伝奇ものの小説を書き継いでいる夢枕獏さん。 『陰陽師』 はじめ、どれもおもしろいんですが、ひとつだけ言いたいことがあるのです。 話を完結させてください!!! 「キマイラ」シリーズなんて、1982年に始まって、まだ終わってないんだもん。まぁ、楽しみは続く、ともいえますがね。 そんな中で、『天海の秘宝』は大長編だけれど、ちゃんと完結している!!!という点で、超おすすめです。 ☆☆☆☆☆ 『天海の秘宝』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ 異能のからくり師・堀河吉右衛門と、天才剣士・病葉十三がコンビを組んで、江戸の町に起きる怪異を推理するというストーリー。 初めは小さな事件だったものが、だんだんと大きくなり、ついには一連の出来事が、天海僧正の秘宝に関連していることが分かってきます。 天海僧正とは、徳川家康の側近だった大僧正で、神号や葬儀に関する遺言を預かった人でもあります。あの「あずみ」を導いたお坊さんですね。 (画像リンクです) 江戸の町づくりにも大いに力を発揮し、陰陽道や風水に基づいた都市計画を行ったといわれています。 そんな天海僧正が江戸の町に埋め込んだ秘宝とは……という展開は、ワックワク~なんですが、いかんせん長編なのでおもしろくなるのは下巻からです。 たとえるなら、中村吉右衛門さん演じる「鬼平」に、「ターミネーター」がツッコんできて大暴れ!みたいなお話。こういう奇想天外なものがお好きな方にはたまらん読み物です。 その分、現実主義な方には、わけ分かんないかもしれない。 すべてが理路整然と、ロジカルにできあがっているわけではないんですよね。人間って。