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ドラマ「このエリアのクレイジーX」#806

“憤怒調節障害”の男性と“強迫性障害”の女性が、サイアクな形で出会ってしまったら。 起きるのは、破滅か、純愛か。 チョン・ウとオ・ヨンソのラブコメ「このエリアのクレイジーX」は、心に傷を抱えたふたりの勘違いに、クスッとなるドラマです。 現在公開中の映画「偽りの隣人 ある諜報員の告白」で、“愛国心の強い”諜報員を演じたチョン・ウ。ドラマ「応答せよ1994」で一躍有名になりました。 (画像リンクです) でも、このドラマ観てない……。 そこでもう一本の主演ドラマであり、「応答せよ1994」以来のドラマ出演となった「このエリアのクレイジーX」を紹介します。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「このエリアのクレイジーX」 Netflix配信 https://www.netflix.com/title/81430301 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 警察官のノ・フィオと、イ・ミンギョンは、家が隣同士で、かかりつけの精神科医も同じ。関りを持たずにいる方がお互いの為なのに、なぜかことあるごとに顔を合わせる羽目になり……。 序盤は笑えるシーンは多いものの、とにかく叫ぶ、怒鳴るの繰り返し。だんだんと過去が明らかになっていく第5話目くらいから、ようやく落ち着いて(?)観られるようになりました。 コミュニケーションアプリといえば、日本では「LINE」がライフラインに近い存在になっていますが、韓国で使われているのは「Kakao Talk」の方。 韓国ドラマでもよく「カトがさ~」なんて形で使われています( カ カオ ト ークの略)。 「Kakao Talk」を運営する「Kakao」は、最近コンテンツ企業を買収しまくっているそうで、ウェブトゥーンと呼ばれるネット漫画や映像制作にも力を入れているそう。 カカオがタパス・メディアを買収…「恋するアプリ」「梨泰院クラス」から『スペース・スウィーパーズ』まで、高まる“ウェブトゥーン”需要|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS   「このエリアのクレイジーX」は、人気配信サイト「KAKAO TV」と「Netflix」が製作したドラマなんです。 1話につき1億円以上が投資されたといわれる「愛の不時着」などに比べると、ちょっと地味な印象はありますが、生きづらさを抱えた人を包み込む、愛にあふれたストーリーでした。 女性の自立やセクハラとの闘いがテーマとなるドラ

映画「7級公務員」#801

とにかく大好きな映画があります。脚本も、演出も、俳優も、演技も、全部好き。 「エクストリーム・ジョブ」みたいに、最高級に作り上げられた脚本に拍手したい映画もあったけど。 特大級のブラックコメディ 映画「エクストリーム・ジョブ」 #185 B級感満載でありつつ、とぼけた味わいにクスッが止まらない「反則王」も好きなんだけど。 映画「反則王」#800   コメディのお約束を、とにかく全部つめこんでみました!!!みたいな映画である「7級公務員」は、最高の一本。 ヘタレでマザコンの男が、スパイとしてデビューした先で、元カノと鉢合わせしまう……というストーリーです。 ☆☆☆☆☆ 映画「7級公務員」 DVD(画像リンクです) Amazonプライム配信(画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 国家情報院の国内産業保安チームで、ミッション成功率100%を誇るスジは、特殊な職業上、恋人のジェジュンにさえ正体を明かせずにいた。スジのウソに疲れ果ててしまったジェジュンは、一方的に別れを告げてロシアへ留学。3年後、国家情報院海外部門所属要員となって帰ってきたジェジュンは、任務中にホテルでトイレ清掃をしているスジを見かけて……。 韓国の公務員は、9級、7級(一般公務員など)、5級(事務官級など)に分かれています。 「7級公務員」は、日本でいう「国家2種」に当たるそう。就活に失敗した学生や、ブラック企業から逃げ出して公務員を目指す、というシーンはドラマでもよく登場しますよね。 2016年の統計では、就活生のうち、一般職公務員を目指す受験生は39.3%にも上っています。 そんな狭き門をようやくくぐり抜け、公務員となったジェジュンですが、あまりにもヘタレなんです……。 演じているのはカン・ジファン。なんとも甘ったるいお坊ちゃま感がぴったりハマっています。2009年に開催された「第46回大鐘賞」で、新人男優賞を受賞しました。 (画像はKMDbより) ジェジュンが配属されたチームの班長は、リュ・スンリョンが演じています。 「エクストリーム・ジョブ」 や 「サイコキネシス 念力」 のコミカルな演技とは違い、今回は、コワモテの方。だけど、ジェジュンがとことんやらかしてくれるので、気の毒になっちゃうくらいです。 「融通のきかない新人を抱えることになった上司」の悲哀を想像していただければ、マッチング度は10

映画「反則王」#800

なんじゃこりゃ!?と感じるくらいベタなコメディって、心から愛しいのです。バカをやってくれるほど、愛がつのる。 いまや“世界の”ソン・ガンホが、若かりし頃に主演した映画「反則王」が、まさにこれ。「昼はダメダメ銀行マン、夜は覆面プロレスラー」という役柄で、プロレス技をきめる!んだけど、教えてくれる先輩は、コブラツイストも分かんないという……。 現在、Amazonプライムで配信されています。 ☆☆☆☆☆ 映画「反則王」 DVD Amazonプライム配信 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 遅刻常習犯でノルマの達成もできず、いつも上司に叱られてばかりの銀行員イム・デホ。上司のヘッド・ロックを破りたいと考えたデホは、プロレス館への入門を決意するが……。 キム・ジウン監督は、前作の「クワイエット・ファミリー」が、韓国で大ヒットを記録。うだつの上がらない長男を演じていたソン・ガンホは、「反則王」で初めて映画主演を果たしました。 そして「反則王」がまた大ヒットしたもんだから、倒れるくらい飲み明かしたのだとか。この映画が大きな転機になったと語っています。 こんなんなんですけどね。日本で公開された2001年当時、わたしが使っていたガラケーの待ち受け画面はこれでした……。 (画像はKMDbより) 韓国映画界で初めて、高速カメラが使われた映画でもあります。エンドロールには「ピアノ線特殊技術」という項目があるので、前年に公開された「マトリックス」みたいな撮影だったのではないかなと思われます。 リングに張られたロープの上から、ソン・ガンホが飛ぶんです。キレーーーに一回転して、着地! 「栄光の架橋」が脳内再生される!! みたいなシーンもありつつ、基本はドタバタコメディなので、めちゃくちゃベタなネタが展開されていきます。ソン・ガンホ得意の“コソコソ歩き”も、この映画ですでに披露されていたんだなーと、なつかしく観ました。 わたし的2020年最高の一本である「エクストリーム・ジョブ」も、小ネタが満載の映画でした。 特大級のブラックコメディ 映画「エクストリーム・ジョブ」 #185   これに比べると、「反則王」はB級感漂う映画ではありますが、映像のつなぎ方がとても上手だなと思います。 映画の冒頭から、デホは上司に暴力を振るわれます。洗面台にポトリと落ちたのは、名札。ちゃんと主人公の名前が分か

ドラマ「サウンド・オブ・ハート」#778

お気楽に笑えるドラマが観たいなーということで、ポチってみたシットコム「サウンド・オブ・ハート」が、おバカすぎて笑いました。 漫画家を目指すソクと、その家族たちを描いたコメディです。1話が30分くらいなので、「韓国ドラマ=長い」と敬遠している方にもおすすめ。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「サウンド・オブ・ハート」Netflixで配信中 https://www.netflix.com/title/80155793 ☆☆☆☆☆ 韓国のポータルサイト「NAVER」で、10年間も連載された人気ウェブ漫画がベースになっています。「10年」というのは、ウェブ漫画としては初めての大記録なのだそう。そんな神話を作り上げた漫画ですが、KBS芸能局が初めてドラマに挑戦した作品でもあります。 チョ・ソク役のイ・グァンスは、コミカルな演技も得意な俳優だし、このドラマでも思い込みの強い漫画家を熱演。ここはナイスキャスティング!な感じです。 注目は、ソクのお兄ちゃん役です。 (画像はナムウィキより) 「賢い医師生活」で、おっとりとしたクマのような産婦人科医を演じている、キム・デミョンがー!!! アホアホ感満載のコメディにー!!! 学生時代に思い描いた理想、生きてる? ドラマ「賢い医師生活」 #379   クマ感はそのままに、全然違う姿を見せています。 おそろしい子!!! ストーリーは、トイレに行ったら紙が……的な下ネタが多め。顔を隠して、下は丸出しで走って逃げるとか、「そっち!?」的なズレが楽しい。 パロディあり、ドタバタあり、チョン・ソミンやキム・ビョンオクらベテランが、本気で笑わせに来ます。 もう一本、「リブート」バージョンも配信されていて、こちらは漫画が大ヒットしてウハウハになった“リアル家族”という設定。 わたしはいつも、朝にこのドラマを観て、それから仕事を開始してたんですよね。いい感じに力が抜けますよ。 ドラマ「サウンド・オブ・ハート」 KBS全10回(2016年) 監督:ハ・ビョンフン 脚本:イ・ビョンフン、クォン・ヘジュ、キム・ヨンジ 出演:イ・グァンス、キム・デミョン、チョン・ソミン、キム・ビョンオク、キム・ミギョン

映画「猟奇的な彼女」#750

わたしが通っている整体のお店で、一番有名な人は「院長の奥さま」です。 先生の施術は確かだし、みなさん明るいし、奥さまはスタッフでもないんですけどね。なんならお顔も見たことない。でも、 「嫁とケンカしたんっすよ……」 という話が出ると、楽しみでなりません。 なかなかに“アクティブ”な奥さまで、ケンカして 大根で殴られた とか、痛苦しくて目が覚めたら 鼻に洗濯ばさみがついていた とか、数々の武勇伝があるのです。 以前、スタッフのみなさんでバーベキューをした時、奥さまも合流して一緒に飲んでいたのだそう。 「へー、楽しそうですね」 わたしが当たり障りのないコメントをしたら、若手先生が複雑な顔でモグモグしていたんですよね。後で聞いてみたら、 「マジ、怖かったっす」 とのこと。奥さまは某量販店にお勤めなのですが、「ガチのヤンキー店員がいる」とツイートされたくらい、一部地域で有名な方のようです。すげーな。 そんな奥さまが大好きという先生が、唯一観たことのある韓国映画が「猟奇的な彼女」。激しく共感して、泣いてしまったのだとか。チョン・ジヒョンとチャ・テヒョンの出世作なんですが、あまりにもピッタリで大笑いしてしまった。 ☆☆☆☆☆ 映画「猟奇的な彼女」 https://amzn.to/2Vpj2WP ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 大学生のキョヌは、電車で会った酔っぱらいの女性を介抱することに。翌日、その彼女に呼び出されたキョヌだが、お礼を言われるどころか、横暴な態度で連れ回されてしまう。酔っ払っていなければ理想形という彼女に徐々に引かれていくが、彼女は自分の名前も明かさないままで……。 映画が公開された2001年当時、チャ・テヒョンはともかく、チョン・ジヒョンはほぼ新人で無名の俳優でした。この映画で一気にスターになり、CMも増えたし、映画にはバンバン出続けたし、トップスターへと駆け上がりました。 一方で、「決断力のない、情けない男」の印象がついてしまったチャ・テヒョンは、ちょっと下り坂になったとバラエティ番組で語っていました。気の毒……。 まー、それも仕方がないと思えるほど、チョン・ジヒョンの勢いがあります。 原作は、キム・ホシクという大学生がネットで公開していた小説です。基本モチーフは、ファン・スンウォンの短編小説『夕立』で、田舎の少年が病弱な少女と出会って恋に落ちるという初恋ものなん

ドラマ「プロデューサー」#749

プロデューサーとディレクターって何が違うんだろう? 調べてみると、プロデューサーは「制作統括を担当する総責任者」、一方のディレクターは「制作現場の責任者」のようです。 日本ではドラマの制作責任者をディレクター、もしくは演出家と呼んでいますが、韓国では「監督」と呼んでいます。映画と同じ扱いなんですね。 「プロデューサー」というと、肩からセータを掛けている人っていうイメージが強いけど、実際の現場は泥臭く、ヘビーなんだなーと感じさせてくれたのが、コン・ヒョジンとキム・スヒョン主演のラブコメ「プロデューサー」でした。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「プロデューサー」 https://amzn.to/3BVKXyA ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 大学時代に憧れていた先輩を追いかけて、KBSのバラエティ局に就職したペク・スンチャン。初日から大失敗をして、上司に目を付けられてしまう。が、ある時、その上司の秘密を知ってしまい……。 韓国では2015年に放送されていたんですが、KBSのドラマ局ではなく、バラエティ局が企画したのだそう。「冬のソナタ」で世界中に韓流ブームを起こした監督がユン・ソクホ。その彼が、人気脚本家のパク・ジウンと組んだドラマということで、大いに話題になっていました。 おまけに、“ラブコメ女王”や“視聴率女王”という称号を持つコン・ヒョジンと、MBCのドラマ「太陽を抱く月」などで人気スターとなったキム・スヒョンの主演です。期待はどんどんふくらむばかり……。 ところが第1話の評判が芳しくなく、監督が交代。ラブコメ路線に話を大きく振り、最終的には視聴率20%超えに育てています。 せつない……。 とはいえ、K-POPアイドルや大物俳優がカメオ出演しているし、実在の番組は出てくるし、なんだかお得感あふれるドラマです。 たとえば、少女時代のユニットテティソ(テヨン、ティファニー、ソヒョン)や、BLACKPINKのジス、イ・スンギ。 「ミナリ」 のユン・ヨジョン、 「SEOBOK ソボク」 のパク・ボゴム。 テレビ局が舞台なので、すごい顔ぶれがそろっています。 そんな中で、IUことイ・ジウンは、ポーカーフェイスでワガママ放題の人気歌手シンディを演じています。彼女の面倒をみることになった新人プロデューサーのキム・スヒョンが、大いに振り回されてしまう。 (画像はAmazonより) キム・スヒョン演

映画「ガール・コップス」#740

韓国コンテンツを支える名バイプレーヤーたちには、大好きな俳優がいっぱいです。“おじさん”俳優の層の厚さこそ、おもしろさの指標といえるかもしれません。でも、女性陣だって負けてない。 パク・チャヌク監督の「親切なクムジャさん」、ユン・ジェギュン監督の「国際市場で逢いましょう」で、味のある演技をみせてくれたラ・ミラン。 「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」 のクソババアから、映画 「82年生まれ、キム・ジヨン」 で見知らぬ高校生を助けるおばさんまで、幅広い演技をみせるヨム・ヘラン。 こんな、名バイプレーヤーが“主役”となって、大暴れするコメディ映画が「ガール・コップス」です。 ☆☆☆☆☆ 映画「ガール・コップス」 https://amzn.to/36QZQDW ☆☆☆☆☆ <あらすじ> かつて女性機動隊で活躍していた伝説の刑事・ミヨンは、結婚出産後、苦情センターに異動させられる。そこへ、義妹で熱血刑事のジヘが異動してくることに。ある日、一人の女性から相談を受けるふたり。アダルト動画サイトに動画を拡散されると脅されていたのだ。期限は48時間。相性最悪のミヨンとジヘは非公式捜査を開始するが……。 “大暴れ”と書きましたが、フェミニズム文脈に照らすと、なんともビミョーに感じる映画ではありました。理由はふたつ。 「女性も男性と同様に○○できる」 これは当然のことだと思うんです。だけど、 「女性が男性と同様の○○をする」 となると、ちょっとそれは違うんじゃないか。 刑事ものなので、アクションと切り離せないのは仕方がない。でも、女性刑事が男性のように闘わなくてもいいんじゃないか。それでなくても女性は、産休・育休を経て閑職にまわされるという「システム」と闘っているのだから……。 (画像はKMDbより) そして、どちらかの優秀性を語るために、どちらかの性を貶めることはないのではないか、と思うのですよね。 映画に登場する「男性」は、ことごとくマヌケで、能なしで、情けない人ばかり。それが笑いを生むようにしたのだと思いますが、逆にムグムグとなりました。 「最も卑劣で、汚らしくて、醜悪な犯罪を、せいせいした気分がするように解決する愉快な映画を作りたかった」 制作意図についてこう語るジョン・ダウォン監督。調べてみたら男性だったので、正直、ちょっと意外でした。 派手目のアクションに挑戦するのは、ラ・

ドラマ「ホント無理だから」#738

いまの寄宿舎って、こんなにコジャレているのか!!! 6月にNetflixで配信が始まったドラマ「ホント無理だから」は、大学の国際学生寮が舞台のシチュエーションコメディです。 世界中から集まった留学生が暮らす寮。文化の違いや恋愛など、お決まりの青春ネタを盛り込みつつ、自虐ネタも満載で、気軽に楽しめるドラマでした。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「ホント無理だから」 https://www.netflix.com/title/81194153 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> テハン国際学生寮でチューターをしているパク・セワンは、トラブルを解消する代わりに寮生たちから料金を徴収していた。アメリカからやってきたジェイミーに携帯を壊され、弁償させようとするが……。 登場人物が多いので、まとめてみました。 とにかくお金がない苦学生のセワン役は、パク・セワン。 出生の秘密を抱える、謎のアメリカ人ジェイミー役は、シン・ヒョンスン。 オーストラリアからやって来たほら吹きのヨンジェは、アイドルグループGOT7のメインボーカル・ヨンジェが演じています。 韓国人の母とナイジェリア人の父を持つヒョンミンは、往復5時間の通学に耐えかねて、寮に潜り込んでしまうという学生。演じるハン・ヒョンミンは、モデルとタレントとして活躍中の人だそう。 ここまでは、韓国にルーツのある学生たち。 アメリカからやって来たカーソンは、口が悪く、大食いという迫力満点な学生です。 タイ人のミンニは、韓国ドラマ大好きという設定で、このドラマで演技に初挑戦しています。 スウェーデン人のハンスは、ゴリゴリの原理原則信者。おかげで巻き起こるドタバタが笑いを誘います。 トリニダード・ドバゴ人のテリスは、モテモテの男です。 シットコムなので、もちろん笑えるシーンがたくさん。でも、そのネタが。 北朝鮮がミサイル発射というニュースを見て、慌てる人、慌てない人がいて、もはや日常と化していることが分かったり。 セワンとジェイミーが怪しい……と感じたミンニは、すぐに病院に行くようにアドバイス。 なぜ? 不治の病か、生き別れの兄妹かもしれないから!!! なんていう、韓流ドラマあるあるなパターンがあったり……。ほぼ「自虐」。 そんなお笑いパートもよかったけれど、N放世代の悲劇や、親の因果に苦しむ子ども側の本音など、社会的なテーマも取り上げられています。その辺りが、

映画「ミッドナイト・ランナー」#720

古今東西、若者って、おバカで、熱くて、無邪気で、無鉄砲なもの。 そんな若者を、押さえ込むのか、上手におだてて伸ばしていくのかで、組織は変わっていくのかもしれません。 キム・ジュファン監督5本目の映画となる「ミッドナイト・ランナー」は、警察大学の学生ふたりが夜の街をひたすら走っている映画です。 なぜ? 事件を目撃したのに、警察が動いてくれないから! 来る未来の不条理を感じつつも、被害者を救いたいという正義感で突っ走るふたり。コミカルとシリアスがほどよく入り交じったストーリーです。 ☆☆☆☆☆ 映画「ミッドナイト・ランナー」 https://amzn.to/3qGbo5X ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 警察大学に入学した肉体派のギジュンと頭脳派のヒヨル。試験で助け合い、親友となったふたりは、外出先で偶然、拉致現場を目撃する。学校で学んだとおり警察に通報するも、相手にされず。時間だけが過ぎていくことに焦り、ついに自ら捜査を始めるが……。 肉体派のギジュンをパク・ソジュンが、頭脳派のヒヨルをカン・ハヌルが演じています。 キム・ジュファン監督×パク・ソジュンのコンビでつくったもう一本の映画が「ディヴァイン・フューリー 使者」。こちらは名優アン・ソンギと力を合わせて悪魔と闘う物語です。 格闘技のチャンピオンがエクソシストに!? 異色のバディ誕生 映画「ディヴァイン・フューリー/使者」 #400   どちらの映画も、若者とベテランの対立と協力がみどころのひとつなのですが、「ミッドナイト・ランナー」では、若者をたしなめる役どころだったヤン教授役のソン・ドンイルが、めちゃくちゃいい味を出しています。 「夜の街に繰り出して、女の子をナンパして青春したいです!」という秘密の思いを受け取り、送り出す時の笑顔。 事件性を認識しながらも、煩雑な手続きが必要なことを伝える渋い顔。 そして、問題行動を起こしたギジュンとヒヨルを退学にせよ、と迫るエライさんたちに立ち向かう時の毅然とした表情。 正義感が空回りしてアタフタ・ドタバタしている主役ふたりの演技を引き立てる、どっしり感をみせています。 (画像はBizEnterより) 劇中、ギジュンとヒヨルの部屋にはTWICEのポスターが飾ってあり、お忍びで映画を観たTWICEのジヒョとジョンヨンが大喜びしたのだとか。 そんなコミカルでほのぼのした部分シーンがある

『チャンネルはそのまま!』#651

『動物のお医者さん』の佐々木倫子さん。今度の舞台は北海道のテレビ局! 新人記者の雪丸花子が奮闘するコメディです。 ☆☆☆☆☆ 『チャンネルはそのまま!』 https://amzn.to/2Slb5Ar ☆☆☆☆☆ 一所懸命にやればやるほど、天然が炸裂。見事なほどに周囲をイライラさせるんですが、求心力はあるんですよね。というか、ほっとくととんでもないことをやらかしそうで、目が離せない。 事件取材で「裏取りを忘れるなよ」と指示された花子。キルト展での取材でもそのアドバイスを思い出します。「ウラ……。ウラこそ大事なのか!」と気がついて。 キルト作品を全部裏返して撮影しちゃうんです。 新人の発想って新鮮ですね……。そんな認知のズレにしみじみ戦慄するシーンもあります。 わたしは会社で研修を担当していて、今年も新卒・中途入社の方に研修を行いました。素直な人、マジメな人、イケイケの人、いろんなタイプの人を見ながら、ふとこのマンガのことを思い出していました。 雪丸花子が勤める北海道☆テレビに伝わる噂です。毎年、ひとりだけ「バカ枠」として採用される人がいるとか、いないとか……。 (お前やー!!!) と叫びたくなるほどの無鉄砲記者・雪丸花子だって、“先輩”になっていく。うちの会社には「バカ枠」はなさそうだけれど(そもそもそんな採用はしていないはずw)、バカがピンチを切り開き、新しい視点で会社を引っ張っていってくれるなら。 楽しみでしかない。 こんなバカを矯正しようとしない会社の方が、生き残れるんじゃないかと思えるマンガです。読んでる間は、ただただ笑ってただけですけどね。

「こんにちは? 私だよ!」#646

最近の韓国ドラマの特徴は「内省的」であることなのではないかと思います。「サイコだけど大丈夫」はもちろん、自身の欲望によって怪物化してしまう 「Sweet Home -俺と世界の絶望-」 なんかも、そうでした。 内省的なドラマはどうしても重くなりがちですよね。でも、「こんにちは? 私だよ!」は、これを軽やかなコメディとして見せてくれています。 ☆☆☆☆☆ 「こんにちは? 私だよ!」Netflixで配信中 https://www.netflix.com/title/81323200 ☆☆☆☆☆ 卑屈な性格で、ペコペコ謝ってばかりの37歳・パン・ハニの前に現われたのは、17歳のパン・ハニ! あまりにも天真爛漫で傍若無人な言動は、ちょっとイラッとしてしまうくらいです。ヤング・ハニは「無邪気最強」伝説を感じさせるのに、なぜ、20年の間に、こんなにも人が変わってしまったのか。 いきなり目の前に、人生で一番輝いていたころの「自分」が現われて、 「こんな情けない姿になってるなんて、知りたくなかった!」 なんて言われるんです。 そう言われても仕方ないほど、情けない状況の自分。そこからオトナ・ハニは少しずつ自分を許して、かつての溌剌とした姿を取り戻していく。それはタマネギの皮をむくような作業で、涙に濡れたりすることも……。 高校の同級生だった男の子が「かつてのトップスター、現在は落ち目の俳優」で、彼のかつての悪行が暴露されるシーンは、現在の韓国芸能界を見るようでした。 「こうはなりたくない」という20年後の自分を目にして、悪態ばかりのヤング・ハニを演じるのは、イ・レ。「ソウォン」や「犬どろぼう完全計画」の子役スターが、いまは15歳になって、無邪気そのものの姿を見せてくれています。 大人は分かってくれない 映画「犬どろぼう完全計画」 #95   自分のことを一番応援できるのは、自分。過去の自分は、ライバルでもあるし、励ましでもある。ちょっと落ち込んだ時に一気見するのがおすすめです!

超能力に目覚めたオッサン大暴れ 映画「サイコキネシス 念力」 #592

隕石のひかりまみれの手で抱けばきみはささやくこれはなんなの (穂村弘『 回転ドアは、順番に』所収) 隕石のひかりに包まれてしまうのも怖いけど、ひかりが含まれたお水を飲んでしまうのも怖い。 映画「サイコキネシス 念力」は、湧き水に浮かんでいた「ひかり」を飲み込んだオッサンが、超能力に目覚めて大暴れしちゃうというお話です。 コワモテからコメディまで乗りこなす怪優リュ・スンリョンと、日本での活躍もめざましいシム・ウンギョンが父娘役を演じています。 ☆☆☆☆☆ 映画「サイコキネシス 念力」 https://www.netflix.com/title/80226424 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 妻子を捨て、警備員の仕事をしながら冴えない生活を送るソッコンは、ある日突然、自分が超能力に目覚めたことに気づく。ソッコンの娘ルミはチキン店の店長として街の人々から愛されていたが、立ち退きを要求する地上げ屋の襲撃に遭い、母を殺されてしまう。ルミの知らせを受けたソッコンは、超能力で立ち向かおうとするが……。 リュ・スンリョンとチキン店は、相性がいいというか、いまさらコメディにしかできないというか。やっぱり「エクストリーム・ジョブ」のイメージが強烈すぎましたよね。 特大級のブラックコメディ 映画「エクストリーム・ジョブ」 #185   今回は娘のルミ(シム・ウンギョン)が店を切り盛りしています。テレビでも紹介されるくらいの人気店だったのに、地上げ屋の標的になってしまうのです。 (画像はKMDbより) 娘の前でかっこつけたい父ですが、せっかくの超能力を披露しても、「手品?」と言われてしまう始末。いや、その表情のせいなんじゃ……。 (画像はKMDbより) 物体を大きく動かす時は身体全体で、微調整する時はお尻や舌を駆使してやりくり。そんなおバカ感爆発なシーンを、てらいもなく演じてしまえるところがリュ・スンリョンのすごいところです。 監督・脚本は、「新 感染 ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホ監督。長年、離れ離れに暮らしていた父と娘の再会に、権力の横暴をかませてくるあたりが、にくらしい。 ゾンビがかわいそう!? 映画「新 感染 ファイナル・エクスプレス」 #161   映画のモチーフとなったのは、龍山電子商店街の再開発工事だそうです。ソウル市が発表した「漢江ルネサンス」計画の一環として、周辺の

“傾聴”できない男は、インサイトをつかめるか!? ドラマ「キム秘書はいったい、なぜ?」 #494

「あ、わたしが欲しいのはそれだ!」 気づいていなかったけれど、言われて初めて「それだ」と気づくもの。それは「インサイト」と呼ばれます。 ラブコメの帝王パク・ソジュンと、パク・ミニョンのゴールデンなコンビのドラマ「キム秘書はいったい、なぜ?」は、まさに「インサイト」を巡る物語だったなと思います。 ☆☆☆☆☆ ドラマ「キム秘書はいったい、なぜ?」 ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 大企業の副会長イ・ヨンジュンは、容姿、頭脳ともに完璧だが自分大好きな超ナルシスト。そんな彼を9年間支えてきた秘書のキム・ミソは、ある日、辞職を伝える。ショックを受けたヨンジュンは、あの手この手で引き止め、渾身のプロポーズをするが、あっさりと断られてしまう。退職前の一大プロジェクトが進む中、ヨンジュンの兄ソンヨンがアメリカから帰国。ふたりの間にある確執は、ミソにも関係しているようで……。 「梨泰院クラス」ですっかり日本でも有名になったパク・ソジュン。彼は役ごとに仕草や話し方を研究するのだそうです。財閥の御曹司で「できる男」の代名詞的キャラクターであるヨンジュンもやはり、得意のポーズを持っています。かなりコミカル。 新時代の働き方とリーダー像を満喫 ドラマ「梨泰院クラス」 #339   兄弟をめぐる確執はミステリー仕立てになってはいるのですが、サイドストーリーとしてはちょっと弱いかなとも感じました。 それよりも、三姉妹の三女であるミソが、姉たちの学費と父の借金返済のために高校を卒業してからずっと働きづめだった、という設定の方が気になりました。 映画「82年生まれ、キム・ジヨン」にも、兄たちの学業のため、自分の勉強をあきらめて働き続けたというシーンが出てきます。日本でいったら「昭和」のような設定が、まだ生きているんだなー。 「82年生まれ、キム・ジヨン」のコン・ユが象徴するものについて考えてみた 「82年生まれ、キム・ジヨン」は、「なんか言いたくなる」小説であり、映画でした。心が反応しちゃうんです。キム・ジヨンというひとりの女性が生きていく中で、「ただ女性であるがゆえに」経験した差別と不合理の物語。できれば小中学校の授業はもちろん、企業の人事の方や、女性商材を扱う部署の人には必須で観てほしいくらいです。   ドラマはキム秘書が辞めたいという理由について、思いをはせることができないヨンジュンの壊れっぷりが一番

口達者な若者に突きつけられるオトナへの道 映画「スタートアップ!」 #485

スター俳優を中心に映画をつくる「スターシステム」は、ある程度の興業を見込して製作に入れるメリットと、俳優を型にはめこんでしまうデメリットを抱えています。 『韓国映画100年史』という本では、韓国映画の戦略のひとつとして「スター俳優が扮するキャラクターの力」が挙げられているほど。ソン・ガンホやファン・ジョンミンら、「スター俳優」が出演というだけで観たくなってしまいますもんね。 「キャラクター戦略」というよりは、「この人頼み」な映画作りになっていないかと思ってしまうくらい、映画への出演が続いているマ・ドンソク。「新感染 ファイナル・エクスプレス」で強烈な拳を見せつけて以来、ヤクザものやノワール劇に立て続けに出演しています。 コメディ映画「スタートアップ!」では、これまでの型を覆し、お茶目な姿を見せてくれるのかと思いきや……!? ☆☆☆☆☆ 映画「スタートアップ!」 DVD (画像リンクです) Amazonプライム配信 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ <あらすじ> 学校も嫌いで家も嫌い、母親に反抗しては1日1発強烈ビンタを食らう少年テギル。ついに家出したテギルは、偶然入った中華料理店で、ただならぬオーラを放つ厨房長コソクに出会う。住み込み配達員となり、世の中を学んでいくのだが……。 原作は韓国のwebマンガで、ド底辺に暮らす幼い主人公が成長する姿を描いたもの。映画では中華料理店主の家族の話がかなり省略されているそうです。 粋がってばかりの若造テギルは、パク・ジョンミンが、取り立て屋の仕事に就いた親友サンピルは、チョン・ヘインが演じています。いま大注目の若手俳優の共演です。 (画像はKMDbより) そこに加えて、怪しすぎる厨房長コソクを演じるのがマ・ドンソク。筋肉モリモリの腕で中華鍋をふっています。ラブリー……!? (画像はKMDbより) 家出したテギルが行き着いた中華料理店は、行き場所をなくした者たちが集まる「避難所」のようだなと感じました。 悲しい思い出をもつ店主。物覚えの悪い先輩。家出少女のキョンジュ。そして、怪しい厨房長コソクにも過去がある。 とはいえ、肩を寄せ合って慰め合い、励まし合う……展開には決してならない。口ばかり達者なテギルに、お金を稼ぐとはどういうことなのかという「オトナへの道」を迫ることになります。 親友のサンピルもやはり、取り立て屋という仕事の中で、