お笑いの世界は、異種格闘技だった……! 欽ちゃん、ドリフから、さんまさん、とんねるずへ。そしてダウンタウンやナインティナインから「第7世代」と呼ばれる人たちへ。 芸人とテレビの関係性の変化に注目し、各世代の特徴を論じたラリー遠田さんの『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』は、芸人世界の熾烈な闘いの歴史がつまった一冊です。 ☆☆☆☆☆ 『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』 https://amzn.to/3gv3UiQ ☆☆☆☆☆ わたしにとっての「お笑い番組」は、いわゆる「しゃべくり漫才」であり、落語でした。関西では日曜日の昼間に漫才や落語の番組、そして吉本新喜劇が放送されていたからです。 上京してすぐの頃、江戸前の落語を聞いてみたくて出かけたことがあります。よりによって、立川談志師匠の独演会でした。 地方出身者にとって、たぶん東京在住の人の100倍くらいに感じられる江戸弁の迫力。たたみかけるように放たれる言葉に震え上がりました。わたしの江戸前落語デビューは、ほぼ聞き取れない&怖い×怖い×怖いとなったのでした。 関東の人だって、西の方の言葉を聞くと怖く感じることがあるらしいですが、それでも「関西弁」が受け入れられるようになったのは、さんまさんの功績が大きいといわれています。つまり、テレビの影響。 日本でテレビ放送が始まった1953年から、多くの芸人が「テレビの笑い」を追求してきました。 本では、芸人が生まれた年代によって世代を7つに区切り、それぞれの世代の特徴をみています。 ・第一世代:1931~1946年生まれ → いかりや長介と萩本欽一 ・第二世代:1947~1960年生まれ → ビートたけしと明石家さんま ・第三世代:1961~1970年生まれ → とんねるずとダウンタウン ・第四世代・第五世代:1971~1976年生まれ → スター不在 ・第六世代:1977~1988年生まれ → 谷間の世代 ・第七世代:1989年以降の生まれ → デジタルネイティブ世代 演芸場の舞台を知る第二世代までと、「師匠」を持たない芸人である第三世代以降との違い。そして、「お笑い」以外のスキルを打ち出していった第六世代以降の、ある意味「自由」な雰囲気。これらは俗に言う「世代論」とも、マッチしているように思います。 たぶんわたしは第六世代くらいの人が活躍し始めた頃から、テレビ