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映画「エターナルズ」#864


あんパ~ンチ!!!

マブリーことマ・ドンソクのハリウッドデビュー作「エターナルズ」を見て、笑い転げました。

「エターナルズ」とは、7000年前に地球にやってきて、人類を見守ってきた不死の異種星族のこと。人類に対して、時には知恵を授け、時には凶悪な怪物から守ってくれていたらしいです。

そんなひっそりしてないで、堂々とやってくれればよかったのに。気が付けば地球の滅亡まで7日だった……わけです。

散り散りになって暮らしていたエターナルズのメンバーは、危機に際して再集結するんですけど、他のみなさんは強そうなビームを目から発したり。

(画像はIMDbより)


強そうな武器を作り出したり。

(画像はIMDbより)

めちゃかっこいい“アクションヒーロー”感があふれていました。

そんな中で、マブリーはというと、素手! 武器なし! 拳のみ!!!

コズミック・エネルギーというもので、強力な外骨格を形成することができるんだそうですが、どう見ても「あんパ~ンチ」やないかい!!

(画像はIMDbより)


最も強く、最も優しきエターナルズのメンバー、ギルガメッシュを演じるマブリーに、前半は大いに楽しみ、後半で号泣しました……。

映画「エターナルズ」に関しては、多くの考察記事が出ているので、このブログではマブリーの過去作から、彼の魅力に迫ってみたいと思います。

☆☆☆☆☆

映画「エターナルズ」

公式サイト
https://marvel.disney.co.jp/movie/eternals.html

☆☆☆☆☆

<あらすじ>
遙かな昔から地球に存在し、7000年もの間、陰から人類を見守ってきたエターナルズ。最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。その脅威に立ち向かうべく、これまで身を潜めていたエターナルズが再び集結する。


マブリーことマ・ドンソクは、1971年に韓国で生まれていますが、18歳でアメリカへ移住。その後、アメリカ国籍を取得しています。映画にクレジットされている「Don Lee(ドン・リー)」とは、彼の法律的な本名なんです。

映画「ロッキー」を見て俳優を志したという青年ドン・リーは、ボクシングを始めます。フィットネストレーナーなどを経験し、韓国で映画俳優としてデビュー。

2012年に「隣人-The Neighbors-」に出演した時には、30kgダイエットしたと、写真を公開して話題になりました。左がトレーナーだった頃、右が映画出演時の様子です。腕がヤバい……。

(画像はOSENより)

これより前、2008年の映画「グッド・バッド・ウィアード」で、世界のソン・ガンホやイ・ビョンホンと共演していますが、この時はまだギャングの一員役。馬に乗って悪党役のソン・ガンホを追いかけ回す役でした。が、一撃で吹っ飛ばされるという、いま考えると、めちゃくちゃもったいない使い方をしています。

画像の中、一番左の丸顔が、マブリー。200枚以上の画像資料の中からやっと探した……。

(画像はKMDbより)

「グッド・バッド・ウィアード」は、映画自体も「キムチウエスタン」と銘打つとおりの展開で、めちゃくちゃ楽しめる一作ですよ。


この映画以降も、「生き残るための3つの取引」や「悪いやつら」で、分かりやすいコワモテを活かした演技を披露していますが、マブリーを一躍スターにしたのは、なんといっても「新 感染 ファイナル・エクスプレス」でした。


「ゾンビがかわいそう」と言われるほどの豪腕を発揮。ゾンビ対策のこのポーズは、そのまま「エターナルズ」のギルガメッシュのイメージに引き継がれているのでは、と思います。

(画像はKMDbより)

(画像はIMDbより)

さすがクロエ・ジャオ監督、分かってはる……という感じですね。

ハリウッドからマブリーへのオファーが増えたのは、やはりこの「新 感染」の後だったそう。でもタイミングが合わずに、というかこの時期、マブリーは韓国映画で引っ張りだこだったんですよね。「エターナルズ」でようやく、ということだったようです。

自分の映画を観て分析してくれていた、とマブリーも語っていて、アクションシーンの演技プランにも参加。ボクシングという、マブリー式アクションの基本をベースに組み立てていったそう。


実は「新 感染」以降、マブリーの出演作は急増しています。

2017年:3本(主演は2本)

2018年:5本(主演は4本)

2019年:5本(主演は2本)

どんな映画でも、最後はマブリー大爆発!で解決してしまうので、豪腕役者として消費されてしまうのでは……なんて心配する声も聞こえ始めたのは、「守護教師」「無双の鉄拳」といった映画に出演していた頃でした。

ですが、そんな声を吹き飛ばすように、豪腕を封印した作品にも挑戦しています。

「神と共に 第二章:因と縁」では、暴力に触れると気絶しちゃうという、これまでのイメージとは正反対の守護神役を。


「スタートアップ!」では、中華料理店のおっちゃんとして、中華鍋片手に、完全にコミカルに振り切った演技を。


「エターナルズ」でも、メンバーに手料理を振る舞うシーンがありましたね。フライパンを持つとコミカルスイッチがオンになるのかも。和んだシーンでした。
(画像はIMDbより)


マブリーことマ・ドンソクがMCUに参加するというニュースを知った時、わたしはかなり不安を感じていました。

ハリウッドでも“筋肉系”の俳優って、ぶっちゃけ演技力が高く評価されていません。マブリーも、まだ繊細な演技は難しいのかな、と正直感じていたので。

イロモノ扱いされていたらどうしよう……。

でも、そんな心配は杞憂に終わりました。「エターナルズ」はある意味、全方位的に“配慮”されたキャスティングとストーリーだったのではないかと思います。ストーリーは「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界が舞台ですが、ジェンダー、民族、手話まで入れるという多様さは、新しい形といえるかもしれません。

マブリー演じるギルガメッシュも、暴走列車のような爆弾を抱えるアンジェリーナ・ジョリーのパートナーとして、ガッツリ存在感を示していたのです。

ギルガメッシュの懐の深さに、泣いてしまったよ……。


ただ、気になったところがひとつありました。

アンジーを後ろから羽交い締めにするシーンは、ちょっと遠慮してたんじゃないかしら?

力一杯いくと、破壊しちゃうからかな。アンジーが怖かったのかな。何テイク撮ったんだろうと、あれこれ考えてしまったのだけれど。

「あんパ~ンチ!」を炸裂させて、俳優として大きなチャレンジを果たしたマブリーこと、ドン・リー。

このアクションがどう発展してきたのか、マブリーの歴史を振り返りたい気持ちが止まりません!


映画「エターナルズ」156分(2021年)

監督:クロエ・ジャオ

原案:ライアン・フィルポ、カズ・フィルポ

脚本:クロエ・ジャオ、パトリック・バーリー、ライアン・フィルポ、カズ・フィルポ

出演:ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、サルマ・ハエック、クメイル・ナンジアニ、リア・マクヒュー、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ローレン・リドロフ、バリー・コーガン、マ・ドンソク、キット・ハリントン、ハーリッシュ・パテル、ビル・スカルスガルド、ハーズ・スレイマン


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