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早く、何度も、打席に立つ方法 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』 #322

4月から5月にかけて、「困った新人ちゃん」という記事が増える気がします。先日も、そんな記事を続けて目にしました。 日本初?リモート研修中にクビになった、法政大卒新入社員の末路 画面越しに「君はマナーが悪い」 コロナ禍が依然として続く日本社会。今年4月、多くの企業で新卒社員が入社したが、少なくない企業が新卒社員を出社させず、オンラインで研修を実施している。そんな不安な状況が依然続く中、すでに入社した会社で…   社内でアイスを食べた新入社員を注意 法務部に密告される事態に 男女4人の新入社員が研修室内で、小休憩で談笑しながらアイスを食べていた 新入社員研修の担当者は「アイスは少し違うんじゃないかな?」と注意 すると注意したことを法務部に「密告」されてしまい、ひと悶着あったという   どちらもネタとしてはおもしろいけれど、「モーレツ社員」世代と「ゆるふわ新人」世代の固定観念をさらにすり込んでくるように思います。 そこで分断してどうする!? と思うのです。もちろん、「あるあるー」と感じることもありますが、こういう記事を読んだ後は必ず、 (うちの子たちは、いい子でよかった) と記憶を書き換えることにしています。たとえ、その直前に不愉快なことがあっても、稚拙な論理で口撃されても、研修中の大あくびを見ても、頬杖ついて人の話を聞いていても、必ず。でないと、(やっぱりこの世代は……)と色眼鏡で見てしまいそうだし。 モンスター・ブロガーふろむださんの『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』を読んで、認知の歪みの力を思い知ったからよけいにそうなりました。 ☆☆☆☆☆ 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』 https://amzn.to/2RPX4Lt ☆☆☆☆☆ 「実力を魔くよりも、はるかに人生を好転させる実用書」という触れ込みの本書。本来は認知の歪みを利用して、よりよい環境を手に入れる方法が説かれています。 思考の錯覚=認知バイアスを自覚した方がいい理由とは。 認知バイアスを自覚するメリット  1. 自分が騙されないため 2. 周囲の人を詐欺から守る 3. 自覚できないから 4. 実力を伸ばせないから 成功した人が、自分の方法論について語る本は多いですよね。でも、なぜその人は成功したのか。失敗してもあきらめなかったから、とか、優秀だった

母の日に一緒に観たいハートフルコメディ 映画「怪しい彼女」 #304

「マザコン」のことを韓国語で「ママボーイ」といいます。マンマです。 ドラマなどを観ていると、母親と息子の関係はみっちりねっちりしているように感じます。現実にも、韓国人男性の多くが「ママボーイ」と言われているそう。 「家」を継ぐ男の子を産むことを期待される ↓ 長男が溺愛される こんな流れと、もともと親を大事にする文化が合わさって、ラブラブ~♡な親子も少なくない。 映画「怪しい彼女」はファンタジックなコメディなのですが、ファン・ドンヒョク監督ったら自分のお母さんのためにつくったでしょ!!!と感じるくらい、かわいらしいストーリーになっています。 ☆☆☆☆☆ 映画「怪しい彼女」 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 頑固で毒舌な老女オ・マルスンにとって、唯一の自慢は息子が国立大学の教授であること。職場でも家庭でも怒鳴ってばかりのマルスンは、自分が老人ホームに入れられようとしていることを知ります。最後の記念に写真を撮ろうと写真館へ向かったマルスンは、いきなり20歳の姿に若返ってしまう。アイドル歌手のオ・ドゥリとして新たな人生をスタートさせますが……。 かわいい顔して言動はクソババアというギャップのある女の子をコミカルに演じたのはシム・ウンギョン。はじけるようなお転婆な20歳の歌手と、口の悪い70歳の頑固ババアを「マルスン」の中に融合させて、「怪しすぎる」女の子を作り上げています。 この演技力ですもん。2019年の映画「新聞記者」で最優秀主演女優賞の受賞もうなずけます。 (画像リンクです) 懐メロ満載の音楽のよさもあって、映画もヒットし、8カ国でリメイクされています。日本では 多部未華子&倍賞美津子ペアで映画化。ポスターなどのイメージジャケットは本家のものを踏襲しているようですね。 (画像リンクです) 劇中の歌は、もちろんシム・ウンギョンが歌っています。中でも、チェ・ウンオクという歌手のデビュー曲であるバラードの「雨水」は、1976年に発表された当時、知らない人がいないと言われるほどヒットしたそうです。 40年ぶりにコンサートをするというのでインタビューを受けている映像を見つけました。最初に流れている曲が「雨水」です。しっとりしてる。 조용히 비가 내리네 추억을 말해주듯이 静かに雨が降るね 思い出を語るように 이렇게 비가 내리면 그날이 생각이 나네 こうして雨

ムダにポジティブなシングルマザーの姿に、“家族”とは何かを思う ドラマ「がんばれ!クムスン」 #303

韓国文学、特にフェミニズムを扱った小説を読んでいて、思い出したドラマがあります。 貧乏でドジで学のないシングルマザーが、新しい恋に出会い、自立を目指す物語「がんばれ!クムスン」です。 ☆☆☆☆☆ 「がんばれ!クムスン」 DVD ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 父は病死、母には捨てられ、祖母に育てられたクムスン。いまは美容師を目指している。ところが、叔母の下宿に住む大学生のチョンワンと一夜を共にし、妊娠。家族の反対を押し切って結婚するも、新婚4日目で夫が事故死。行く当てのないクムスンは、そのまま婚家で暮らすことを決意する。姑や義兄から冷たくされながらも、息子フィソンを出産し、あらためて美容師に挑戦しようとアルバイトを始めたところで、外科医のク・ジェヒと出会う。 全163話もありますが、1話がだいたい40分程度。かるーく観られるファミリードラマです。韓国では最高視聴率42%を獲得したという、オバケぶり。 わたしは某配信系の無料サービスで観ていたのですが、そこのコメント欄に並ぶ罵詈雑言がけっこうすごくて、これを読むのも楽しみにしていました。 ・食べ方が汚い! サイテーな女だ!!! ・居候のくせに姑に文句言うなんて、サイテーな女だ!!! ・息子をほったらかしてデートするなんて、サイテーな女だ!!! こんなに本気で観ている人がいるなんて、制作者側も本望なんじゃないかと思ってしまいました。とはいっても、クムスンは「サイテーな女」では全然ありません。 夫が亡くなっても、嫁は嫁。追い出されても舞い戻ってきたクムスンは、「居候」状態ではありますが、6人家族の家事労働を一手に引き受けています。 長男が結婚して(クムスンの夫は三男)、兄嫁がやって来た時。進歩的な考えの彼女はクムスンを見てびっくりするのです。 「今どきタライで洗濯するなんて! 洗濯機を買いましょう」 このドラマ、韓国で放送されたのは2005年ですからね。念のため。 こんな状況に誰も疑問を持たない。それが韓国の「家」における「嫁」なんだなーと強く印象に残っています。言葉は悪いけど、「奴隷」にしか見えない。「家族」というより、無料の「家政婦」なんです。兄嫁のような感覚が、文学の世界で大爆発しているんだなと感じました。 とにかくドジで、何かやらせると事故を起こし、母に甘えたことがないから人への頼り方も分からない。それでも明る

王位をかけた壮大な親子ゲンカ 映画「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」 #302

映画「スター・ウォーズ」を評して「全宇宙を巻き込んだ壮大な親子ゲンカ」という言葉があります。いや、ホント、その通りですよね。 父と息子の葛藤は多くの物語のテーマになっています。韓国ドラマでよく扱われるのは「英祖」とその息子「思悼世子」の対立です。 「英祖」は朝鮮王朝時代の名君として知られ、在位期間も52年と同王朝でもっとも長い。でも、母が側室だったということもあり、家臣には軽んじられる、対立する派閥からは命を狙われる、ということもあったようです。 彼が生まれる前、父と母の出会いと恋を描いたドラマが「トンイ」です。 自らの手で運命を切り開いた国母の生涯 ドラマ「トンイ」 #565   「英祖」と、孫の「正祖」の恋を描いたドラマが「イ・サン」。 王の生涯を貫くのは、友情と陰謀 ドラマ「イ・サン」 #560   英祖ー思悼世子ー正祖の悲劇に切り込んだ映画が「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」。ほとんど時代劇に出演していないソン・ガンホが「英祖」を、ユ・アインが「思悼世子」を演じています。 ☆☆☆☆☆ 映画「王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間」 https://amzn.to/35fasM9 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 朝鮮第21代国王・英祖(ヨンジョ)は、息子・思悼(サド)を王位継承者にし、王の代理を務めるように命令する。しかし、自分のつくった制度を改革しようとする息子に憤りをつのらせる。期待を裏切られたと感じた英祖は、思悼を米びつに閉じ込めてしまう。 「スター・ウォーズ」は「全宇宙を巻き込んだ壮大な親子ゲンカ」でしたが、こちらは「王位をかけた壮大な親子ゲンカ」。とにかく息子を全否定する父なんです。 英祖自身、出自のこともあって努力に努力を重ねた人ではあるし、実際に頭がよかったそうです。100点のテストしかとったことない人が、95点のテストを見てガッカリしちゃうようなもんでしょうか。 十分がんばってるやん!!! という言葉は届かず、息子へのガッカリだけがつのる父。父を失望させていることに気づいてグレる息子。 なぜ、ここまでの対立になったのか。 なぜ、謀反を疑うことになったのか。 あまりにも有名な歴史エピソードを、ていねいに追っています。父子対立の話ではありますが、仕事を「任せる」のダメな見本のようでもあります。 「パラサイト 半地下の家族」で、世界的に有名になった

無実の男がえん罪を叫ばなかった理由に泣く 映画「7番房の奇跡」 #301

映画「7番房の奇跡」は、冤罪によって収監された男の物語です。実際にあった事件を基にしていますが、おかたい社会派ドラマではなく、父と娘の絆を描いたハートフルな映画でした。 韓国では観客動員が1200万人を突破する大ヒット。韓国のアカデミー賞といわれる大鐘賞で、主演男優賞など4冠に輝きました。 ☆☆☆☆☆ 映画「7番房の奇跡」 https://amzn.to/2TErSPY ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 知的障害のある父ヨングと娘のイェスンはふたり暮らし。ある日、ヨングが女児を誘拐・殺害したとして逮捕されてしまう。ヨングの罪状を知った囚人や刑務所のチャン課長はヨングを虐待。しかし、対立するグループから命を助けられた班長は、ヨングとイェスンを会わせるためにある計画を思いつく。一方、チャン課長はヨングの犯罪に疑いを持ち……。 映画のタイトルにある「7番房」とは、ヨングをはじめとする囚人たちが収監されている部屋の番号です。原題は「7番房の贈り物」で、どちらかというと、こちらの方が内容に合っているかな。 死刑判決を受けたヨング。同室の仲間たちと、彼の娘によって、無実が明らかになるけれど……、というお話です。 無実の罪で死刑判決を受けた囚人の物語といえば、「グリーンマイル」を思い出します。 ☆☆☆☆☆ 映画「グリーンマイル」 https://amzn.to/3xjLKGX ☆☆☆☆☆ 不思議な力を持つ死刑囚のコーフィに、刑務所の看守ポールたちは脱獄を勧めます。が、コーフィはそれを断ってしまう。 「7番房の奇跡」でも、死刑執行の日程が決まったという連絡を受け、同室の仲間たちが脱出を企てます。これがまた、夢のある脱出劇なんです。荒唐無稽なんだけど、ファンタジック。 当のヨングはよく分かっていないのですが、理解していたとしても、彼は脱出を選ばなかったのではないかと思います。娘のために一緒にいたいけれど、娘のために一緒にはいられない。 その理由に、思わずこぶしを握ってしまう展開です。 とにかく娘のイェスンちゃんを演じたカル・ソウォンちゃんがかわいい。オーディションでは全然ダメで落とされる予定だったのが、「素人っぽくていいんじゃなーい」という イ・ファンギョン監督の一声で決まったのだとか。 (画像はKMDbより) 知的年齢が6歳の死刑囚イ・ヨングを演じたのはリュ・スンリョン。ブラックコメディ「

人生をやり直したい男の誤算が招くコメディ 映画「LUCK-KEY」 #298

名バイプレーヤーとして知られる俳優が、主演を務めるとき。その心中はドッキドキでしょうね……。 映画「ベテラン」や「タクシー運転手 約束は海を越えて」で味のある演技を披露していたユ・ヘジンにとって、初めての単独主演映画が「LUCK-KEY ラッキー」でした。 ☆☆☆☆☆ 映画「LUCK-KEY」 https://amzn.to/3watGNT ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 売れない貧乏役者のジェソンは、将来に絶望して自殺を試みます。が、大家の侵入によって失敗。せめて身ぎれいになってからにしようと銭湯に行くことに。石けんを踏んで転倒した男の鍵をすり替え、男のフリをして暮らそうとしますが……。 原作は内田けんじ監督のコメディ「鍵泥棒のメソッド」。リメイク版の試写会で、観客が提案したタイトルが「LUCK-KEY」で、それがそのまま使われることに決まったのだそう。 ☆☆☆☆☆ 映画「鍵泥棒のメソッド」 https://amzn.to/3jEEotv ☆☆☆☆☆ ユ・ヘジンが演じるのは記憶喪失になった男「ヒョヌク」なのですが、ロッカーの鍵をすり替えられてしまったため、周囲には貧乏役者だと思われています。助けてくれた救急隊員の実家である食堂で働くことになりますが、刀さばきはすごいし、客さばきもうまい。だけど彼自身は俳優として成功し、親孝行しなければとマジメに努力します。 (画像はKMDbより) 一方、鍵をすり替えて逃げ出したジェソンの方は、豪勢な「ヒョヌク」の家にビックリ。贅沢三昧に自堕落に暮らし始めますが、隠し部屋で多くの銃を発見してしまいます。 実は「ヒョヌク」は、100%の成功率を誇る伝説の殺し屋だったのです!!! というお話。とにかくおかしな方へ、おかしな方へと話が転がっていく、コメディです。 (画像はKMDbより) 驚くのはユ・ヘジンの身体能力の高さ。趣味は登山と日曜大工だそうですが、いや、すごすぎやろというくらい、見事なアクションをみせています。 映画では、どう見てもおっちゃんなのに身分証は20代だったり、大部屋俳優から出世しちゃったり。 記憶は失っても、努力の仕方は覚えてるんですよね。 逆に、鍵をすり替えたジェソンは、夢はでっかく、だけど行動力はゼロという青年です。ふたりの対照的な生き方は、入れ替わっても続いてしまう。「幸運の鍵」をつかむには、という部分で、ちょっと身に

映画「新しき世界」#293

「アメリカに“ハリウッド”があるように、韓国には“忠武路”という町があります」 第92回アカデミー賞で 「パラサイト 半地下の家族」 が脚本賞を受賞した時、ポン・ジュノ監督と共同で脚本にあたったハン・ジュヌォンは、そう挨拶していました。「この栄光を“忠武路”(チュンムノ)の仲間たちと分かち合いたい」。泣けるなー! ハン・ジュヌォンのスピーチ(1:50くらいから) アメリカにハリウッドがあるように、韓国には忠武路というところがあります。わたしはこの栄光を忠武路の仲間たちと分かち合いたいと思います。ありがとう! #アカデミー賞 https://t.co/LLK7rUPTDI — mame3@韓国映画ファン (@yymame33) February 10, 2020 1955年に「大韓劇場」という大規模映画館ができたことをきっかけに、映画会社が多く集まり、“忠武路”(チュンムノ)は映画の町と呼ばれるようになりました。 一夜にしてスターに躍り出る人や、その浮き沈みも見つめてきた町です。 リュ・スンワン監督×ファン・ジョンミンの映画「生き残るための3つの取引」での脚本が評価されたパク・フンジョン。韓国最大の映画の祭典で、最も権威のある映画賞である「青龍映画賞」で、彼自身は脚本賞を受賞。映画も作品賞を受賞し、一躍“忠武路”の注目を浴びることに。 そうして、自らメガホンを取った作品が「新しき世界」です。 ☆☆☆☆☆ 映画「新しき世界」 Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 韓国最大の犯罪組織のトップが事故死し、跡目争いに突入。組織のナンバー2であるチョン・チョンは、部下のジャソンに全幅の信頼を寄せていますが、彼は組織に潜入した警察官でした。この機会にスパイ生活を止めたいと願い出ますが、上司のカン課長の返事はNO。組織壊滅を狙った「新世界」作戦を命じられ……。 あらすじを読んでお分かりのように、思いっきり「ゴッドファーザー」と「インファナル・アフェア」のミックスジュース特盛り「仁義なき戦い」スパイス風味入りです。 無節操といえばそうですけれど、名作のオマージュはヘタをすると二番煎じの域を出なくなっちゃうと思うんです。よいところが薄まっちゃうというか。人気作の続編が、「あれれ?」となるのもそうですよね。ですが。 名作と名作を合わせたら、一大名作が