韓国時代劇の巨匠と呼ばれ、アジア全土に韓国時代劇ブームを巻き起こした人物といえば、イ・ビョンフン監督です。多くの場合、身分が低く、歴史の中で疎外されてきた人物、特に女性を主人公に据えたドラマを作っています。 著書の『韓流時代劇の魅力』には、こんな言葉も。 “一つのドラマが終わるたびに「もうこれで終わりにしよう」と思うのに、決して満たされることのない渇望が私を放っておかない。” 映画スターだったイ・ヨンエを主演に迎えた 「宮廷女官チャングムの誓い」 、ハン・ジミンの美しい泣き顔に打たれた 「イ・サン」 などのドラマを手掛けた監督が、次に目を向けたのが、“英祖”の母である“崔淑嬪”でした。 差別と階級。嫉妬と謀略。苦難のパッケージングは胸を熱くする ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」#441 王の生涯を貫くのは、友情と陰謀 ドラマ「イ・サン」 #560 “崔淑嬪”は賤民出身で、下女として宮廷の下働きをしていました。第19代国王・粛宗(スクチョン)に見初められ子をなすも、宮廷には居場所がありません。しかも王妃の座を巡る争いも絶えず、後継者だった景宗(キョンジョン)が早世してしまう。 そして棚ボタのようにやってきた、わが子が王位に就くという行幸。王宮の外での、母との平凡な暮らしが、“英祖”を聖君にしたともいえます。 ドラマ「トンイ」は、そんな“崔淑嬪”の生涯を追ったドラマです。 「チャン・オクチョン」→「トンイ」→「イ・サン」へと続く、壮大な歴史物語が、このドラマによってつながりました。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「トンイ」 https://amzn.to/3woWQtQ ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 1680年3月初旬の深夜、司憲府大司憲チャン・イクホンが何者かに殺害される。事件の容疑者にされたチェ・ヒョウォンと息子のチェ・ドンジュは、真犯人を探る中で罠にはまって捕縛。部下共々皆殺しにされてしまう。追っ手を逃れたヒョウォンの娘・トンイは、身を隠すために宮殿の掌楽院に入り、下働きをすることに。幼いころ、罠をしかけた人たちの手信号を覚えていたトンイは、その女性が禧嬪(オクチョン)であることに気づき……。 最近の韓国ドラマはシーズン制が多くなり、ほぼ16話の構成になっています。ただし、1話が映画並みの長さなのですが。笑 イ・ビョンフン監督が作った時代劇シリーズは話数が長く、「トンイ