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ドラマ「ある春の夜に」#790


もう終わったと思っていたのに、終わってなかった。

ドラマ「ある春の夜に」で、ハン・ジミン演じる図書館司書のジョンインの話……ではなく。このドラマについて紹介したと思ってたら、まだだと気付いた時の、わたしの衝撃でした……。


「ある春の夜に」は、障害だらけの恋に対して、ちょっとずつ、ゆっくりと、歩みを進めていくドラマです。

ハン・ジミンが図書館司書を、チョン・ヘインがワケありの薬剤師を演じています。

☆☆☆☆☆

ドラマ「ある春の夜に」
https://www.netflix.com/title/81094069

☆☆☆☆☆

<あらすじ>
図書館司書のイ・ジョンインは、友人宅で飲み明かした翌朝、二日酔いが止まらないため、薬局へ立ち寄る。薬剤師のユ・ジホに薬を頼むが、財布を忘れてしまい代金を立て替えてもらったうえ、タクシー代も借りることに。ジホがジョンインの友人宅の上の階に住んでいることや、恋人ギソクのバスケ同好会の後輩であることを知り……。


わたしの友人は、「ハマったら困る」と、ずっと韓国ドラマを敬遠していたのですが、在宅時間が増えたことでヒマを持て余し、ついにポチり。「100日の郎君様」で沼落ちしたという、あんまりいないタイプです。


その後、「トッケビ」「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」を経て、「ある春の夜に」を見始めた時。

(これって、続編……!?)

と思ったのだとか。

気持ちは分かる。同じ監督・脚本家によるドラマで、おまけに出演者がけっこうかぶっているのです……。

ヒロインのジョンインこそハン・ジミンが演じていますが、彼女と少しずつ心を交わしていく男性役は、どちらもチョン・ヘイン。

ジョンインは三姉妹の真ん中なのですが、妹は「綺麗なお姉さん」で主人公の同僚を演じていたチュ・ミンギョン。

しかも恋愛の構図が似ているので、「んん?」となるんですよね。

母親役も同じ、キル・ヘヨンですが、“毒母”だった「綺麗なお姉さん」とは一転、「ある春の夜に」の方は、父のなだめ役的な立ち位置です。

ここが一番違うかも。

最初は「綺麗なお姉さん」のソン・イェジンにオファーがあったそうですが、さすがに断ったのだそう。

ただ、「ある春の夜に」もやはり、女性の生きにくさを全面に出したストーリーでした。

ジョンインの姉はアナウンサーという花形職業に就いていますが、家庭内暴力に遭っているのです。

離婚か。仕事か。

ジョンインにも、ダラダラと付き合い続けている恋人がいて、親の体面を守るためなんじゃないかと疑い始めます。

ジョンインの父は、ジョンインの恋人の父から見下され、ジョンインの恋人は、シングルファーザーであるジホを見下す。

男たちのしょーもないマウンティングに、ゲンナリする女性たち。「綺麗なお姉さん」では、女性たちの連帯を断ち切る戦略が痛かったのですが、「ある春の夜に」娘のことを信頼して背中を押す母の姿が印象的です。

チョン・ヘインがドキュメンタリー番組のロケでニューヨークを旅した際、町中で声をかけてきた人は、このドラマを観てファンになったと言っていました。アメリカではこちらの展開の方が受け入れやすいのだろうか……。


なんでまた、似たようなドラマを、似たようなキャストで作っちゃうんだろうという不思議を感じますが、主人公ふたりの心の寄せ方が、見ていて気持ちがいいドラマではあります。韓国で放送時は32話だったそうですが、Netflixで配信されているのは16話とまとめられています。


ドラマ「ある春の夜に」MBC 全32話(Netflixでは16話に)(2019年)

監督:アン・パンソク

脚本:キム・ウン

出演:ハン・ジミン、チョン・ヘイン、キム・ジュンハン、イム・ソンオン、チェ・ミンギョン






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