ザ・いい人を見せてくれたカン・ハヌル。「雨とあなたの物語」では、青年ヨンホの浪人生活時代と傘職人となった時代を演じています。 (画像は映画.comより) 好青年×モジモジ男感満載のヨンホから、姉宛に送られてきた手紙を受け取るのは、釜山に暮らすソヒ。こちらはチョン・ウヒが演じているのですが。 チョン・ウヒはこれまで、アブナイ役が多かったんですよね。 「サニー 永遠の仲間たち」では、友だちにぶち切れてたし。 人生の主人公は自分! なつかしの洋楽満載の青春ストーリー 映画「サニー 永遠の仲間たち」 #404   「悪の偶像」では、ソル・ギョングにぶち切れてたし。 人生を狂わすひき逃げ事件が暴き出したもの 映画「悪の偶像」 #374   「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」で、主演女優賞を総なめにした鬼才です。 でも、「雨とあなたの物語」では、姉思いの、とてもかわいい役柄です。いい意味で、とても“フツー”の女性を自然体で演じてるんです。それがとてもよかった。 (画像は映画.comより) ヨンホが浪人生活を送る200

映画「ただ悪より救いたまえ」#905

ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェという“大きいもの”対決が注目された、映画「ただ悪より救いたまえ」。 ふたりのアクションはもちろん大満足なんですけど、わたし的No.1はパク・ジョンミンでした。 「チェイサー」や「哀しき獣」などの脚本を手がけたホン・ウォンチャンの、監督2作目作品です。 ☆☆☆☆☆ 映画「ただ悪より救いたまえ」 オフィシャルサイト https://tadaaku.com/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 元工作員で、凄腕の暗殺者インナムは引退前の最後の仕事として、日本のヤクザ・コレエダを殺害する。コレエダの義兄弟だった殺し屋レイは、復讐のためインナムを追い、関わった者たちを次々と手にかけていく。一方、インナムの元恋人は彼と別れた後にひそかに娘を産み、タイで暮らしていたが、誘拐された娘を救う過程で殺されてしまう。初めて娘の存在を知ったインナムは、彼女を救うためタイへ急行。そしてインナムを追うレイもまた、タイへとやって来て……。 娘が誘拐されて、追跡劇が始まる……というストーリーから、ウォンビンが主演した「アジョシ」を思い浮かべてしまいます。 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) でも、「レオン」とはちょっと違う。どちらかというと、「ジョン・ウィック」の“大運動会”の方が近いかも。 これはナイフアクションの壮絶さがなせる技でしょう。 ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェの共演は 「新しき世界」 以来、7年ぶり。この時は、素っ頓狂な衣装にファン・ジョンミンがドギマギしたそう。 今作ではイ・ジョンジェのファッションにもご注目。なんでこんな、一目見て「チンピラ感」のある服を選ぶんでしょうね、チンピラって。 (画像はKMDbより) 娘を助けるために、日本→韓国→タイへと駆け抜けるファン・ジョンミンを支援するのは、パク・ジョンミン演じる「ユイ」。性転換手術の費用欲しさに仕事を請け負い、引っ張り回されてしまいます。 (画像は映画.comより) パク・ジョンミンの出演は秘密にされていたそうで、ポスターやティザー映像にも出てきません。 それでも、映画の中のかわいくて、臆病で、情にもろい姿は、強烈に印象に残りました。 「ユイ」には、韓国に残してきた子どもがいます。会いたいけれど、「こんな格好」の父を見たら、なんと言うか分からない。 その葛藤がと

ドラマ「静かなる海」#904

お月さまにいたのは、お餅をついているウサギじゃなかった。 水不足で危機に瀕した近未来の地球。未知の「サンプル」を回収するというミッションを受けて、選ばれし者たちが向かったのは、月にある廃墟と化した研究基地です。 そこで隊員たちを待ち受けていたものとは……。 Netflixから5億ドルの出資を受けて製作されたドラマ「静かなる海」。原作は2014年にチェ・ハンヨンが監督した、同名の短編映画で、SFサスペンスの意欲作です。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「静かなる海」 https://www.netflix.com/title/81098012 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 大干ばつによって砂漠化した地球。宇宙生物学者のソン・ジアンは、政府から月面にあるパレ基地でのミッションに参加するよう、依頼を受ける。5年前、放射能事故により廃棄された基地で、ジアンの姉であるソン・ウォンギョンが亡くなっていた。隊長ハン・ユンジェに止められるも、参加を決めたジアン。しかし、月面着陸の直前に、シャトルにトラブルが発生し……。 ペ・ドゥナとコン・ユという、K-ゾンビの名作を生み出したふたりを主演に迎え、チョン・ウソンがプロデューサー、脚本が「母なる証明」のパク・ウンギョと、前情報はかなり期待の高まるものでした。 もう、とにかく映像が美しい! そして、出だしの緊迫感と深まる謎には、ググンと引き込まれていきました。ただ、せっかく舞台が「月」なんだから、そこをもっと活かしてほしかったなーというのが、正直な感想です。 産業スパイの暗躍、家族との約束、家族との確執。舞台がどこであれ、「ザ・韓国ドラマ」なんですよね。良くも悪くも。 特に、主演のふたりがふたりなだけに、何かある度に、「来るぞー来るぞー」と身構えてしまう。 「何が」来るのかは見てのお楽しみとして、公開3日でNetflixTVショー部門3位にランキングされた本作。VFX技術の高さを感じさせるビジュアルで、月の荒涼感が伝わってきました。 コン・ユは、いつも何かを守ってきた役だったので、隊長役もホントに安心感があります。突発事態に対して、文句しか言わない人、ネガティブな人、狂信的に任務に邁進する人と、さまざまな反応を見せる隊員たちをまとめあげています。 (画像はNetflixより) 水資源がなくなり、階級によって水の配給量も変わるという世界設定は、近い将来を予感

映画「弁護人」#892

韓国の映画も食べ物もドラマも音楽も好きな分、もっと政治が洗練されればいいのになと感じることがあります。 大統領経験者が退任後に向かう先。それが刑務所、という事態が続いたからです。 逮捕はされなかったけれど、自ら命を絶ってしまったのが盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領。第16代大統領として、2003年2月から2008年2月まで務めました。 貧しい家庭の出身で、勉強はできたものの進学することができず、高卒で就職。日雇い労働をしながら司法試験を受けて、弁護士になり、その後、政界に進出しました。 苦労した若かりし頃から、ビジネスセンスに長けた金満弁護士時代、そして人権派弁護士と呼ばれるまでの姿は、ソン・ガンホ主演で映画化されています。 ☆☆☆☆☆ 映画「弁護人」 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 1980年代初頭、軍事政権下の韓国。税務弁護士として多忙な毎日を送っていたソン・ウソクは、若い頃に世話になったクッパ店の息子ジヌが、国家保安法違反容疑で逮捕されたことを知る。拘置所へ面会に行ったウソクは、ジヌの信じられない姿に衝撃を受け、弁護を引き受けることにするが……。 ヤン・ウソク監督の長編デビュー作となった「弁護人」。国民的人気の高かった大統領の、若き頃の奮闘といったテーマから、実は敬遠していたのでした。 ヨイショされたストーリーだったら残念だなと思っていたのですよね。 ラストシーンで、ボロボロ泣きました……。 ソン・ガンホ演じるソン・ウソクは、苦労して弁護士資格をとって活動を始めますが、一流大学出身の弁護士先生たちからはバカにされるばかり。司法書士がやっていたような仕事を始めて、ビジネスとして成功します。 その後もローファームを作ろうとしたりと、ビジネスセンスに優れていた人物として描かれています。 そんなソン・ウソクを「人権派」へと変えたのが、「プリム事件」と呼ばれるえん罪事件でした。 読書会を開催していただけの大学生が「アカ」として検挙され、拷問される。イム・シワンの脅えた様子が真に迫っていて、ホントに怖かった。 (画像は映画.comより) お世話になった方の息子だからと弁護を引き受けたソン・ウソク弁護士。彼の裏をかき、学生たちを暴行し、証言者を陥れる刑事を演じるのは、クァク・ドウォン。キターーーーって感じがし

映画「鋼鉄の雨」#891

ヤン・ウソク監督自身が描いたウェブトゥーン作品「鋼鉄の雨」。映画化第2弾の「スティール・レイン」が、現在日本でも公開されています。 映画「スティール・レイン」#890   第1弾の「鋼鉄の雨」は、Netflixで配信中。シリーズとはいえ、ストーリーに関連性はないので、どちらから観ても大丈夫です。ただ、主要なキャラクターは同じ俳優が立場を変えて演じているので、「スティール・レイン」から観た方が混乱しなくていいかもしれません。 ☆☆☆☆☆ 映画「鋼鉄の雨」 https://www.netflix.com/title/80226234 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 北朝鮮でクーデターが起こり、最高指導者が瀕死の重傷を負った。その場に居合わせた元エリート工作員オム・チョルウは、意識不明の最高指導者を連れて韓国へ脱出する。北朝鮮の宣戦布告により緊張が走る中、偶然にも韓国の外交安保首席クァク・チョルウと出会ったオムは、最悪のシナリオを回避するべく奔走するが……。 元エリート工作員オム・チョルウを演じるのは、チョン・ウソン。上官の命令を受けて行動していたものの、予想外の事態に接して、やむなく南へと38度線を越えてしまう。 この設定は、「愛の不時着」を思い出させますね。実際、ヒョンビンたちが使った地下トンネルが、この映画にも登場します。 韓流ドラマの法則を押さえた韓国版ロミジュリ ドラマ「愛の不時着」 #335   南側で待ち受けていたのは、クァク・ドウォン演じる韓国政府高官のクァク・チョルウ。なにかと衝突しながら、同じ「チョルウ」という名前をもつふたりがバディを組んで、北の指導者を治療し、送り返すというムリゲーなミッションに挑むんです。 オム・チョルウの漢字名は、厳鐵友。 クァク・チョルウの漢字名は、郭哲宇。 映画タイトルの「(鋼)鉄の雨」も、韓国語読みすると「チョルウ」となります。この「チョルウ」というワードは、「スティール・レイン」にも登場します。邦画タイトルも英語表記にしただけですしね。 で、南のチョルウが、北のチョルウに言うんです。 こんな言葉がある。 「分断国家の国民は、分断の事実よりも、分断を政治的に利用して利益を得る者のために苦しめられる」 この悲劇性が、「スティール・レイン」に引き継がれた一番大きなものだったかもしれません。 マンガが連載されていたのは2011年。映画

映画「スティール・レイン」#890

ババ抜きは、残りふたりになってからがおもしろいゲームです。 最初の頃は、誰が「ババ」を持っているか分からないから、余裕がありますよね。そこから、ひとり抜け、ふたり抜けしていって、最後にふたり残ったとき。 あいつが「ババ」を持っている。 そのことがハッキリ分かっている中で、ポーカーフェイスでカードを取るときの気分。 天国か。地獄か。 ゲームでさえこれだけ緊迫するんだもん。「ババ」が兵器ならば、どれだけ冷や汗をかくでしょうか。 ヤン・ウソク監督の新作「スティール・レイン」は、核兵器を巡って、韓国・北朝鮮・アメリカのトップたちが拉致されるという物語です。 北朝鮮の反乱軍によって、原子力潜水艦に監禁された3人の首脳。事件の裏でうごめく中国と日本の情報戦。 魚雷が飛び交う中で交わされる、トップの対話が見応えありました。 ☆☆☆☆☆ 映画「スティール・レイン」 https://www.hark3.com/steelrain/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 冷戦状態の続く朝鮮半島の平和協定を目指し、韓国、北朝鮮、アメリカの首脳会議が開催された。しかし米朝間で意見は割れ、北朝鮮では国交正常化に反対する軍事クーデターが発生し、3人の首脳は弾道ミサイルを積んだ、原子力潜水艦に閉じ込められてしまう……。 ヤン・ウソク監督自身のウェブトゥーン作品「鋼鉄の雨」シリーズの、映画化第2弾になります。 「鋼鉄の雨」の方は、現在Netflixで配信中。 映画「鋼鉄の雨」 https://www.netflix.com/title/80226234 ただ、主要キャストが反転しているので、劇場公開されている第2弾を観てから、「鋼鉄の雨」を観た方が、混乱しなくていいかも……と思います。 キリッと凜々しく、家庭ではやさしい父の顔も持つ韓国大統領を演じたチョン・ウソン。「鋼鉄の雨」では、北朝鮮の情報員なんです。 (画像は映画.comより) 反乱を起こす北朝鮮の高官を演じるクァク・ドウォンは、「鋼鉄の雨」では韓国側の政府高官役。長年の怒りを募らせた狂気は、迫力ありました。 (画像は映画.comより) そして、アメリカの大統領を演じたアンガス・マクファーデン。無邪気で、でかくて、愛嬌があって、すごく好きになりました。でも、イメージしてるのは、前大統領でしょうね……。 やっと出てきた食事は譲るのに、脱出のチャンスでは一

映画「玆山魚譜 チャサンオボ」#869

「きみは本当にいい目をしているね」 ソル・ギョングのひと言で、イ・ジュンイク監督の映画「玆山魚譜 チャサンオボ」への出演が決まったピョン・ヨハン。 流刑の身である元官僚と、一介の漁師という、身分も年齢も違うふたりが、友情を結び、師弟として、共に学ぶ喜びを知っていく物語です。 全編白黒作品ということで、(寝ちゃうかも……)と思っていましたが、いやー夢中になってしまいました。 ☆☆☆☆☆ 映画「玆山魚譜 チャサンオボ」 公式サイト https://chasan-obo.com/ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> キリスト教が迫害されていた19世紀初頭の朝鮮王朝時代、熱心な教徒だった天才学者のチョン・ヤクチョンは最果ての島に流刑になる。豊かな海と自然に恵まれた島での暮らしの中で、ヤクチョンは海の生物たちの魅力にとりつかれていく。庶民のための海洋学書を書き記したいと考えたヤクチョンは、島民の誰より海の生物に詳しい若き漁夫チャンデと出会う。やがて2人は師弟であり、友である関係となるが……。 大きな歴史的事件を扱いながらも、そこに関わった「人」を中心に映画を撮ってきたイ・ジュンイク監督。今回のタイトルは、読み方さえ分からん地味さです。 「玆山魚譜」とは。 玆山:島の名前である「黒山」の当て字 魚譜:海洋生物百科事典のこと この漢字の韓国語読みが「チャサンオボ」。英語タイトルはスッキリと「The Book of Fish」なので、こっちのが意味は分かりやすいかもしれません。 映画の舞台である「黒山島」は、韓国の南西部にある島です。 「黒山島」には行ったことないけど、ぜったいお魚がおいしいでしょ!というロケーションですよね。 当たり前といえば、当たり前なんですが、島なので、海の恵みが豊かなんです。そんなところに流刑されて、失意のドン底かと思いきや、目の前に広がる自然に好奇心いっぱいなのが、ソル・ギョング演じるチョン・ヤクチョン。実在の人物です。 (画像は映画.comより) ヤクチョンが罪人であり、クリスチャンということで、不信感と反発心がいっぱいだったところから、傾倒していき、やがて巣立っていく弟子のチャンデは、ピョン・ヨハンが演じています。チャンデについては詳しいことは分かっておらず、「玆山魚譜」の前書きに登場する程度の情報しかなかったそう。 (画像は映画.comより) もう、このふたり

映画「君が描く光」#868

絶対的に、自分の味方をしてくれる人はいますか? 「ばあちゃんは、あんたの味方だから。好きなことをやんなさい」 映画「君が描く光」では、12年ぶりに孫娘と再会したおばあちゃんが、そう言ってくれます。だから孫娘ははりきって、何でもやればいいのに。孫娘にはある秘密が隠されていました。 絶望の中でふたりが見つけた光とは? 済州島の海女おばあちゃんケチュンを演じるのは、 「ミナリ」 でアカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョン。孫娘ヘジは、 「トッケビ」 のキム・ゴウンです。 ☆☆☆☆☆ 映画「君が描く光」 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 済州島のベテラン海女ケチュンは、孫娘のヘジと幸せな生活を送っていたが、ある日ヘジがいなくなってしまう。八方手を尽くしたが彼女は見つからない。12年の年月が経過したとき、突然ヘジが帰ってくる。何があったのか言おうとしないヘジと、ケチュンは再び一緒に暮らしはじめるのだが……。 海女という、自分の身体ひとつで自然と向き合う仕事で、生計を立ててきたケチュンおばあちゃん。頭の中は孫娘のヘジのことだけです。 ずーーーーーっと胸を痛めてきて、ようやく会えた孫娘なので、村の人が「なんか怪しい」と言っても、耳を貸さない。ヘジが絵を描くのが好きなのだと分かり、全力で支援します。 ヘジを導く美術教師は、 「詩人の恋」 のヤン・イクチュンが演じています。 (画像はnamuwikiより) 都会の中で荒んだ生活をしていたヘジ。周囲の人は、“若い女”である自分を利用しようとするばかりで、まともな信頼関係に基づくコミュニケーションを知らないままなんです。 でも。 おばあちゃんは12年ぶりに現われたヘジを、なめるようにかわいがるので、ヘジはちょっと、とまどってしまうんですよね。この辺り、ユン・ヨジョンの“傍若無人”なかわいがり方が「ミナリ」を彷彿させます。 むかしといまをつなぐキーワードとして、飼っていた豚の話が出てくるんですが、実際に済州島では、排泄物をエサとして食べさせていたそう。韓国の水原(スウォン)にあるトイレ博物館にも模型が展示されていました。 左の岩の穴が、いわゆる「ボットン便所」の底です。子豚が倒れているのは、訪れたのが台風の翌日だから……だと思います。笑 都会の子が、こんな「親環境的」な

映画「8番目の男」#866

韓国初の陪審員裁判を描いた映画「8番目の男」。もちろん、裁判映画の名作「十二人の怒れる男」へのオマージュもたっぷり捧げられながら、いかにも韓国らしい姿が込められた作品でした。 ☆☆☆☆☆ 映画「8番目の男」 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 韓国の歴史上初めて国民が参加する裁判が開かれる日がやってきた。全国民注目の中、年齢も職業も異なる8人の一般市民が陪審員団として選定された。彼らが扱うこととなったのは、すでに証拠、証言、自白が揃った明白な殺害事件だった。8人の役目は刑を量定するだけのはずが、被告人がいきなり嫌疑を否認したため、陪審員たちは急きょ有罪無罪の決断を迫られることになってしまう。 韓国では、2008年に国民参与裁判=陪審員裁判制度が導入されました。その初の裁判が舞台ですが、ホン・スンワン監督はあえて実話から距離を置くように脚色したそう。 裁判ドラマって、難しい法律用語が連発するし、動きがないから退屈なものになりかねません。ドラマ「ロースクール」も、キム・ミョンミンのマシンガントークがなければ、凡庸なものになっていたかもしれいなーと思います。 ドラマ「ロースクール」#713   映画「8番目の男」の場合は、ベースが「十二人の怒れる男」なので、まぁ展開は読めてしまうのですよね。 期待するところは、陪審員8号である「8番目の男」が、どれだけ混ぜっ返してくれるか、というところでしょうか。演じるパク・ヒョンシクは、アイドルグループ「ZE:A」のメンバーで、これが長編映画デビュー作です。 ホン・スンワン監督もこれが長編デビューなようで、周囲のベテランたちがガッチリ話を引っ張っていってくれる感じが楽しめます。 プロ目線と素人の発想。コミカルに振ったら、しっかりと押さえにかかる。このバランスがとても楽しめました。 わたしは裁判官のキム・ジュンギョムを演じたムン・ソリという俳優が大好きで、この映画を見始めたのですけれど。 初の陪審員裁判を担当するのが、“女性”判事ということで、あちこちから圧力がかかるんです。あぁ、こんな役をムン・ソリがやるなんて……と、せつない想いでいっぱいになりました。 ムン・ソリは、イ・チャンドン監督の映画「オアシス」で、第59回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人