小説家や脚本家のタイプとして、物語世界を起ち上げるのがうまい人と、話の展開がうまい人がありますよね。 「ハリー・ポッター」シリーズを書いたJ・K・ローリングは前者の代表だと思います。映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」を観て、(ローリングは原作を書くことに集中した方がよいのでは……)と思ったのはここだけのヒミツ。 一方の筋立てや運びのおもしろさで読者をひきつける作家は「ストーリーテラー」と呼ばれます。 小説家ならイギリスのジェフリー・アーチャーが有名。彼は“物語を語る”ことにこだわっていて、読者を飽きさせないことを常に念頭に置いているそうです。 モダン・ホラーの第一人者で、多くの作品の映像化されているスティーブン・キングも「ストーリーテラー」でしょう。 「ストーリーテラー」は本来、小説家に使われる言葉のようですが、映画を観ていても「この脚本家は“ものがたリスト”だなー」と感じることがあります。 たぶん「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノがこのタイプ。デビュー作の「ほえる犬は噛まない」は、日常を舞台にした話ながら批評家から絶賛されました。 そんな“ポン・ジュノの再来”と言われたのが、「サニー 永遠の仲間たち」のカン・ヒョンチョル監督です。 ☆☆☆☆☆ 映画「サニー 永遠の仲間たち」 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 専業主婦のナミは、母の見舞いに行った病院で、かつての親友・チュナと再会する。久しぶりの出会いを喜ぶものの、チュナは末期がんに冒されていた。「死ぬ前にもう一度だけみんなに会いたい」というチュナの願いを叶えるため、かつての仲間たちを探すことにするが……。 デビュー作の「過速スキャンダル」は、韓国で観客動員数824万人を記録。2作目の「サニー」もヒットし、ベトナムやインドネシアでリメイクされました。 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) 日本版リメイクとして公開されたのが、大根仁監督の「SUNNY 強い気持ち・強い愛」です。シンクロ率90%超え!な日本版は、脚本も大根監督が担当しています。カメラ位置や衣装まで寄せているにも関わらず、いくつかの点は「日本向け」になっていました。 その変更が、映画の印象を大きく変えたような気がするんですよね