物語の楽しみ方を、またひとつ知った。 現実の世界と空想世界をつなぐ、「動物」の存在。物語には欠かせないものです。 荻原規子さんの『グリフィンとお茶を』は、そんなファンタジー小説に登場する「動物」に焦点をあてたエッセイです。 ☆☆☆☆☆ 『グリフィンとお茶を ~ファンタジーに見る動物たち~』 (画像リンクです) ☆☆☆☆☆ ファンタジー世界における動物は、ギリシャ神話や民話のイメージからとられていることが多いそうで、猪や雀、猫といったなじみのある動物はもちろん、ユニコーンやグリフィンなどの想像上の動物も登場します。 ファンタジーにおいて、絶対的に必要なもの。 それは現実世界との、しっかりとしたつながりなのだなと思わせる本でした。 本には、フィリップ・プルマンの『黄金の羅針盤』の動物=ダイモン(守護精霊)も取り上げられています。 『黄金の羅針盤』#945 小説の中に登場する「動物」を取り上げる。しかも、ファンタジー縛りで。めちゃくちゃ難題な気がするんですが、自身も物語を紡ぐ人だからこそ、気がつける違和感や共感の話に夢中になりました。 「ファンタジーって夢物語でしょ」と考えているオトナも多いようですが、それは偏見。この本を読むと、ウロコがゴソッと落ちますよ。 ヨーロッパのもの、日本のもの、時代もさまざまな児童書が取り上げられているので、ブックガイドとしても最適です。 荻原さんの、子ども時代から積み上げた読書量にアッパレを贈りたい。